
『LETO -レト-』
自由と音楽、そして恋。疾走感みなぎる青春グラフィティ

©HYPE FILM, 2018
全国の映画館が再開され、公開時期などいろんな偶然が重なった今、なぜか音楽映画が異様に熱い! 公開中の『ワイルド・ローズ』はカントリー、『カセットテープ・ダイアリーズ』はボブ・ディラン。音楽にノリノリになりながら、主人公らが自分の道を見いだしていく姿に快哉せずにいられない、ともに会心作だ。
さらに本作は、音楽を愛する者同士の連帯感や互いの才能へのリスペクト、自由を追い求め情熱のまま走る疾走感、そこに不意に入り込む恋心に胸がキュッと縮こまる。まさに熱に浮かされたように後を引く、みずみずしい青春映画だ。
1980年代前半、ソ連時代のレニングラードでは、ツェッペリンやT・レックスなど西側のロックスターに影響を受けたアンダーグラウンド・ロックが、まさに花開こうとしていた。その最前線のバンド「ズーパーク」のリーダー、マイクのもとに、曲を聴いてほしいとヴィクトルという若者が訪ねてくる。即座に彼の才能に気付いたマイクは、彼を全面バックアップ。だが、マイクのミューズであり妻のナターシャとヴィクトルの間に、ほのかな恋心が芽生え始める。
ロシアの伝説的な実在のバンド「キノ」のヴォーカル、ヴィクトル・ツォイのデビューまでの“ひと夏”に、スポットライトを当てた本作。朝鮮人の父を持つ彼を演じるユ・テオという俳優のエキゾチックで飄々とした風体があまりに素敵で、さらに彼が生み出す音楽にも心がはやり、どうしようもなく惹かれてしまうナターシャの気持ちに共感必至!
一方、ファンを取り締まる当局、ロックなのに観客が体を揺らすと制止されるなど、当時の情勢や空気にも興味がかき立てられる。モノクロームの映像に突如、落書きのように色が塗られたり、街中の強面な人々が歌い出すなど、悪戯心にあふれた演出は、まるでミュージックビデオを見ているような楽しさ。ウキウキと刺激的、そしてちょっぴり切ない余韻で……思わずリピートしたくなる!(7月24日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国ロードショー)
『ぶあいそうな手紙』
ラテンアメリカ発 温かなユーモアに富んだ“人の絆”物語

© CASA DE CINEMA DE PORTO ALEGRE 2019
ブラジル南部の町。視力の衰えが著しい78歳の独居老人エルネストは、ひょんなことで知り合った23歳のビアに、手紙の代読を頼む。返事を代筆するため、ワケありなビアが頑固老人の部屋に出入りするようになり……。
インテリ老人とちょいワル娘。奇妙な共依存、凸凹だからこそ癒される不思議、年齢差ゆえに効くアドバイスなど、人生何が起きるかわからないと嘆息。予想外のラストに幸福感が満ちる。(7月18日よりシネスイッチ銀座ほかにて公開)
■『ぶあいそうな手紙』公式サイト
※公開につきましては、各作品の公式サイトをご参照ください。
取材・原文/折田千鶴子
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