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LIFE

渡辺有紀子

長田杏奈さんのトークイベント『待機児童がいない北欧に学ぶ子育て』

  • 渡辺有紀子

2019.12.06

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同年代の働くママたちが語る、子育てトークイベントへ

少し前のことになるのですが、LEEでもお馴染みの美容ライターの長田杏奈さんのトークイベントに行ってきました。『待機児童がいない北欧に学ぶ ママの自尊心を削らない子育て、どうする?』という名のイベントで、「育児と仕事の両立に折れかけた」経験を持つ、北欧ラバーの3人のママが子育てについて語るというもの。
メンバーは、多彩なジャンルの北欧書を世に送り出すママ翻訳家の枇谷玲子さん、スウェーデンに移住し翻訳と日本語教師の仕事をしながら子育てをしている久山葉子さん、北欧に行ったことはないけれど北欧ミステリファンの美容ライター長田杏奈さん。
同年代の働くママたちのトークイベントということで、どんな話が聞けるのがワクワクしながら行ってきました。
トークイベントは、長田さんが司会進行をしながら、久山さんや枇谷さんに北欧の子育てについて質問し、語ってもらうというもので、北欧の保育園事情の話から、体罰のこと、性教育のこと、女性の生きやすさやフェミニズムの話まで、盛りだくさんの内容でした。
今回は、久山さんが語ってくれた、スウェーデンの保育園事情についての話を中心に紹介したいと思います。

左から、枇谷玲子さん、久山葉子さん、長田杏奈さん。

日本の子育てのしづらさは異常!?

久山さんは、子どもが1才のころ、イタリア生まれ・イタリア育ちのご主人が、「日本の子育てのしづらさは異常だ。日本が子育てしやすくなるのを待っていたら、子どもが大きくなってしまう!」と嘆いたことがきっかけで、家族でスウェーデンに移住したそう。
「夫は、日本では、21時や22時に退社すると、まだ同僚がたくさん残業していて、申し訳なさで居心地が悪かったようです」と振り返っていましたが、わが家も、一人目の産後に、夫に「週に1回でも早く帰ってきてお風呂を手伝ってほしい」と訴えたら、「そうしたいけれど、『時短勤務か?』と言われる…」と返答されたことを思い出しました。
日本でも「働き方改革」で、昔に比べたら子育てしやすくなってはいますが、きっとまだまだほんの一部なんでしょうね。

 

スウェーデンの保育園のココがすごい!

久山さんがスウェーデンに移住して、とくに驚いたのが保育園事情が日本とは全然違っていたことだったそう。「まず、保育園は、申し込んで4カ月後には必ず入れることが保障されているんです。移住者でも、失業者でも就職活動中であれば、申し込めば必ず! そんなことできるの~?と思いましたが、自治体が頑張ればできるわけですよね。日本でも、小学校に関しては、『空いてないから、入れません』はないですよね」と。
二人目の保活に失敗し、1年間、毎日仕事のあとに50分間自転車をこいでいた私は、「いいな~」と叫びたい気持ちを抑えながら聞いていました。
ほかにも、「入園グッズなどの手作りで用意するものもなく、ほぼ手ぶらで登園できる」「朝食は保育園で食べさせてくれるから、着替えてつれていくだけでいい」など、うらやましい話ばかり!! 保育園が朝食を食べさせてくれるおかげで、親は朝7時に家を出て仕事に行き、16時頃に帰宅するのが普通なんだそう。
日本でこれをやったら、朝も早くて夜も遅くまでいるという子が増えてしまいそう…なんて、悲しい想像をしてしまった、私。社会全体が意識改革しないと難しいかと思いますが、いつか日本も北欧のように、夕食前に家族みんなが帰れる社会になってほしいです!!

スウェーデンの保育園がすごいのは、働き方もすごいから!

保育園が朝食も食べさせてくれて、親は7時~16時に仕事をして…というのがスウェーデンでのスタンダードらしいのですが、それができているのは、働き方も日本とは全然違うから。
久山さんが教えてくれた話では、「スウェーデンでは、16時から17時にみんな退社します。残業すると会社も嫌がるので、だれも残業はしない」とのこと。
「会社では、子育てしながら働いているのが普通。だから、子どもの体調不良で休むことも当たり前のことで、男性でも女性でも、いつもだれかしら休んでいる。会社は社員が育児休業を取る場合、その間だけ代わるヴィカリエと呼ばれる契約社員を雇うんです。その職種につきたいと思っている若手には現場で仕事を学ぶチャンスになっていて、それが社会の活性化にもつながっている」と教えてくれました。
社会全体でみんなで子どもを育てようという意識も根強く、子どもを会社に連れて仕事に行くのも普通のことなんだそう。

 



日本のママは頑張りすぎ!?

久山さんの話では、スウェーデンでは、毎日の食事がとてもシンプルで、日本に比べると品数が少なく、“手抜き”が当たり前なんだとか。
「夕食は、ソテーした肉か魚に、炭水化物(ライスやじゃがいも)、切っただけのシンプルな野菜(きゅうりやトマト、パプリカ)が2~3種というのが定番。すごく疲れているときは、パンケーキにジャムやクリームを添えるだけのことも。日本にいたときは、『1日に30品目』の神話に呪わていたかのように頑張っていましたが、これでいいんだと気がラクになりました」と久山さん。
スウェーデンには、日本のような「お受験」もないそう。スウェーデンの人たちは、小さいうちは勉強よりも遊びを大切にしていて、国もそういう教育方針を掲げていて、習いごとも勉強系のものや日本の「早期教育」のようなものははまったくないのだとか。「遊びの中で楽しく学ぶことに力を入れている」のだそう。
デンマークに留学経験がある枇谷さんも、「デンマークの人は大人でも、休息や楽しむことを大切にしている人がすごく多いですよ。デンマークには、楽しい時を過ごすということを意味する『ヒュッゲ』という言葉があって、みんなしきりに『ヒュッゲしよう』と言うんです。日本で勉強ばかりしてきた私は、『楽しもう』と言われても、どうしていいのかわからず、最初はすごく戸惑いました」と、ご自身の経験を話してくれました。
お二人の話を聞いて、日本のママたちには、「こうしなきゃ」「こうあるべき」というものが多すぎるんだろうなぁ…と感じました。それで、1人で頑張りすぎてしまう人が多いんだろうなぁと。呪縛のような「~~であるべき」が減るには、社会だけでなく、1人1人の意識が変わっていくしかないのですが、この日本で、どうすれば変わっていくのか…。私も微力ながら、できることから少しずつ発信していけたらと思っています。そして、身近にいる夫や子どもたちに、これからの時代は家事・育児は夫婦で協力してするものということを伝えていけたら…と思います。夫には嫌がられても粘り強く!!

イベントの最後に、3人の写真を撮らせていただきました。左から、枇谷玲子さん、長田杏奈さん、久山葉子さん。
最近手がけた本を手に持っていただきました。
枇谷さん『北欧に学ぶ、好きな人ができたら、どうする?』(晶文社)
長田さん『美容は自尊心の筋トレ』(Pヴァイン)
久山さん『スウェーデンの保育園に待機児童はいない 移住して分かった子育てに優しい社会の暮らし 』(東京創元社)
気になった方は、ぜひチェックを!!

渡辺有紀子 Yukiko Watanabe

編集・ライター

1979年、新潟県出身。妊娠・出産・育児の雑誌編集を16年間経験。家族はレコード会社勤務の夫、2010年生まれの息子、2014年生まれの娘。ほぼワンオペで仕事と育児の両立に奮闘するも、娘の便秘通院をきっかけに退社し、フリーに。趣味はクラシックバレエ。

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