マックのレジ横で見かける募金箱にお金を入れると、どこに寄付されるの? という疑問
個人的な話になりますが、4歳息子との2人飯でよくマクドナルドに行きます。
お目当てはもちろん、子どもの大好物、ハッピーセット。
幼児が好むおもちゃだけでなく、絵本や図鑑もオマケとして選べたりして、
親目線で見ても、非常に満足度の高いセットだなぁと思っています。
(幼児の頻繁な外食には賛否両論ありそうですが……子どもが機嫌よく食事してくれる場は、やはりありがたいものです!)
そんなマクドナルドのハッピーセット絡みで、今月末、興味深いイベントが行われるとの情報をキャッチしました。
10月28日(日)、全国のマクドナルド店舗にて実施される「マックハッピーデー」。
この日にハッピーセットを買うと、セットひとつにつき50円が「ドナルド・マクドナルド・ハウス」に募金されるそうなのです。
この「ドナルド・マクドナルド・ハウス」、マクドナルドのレジ横にある募金箱を見かけてはいるけれど、
実際どんなところかは分からない……という人、実は多いのではないでしょうか?
私自身は、2008年頃に女性誌のボランティア特集にて「ドナルド・マクドナルド・ハウス募金」の情報を少しだけ紹介したことがあったので、多少の知識はあったはず……なのですが、
当時は取材でハウスを訪れることもなく……。
歳月が流れ、さらに(お恥ずかしい話ですが)記憶が薄れつつあったため、子どもに募金箱を指差され「ママ、この箱、何?」と質問されても、うまく答えられずにいた……そんなときに、「マックハッピーデー」の情報と、「ドナルド・マクドナルド・ハウス東大」のメディア向け見学会開催のお知らせが。
これは行くしかない! と思い、足を運んできました。
(前置きが長くなりました……)
「ドナルド・マクドナルド・ハウス」とは一体どんなところ?
「ドナルド・マクドナルド・ハウス」とは、自宅から遠方の病院に入院している子どもと、その付き添いの家族が利用できる滞在施設。
コンセプトは“Home away from home”--わが家のようにくつろげる第二の家。
ハウスの世界第一号、「フィラデルフィアハウス」は、1974年に誕生したそう。
アメリカンフットボール選手の愛娘が白血病にかかり、子どもの入院で家族が感じる困難に直面。
子どもの治療を遠方の病院で行う場合、家族は自宅と入院先との二重生活で、経済的な負担や精神的な苦痛に悩まされる……。
そんなとき、選手の呼びかけで、病院の近所にあるマクドナルドの店舗オーナーや、病院の医師、フットボールチームの協力を得て、募金活動が進められたといいます。
そしてフィラデルフィア新聞社主が提供してくれた家屋を改造。世界初の「ロナルド・マクドナルド・ハウス」が誕生しました!
ハウスの名前は、フィラデルフィアでマックシェイクの売り上げを寄付してくれたマクドナルドに敬意を表し、「ロナルド・マクドナルド・ハウス」と命名。
※ちなみに、日本では発音のしやすさから「ドナルド・マクドナルド・ハウス」と呼んでいますが、世界的には「ロナルド・マクドナルド・ハウス」と呼ばれているそうですよ。知らなかった……!
マクドナルドの募金のほかにも、たくさんの企業や個人の寄付、土地の提供、ボランティアの運営によって支えられ、現在では世界に350以上のハウスが建てられているそうです。
そして気になる日本のハウスですが、行政による土地の提供や、病院の建設費の提供、企業や個人の寄付などにより、現在12軒あるそう。
(※世界でもっともハウスが多いのは米国で182軒。12軒ある日本は世界で7番目に多いのだとか。上位と聞き、なんとなくうれしくなりました!)
「ドナルド・マクドナルド・ハウス東大」はこんなところ!
今回うかがった「ドナルド・マクドナルド・ハウス東大」(以下、東大ハウス)は、東京大学医学部付属病院に隣接して建てられた、日本第8号のハウス。
実際に訪れた東大ハウスは、病気とたたかう子に寄り添う家族の負担が軽減するような工夫が随所で見られました。
コンセプトに「第二の家」とあるように、利用者がくつろげるよう、ホテルではなく自宅っぽい雰囲気を目指しているそう。
個室にはテレビをあえて置いておらず、飲食もできません。
このルールには、個室にこもらずに、リビングルームやキッチン&ダイニングルーム、プレイルームで過ごして他の家族と交流することで、気持ちを切り替えやすくなるように、との狙いがあるそうです。
東大ハウスに関わるボランティアスタッフは、現在210名ほど。2週間に1回のサポートが基本です。
受付などにいるスタッフは、ご近所からのボランティアが主。自転車を貸し出してくれたり、近所のスーパーの場所を教えてくれたりと、利用者の生活をサポートしてくれます。
個人のほか、企業ボランティアが単発で訪れることも多く、草むしりや、夕食を作る「ミールプログラム」に参加することが多いそうです。
「ドナルド・マクドナルド・ハウス東大」利用者の声
利用した家族による貴重なお話もうかがいました。
今回お話を聞かせてくれたのは、馬場玲子さん。
息子さんが小学校高学年のときに拡張型心筋症になり、心臓移植が必要な状態に。その際、「ドナルド・マクドナルド・ハウス東大」に滞在したそうです。
――「ドナルド・マクドナルド・ハウス東大」に滞在中はどのような生活をされていましたか?
馬場さん「家から2時間の場所にある東大病院に入院が決まり、医師のすすめで東大ハウスに滞在しました。
朝から東大病院の病室へ。
CCUに入ると、息子の変調が胃腸にくるようになったのですが、足を揺らすと楽になるというので、朝から夜眠りにつくまで、病室で息子の足を揺らしていましたね。
22時頃、息子が寝付いてから東大ハウスへ戻り、翌朝に備えます。
息子が寝てから片道2時間かかる自宅に帰り、また朝病院へ向かうという生活は正直不可能だったので、東大ハウスがあって本当に助かりましたね」
――「ドナルド・マクドナルド・ハウス東大」に滞在中、特に印象に残っていることは?
馬場さん「ずっと頭の中に息子の病気のことがある中で、病院からハウスまで帰って来る。
雪なんか降ってると『なんでうちの子が……』と涙が出てくるんですが、ハウスの受付でボランティアの方に『おかえりなさい!』と言われると、我にかえりましたね。
見回りで声をかけてくださるボランティアの方にも助けられました。
秋田出身の方は、秋田のお祭りや風習、方言の話を食事中にしてくれて、安らぎの時間でしたね。
気分転換できたおかげで、夜はきちんとベッドで休むことができましたし、朝はまたボランティアの方に『行ってらっしゃい』と笑顔で送り出されて、病院へ向かえました。
病院から『すぐに来てください』と電話がきたときも、隣接するハウスからすぐに病院までかけつけられて、本当に助かりました」
――息子さんの移植手術も無事成功したそうですね。
馬場さん「はい。おかげさまで、少しずつではありますが、息子も好きなサッカーを再開できるようになってきました。
入院中、他人にお世話になったことで、ありがたいという気持ちが息子の中で根付いたのもうれしいことでしたね。
今では、自宅の近くにあるふちゅうハウスに、恩返しのつもりで手伝いに行っています」
子どもが自宅から遠い病院に入院した場合、家族の負担は相当なもの。
金銭的な大変さだけでなく、精神的なつらさも、ハウスのボランティアの声がけによってやわらいだことが伝わるお話でした。
子を持つ親として、病院のそばにはこのような施設が必要不可欠であると実感するとともに、何かできることはないかと考えさせられました。
「ドナルド・マクドナルド・ハウス」では、現在、足りていない物品やボランティアについて、ハウスごとにインターネットで“ウィッシュリスト”を公開し、募集をしているそう(送料は送る側の負担)。
(送り方、手渡し方については、メールで直接問い合わせを)
先日も、あるハウスがツイッターで「もうすぐトイレットペーパーがなくなる!」と呼びかけたところ、ボランティア希望の見学者の方が買ってきてくれたのだとか。
本当に必要なものを届けられるというのは、行動を起こす側にとってもうれしいことですよね。
何かできることがあれば……とお考えの方はぜひ各ハウスのサイトをのぞいてみてください。
もちろん10月28日の「マックハッピーデー」にマクドナルドに出かけるのもおすすめです。
小さなことからぜひ! アクションを起こしてみてくださいね。
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高見澤恵美 Emi Takamizawa
LEEwebエディター・ライター
1978年、埼玉県生まれ。女性誌を中心に女性の性質や人間関係の悩みに迫り、有名無名千人超を取材。関心あるキーワードは「育児」「健康」「DIY」「観劇」など。家族は夫と4歳の息子。