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気づいてますか? 子どものSOS

【学校ってやっぱり行かないとダメ?】『不登校新聞』編集長 石井志昴さんロングインタビュー|LEEweb限定記事

2018.08.18

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気づいてますか? 子どものSOS

突然子どもが「学校に行きたくない」と言いだしたら、あなたはどうしますか?
今回は、、不登校当事者や親に役立つ記事、情報を掲載した『不登校新聞』編集長の石井志昴さんのロングインタビューをお届けします。「学校ってやっぱり行かないとダメですか?」とリアルな質問に答えていただきました。

 

『不登校新聞』編集長・石井志昴さんに聞きました
学校ってやっぱり行かないとダメですか?

 

未就学期の「行きたくない」気持ちを小学校まで抱えていることも

『不登校新聞』の編集長として、これまでたくさんの不登校当事者・経験者に取材を行ってきた石井さん。自身も不登校経験者です。どもが「学校に行きたくない」と登校をしぶったら、その気持ちを受け止めてほしいと言います。

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「以前取材した15歳で不登校という方は、保育園時代から“行きたくない”気持ちがあったそうです。ですが、保育園のときは、“行きたくない”とだだをこねても力づくで連れて行かれたので、小4まで待って不登校になったと。同じように、保育園、幼稚園時代に“行きたくない”と訴えたものの、親に抱えて連れていかれた経験から、体格的に親に無理強いされない小学生や中学生まで待って不登校になった人は何人もいます。最初に“行きたくない”と言い出したときを見過ごさず、早い段階で受け止めてあげることが大切なのでしょう

 

不登校は、不運だけど、不幸ではありません

もし、子どもが「学校に行きたくない」と言った場合、親としてどのような心構えで対処することが必要なのでしょうか。

 

「僕が感じることですが、不登校で起きる本当の問題は、“この子のためだから”“将来のためだから”と親として子どもを思いやっているつもりで、今やるべきこと、今の幸せをすべて犠牲にしてしまうことだと思うんです。親御さんが“しばらく学校を休ませたほうがいいかも?”と感じるのなら、自分のカンに従っていただくのがいいと思います」

 

ところが、子どもの将来についてあれこれ考えたり、祖父母が意見してきたり、ニュースで不登校に関することを見聞きしたり、情報が増えてくると、親が自分のカンを信じられなくなってしまうことも。

 

情報に惑わされず、お子さんの顔を見て、今現在をどう幸せに生きるのか、お子さんの幸せがどこにあるのかを一番に考えていただきたいです。不登校になるまでにはいろいろな理由があり、それは不運なことではありますが、不登校になったから不幸になるのが決まるわけではありません! また、不登校はさまざまな要因が積み重なった結果起こるものであり、親の育て方の良し悪しが原因ではないので、それで思い悩まないでほしいです

不登校経験者も、ありとあらゆる職業に就いています

学校に行けない期間が長引くと、このまま社会からドロップアウトして、進学も就職もできなくなるのでは……。親としてはここが一番の悩みどころです。しかし、「焦って学校に行かせようとすることだけは避けてほしい」というのが石井さんの主張です。

 

ある不登校の方が“学校に行くと自分が自分でいられなくなる”と言ったことがありました。この言葉、私を含めて多くの不登校経験者が共感するものです。となると、ゴールは“自分が自分でいられるようになること”であって、学校に行くことではないと思うんですよね。できれば、学校に行くか行かないかよりも、お子さんが自分らしくいられるかどうかを見てもらいたいです

 

「学校に行くよりも、自分らしく」――頭ではわかっていても、普通に学校に通って、普通に就職をするという将来をついつい親は求めてしまうものです……。

「その気持ちもわかります。ただ、私自身も19歳から『不登校新聞』で働くようになりましたし、同じ不登校経験者でも、17歳で料理人になった友達もいれば、高卒の認定試験に受かって東大に入学した友達もいます。ほかの不登校経験者もみていると、県庁で働く公務員、消防士、旅行会社……ありとあらゆる職業に就いています

 



学校に行けなくなったとき、“休む”以上に大事なことはない!!

再び学校に通ったり、働いたり、社会に出られるようになるために、まずやるべきことは「休むこと」なのだとか。

“休むことも大事だと思うんですけど、このまま休んでいて大丈夫なんでしょうか?”という親御さんも多いです。でも、私が声を大にして言いたいのは、休むこと“も”じゃなくて、休むこと“だけ”が大事なんです! 学校に行けなくなったお子さんにとって、休むこと以上に大事なことなんてありません」

 

そうして休むうちに、子どもが「ヒマだなあ」と口にしたら、それが心の傷が癒えたサインに。

 

「ずっと見守ってきた親御さんは、お子さんが“ヒマだなあ”なんて言ったら蹴っ飛ばしたくなると思いますが(笑)。“ヒマだなあ”と感じられるのは、学校に行くことから解放されて、心の傷も癒えてきて、向上心が芽生えてきたからこそ。ヒマだからと登校を再開した人は、僕の経験上ほとんどが新しい生活を楽しめています」

「子どものSOS」ここに気をつけて

●表情の変化

●おなかなど体の痛み

●きょうだいをいじめるなどいつもはしない行動

学校に行っているときと、夏休み期間など学校がないときで表情が明らかに違うなら学校でつらいことがあるサイン。身体症状は「仮病」と決めつけず、やさしい言葉やケアを。ほかにもいつもと違う行動が見られたら、子どもにかかわる時間を増やしたほうがいいかも。

 


2018年8/7発売LEE9月号P166~に掲載の「気づいてますか?子どものSOS」にご登場いただいた、石井志昴さんのロングインタビューをお届けしました。
本誌もあわせてご覧くださいね。

撮影/齊藤晴香(石井さん) イラストレーション/江田ななえ 取材・原文/古川はる香

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