(※学芸員さんより、資料室内の撮影許可を快く頂いております。縄ない体験についても、他の参加者の方のプライバシーに配慮した上での撮影許可を頂いております。ありがとうございます…!)
Edogawa City Local Archives Office
入場無料!
江戸川区郷土資料室
夏休みの或る日。長男(中2)・次男(小5)・末っ娘(小2)・私…の4人で、工場見学の帰りに江戸川区郷土資料室に立ち寄りました。グリーンパレスという建物の3階にその資料室はあります。1965(昭和40)年に児童生徒の郷土学習に資することを目的として開設され、2000(平成12)年には郷土のあゆみがわかる展示をめざして大幅改修が行われ、2020年にはグリーンパレス耐震補強工事に伴い常設展示をコンパクトに再構成してリニューアルされたそうです。入口から入ってすぐの場所には御神輿が!
建物の一室で小規模な展示室なのかな…と思いきや、間口は小さくても中は広々。
「江戸川区のあゆみ」エリア。上小岩遺跡での出土品の数々や、道標、踏み車、大八車、小岩市川戦争手記などが転じされています。
米作りの道具もたくさん見ることが出来ました!
「くらしとわざ」エリア。江戸時代から受け継がれた伝統の技と暮らし、作品が紹介されています。各種農具や篠崎の笊、長板中形、小岩の和傘、寮母日記、海苔養殖とそれにまつわる用具などの展示が。
レンコンの栽培も盛んだったようです。レンコンの収穫は冬。冷たい泥水の中での作業となったようです。
こちらは海苔養殖関連コーナー。
最後に「川と海と江戸川区」エリア。漁具、開運丸の模型、荷足船の模型、河川維持関係文書、水辺に暮らす鳥類の剥製などが展示されています。
うなぎを捕るための罠「うなぎどう」やうなぎ筒漁についても紹介されていました。昨年の徳島旅でうなぎ採りに餌の鮠(はえ)を入れて使った竹筒と形状が似ていました!
常設展示はここまで。次はミニ企画展「まーくんとしらべよう!かやぶき屋根のヒミツ展」についてです。
mini exhibition “Secret exhibition of thatched roofs”
ミニ企画展
かやぶき屋根のヒミツ展
最近、かやぶき屋根に興味津々でして…(←私が)。最近訪れている、縄文時代や弥生時代の竪穴住居の復元住居は、かやぶき屋根であることが多いです。伊勢神宮のご正殿は内宮外宮ともにかやぶき屋根ですよね。旧白洲邸の武相荘もかやぶきで屋根で、白洲正子が「私が生きているうちは茅葺きにして頂戴」と言っていたのだとか。そんな「かやぶき屋根」のヒミツの迫る展示ということで、ワクワクしながら巡りました。
まず第1章「かやぶき屋根ってなあに?」から始まります。
「茅(カヤ)」と呼ばれる草で作られた屋根を「かやぶき屋根」と呼びます。そもそもカヤとは、ススキ・ヨシ・イネ藁などのイネ科植物の総称。茅抜きや山刀、屋根を縫う針の展示も。
第2章は「かやぶき屋根ができるまで」。屋根の葺き替え作業は生活している家の屋根を取り替えるため、短期間で済ませる必要があり、天気の良い日を選んで近所の人々や親戚など大勢の人が携わる場合があったようです。「屋根普請手伝人足覚帳(やねふしんてつだいにんそくおぼえちょう)」には多くの人が葺き替えを手伝ったことが記録されている他、「屋根葺換兌帳(やねふきかえひかえちょう)」には葺き替えに必要な材料などが書かれているようです。
屋根葺換兌帳からはススキとヨシの両方を買っていることが解る他、舟賃の記述もあり、材料を船で運んだことが推察出来ます。葺いたカヤを押さえる「ホコ竹」や屋根の下地に使用する割った竹「コマイ竹」を使った記録も残されています。
葺き替えに使われる道具の展示。「やっけ棒」はかやぶき屋根の傷んだ部分を引き抜いて新しいカヤを吹き替える「差しガヤ」のための道具です。カヤを屋根に敷き込む道具「雁木(がんぎ)」や、軒のカヤを叩いて一直線に揃える「手板」、カヤを切る時に使う「押切」など。
最後は「文化財とかやぶき屋根」について。かやぶき屋根は乾いた植物で出来ているため燃えやすく、そのため現在では文化財などの限られた建物でのみかやぶき屋根を作ることが認められているそうです。文化財施設では放水銃を設置したり1年に1回防災訓練を行ったり、火災へ備えているのだとか。また、囲炉裏で火を焚いてかやぶき屋根を燻すことで防虫・抗菌効果が期待出来るそうです。
次は、縄ない体験です!
Workshop; twine fibers to make rope
要事前予約!ワークショップ
「縄ない体験」に参加して来ました
そして。郷土資料室での目玉、縄ない体験に子ども達と参加しました。事前予約制で、郷土資料室HP内の申込フォームまたは往復はがきにて事前に申込みをするシステムです。縄ないに使用するのは、しめ縄の材料にも使われる、出穂前の青々とした稲を刈り取った「実とらず」と呼ばれる稲ワラ。「実とらず」は刈り取り後にすぐに短時間で乾燥させることでこのように美しい青色になるそうです。遅くともお盆前までには刈り取りマストなのだとか。
稲わらを捻りながら、継ぎ足して長い縄にするのですが…、継ぎ足しの作業が難しい…!!
3人とも完成です!
縄を綯いながら、注連縄(しめなわ)やお正月飾りにも興味が…。神社・神棚の注連縄を制作・更新されている業者さんはどこなのだろう…とか、お正月飾りに稲わらが使われる意味を調べるようになりました(←私が)。日本人が伝統的に生み出して来た稲ワラの利用法のアレコレは、今まさに叫ばれている「持続可能な社会」を築く上で大いに参考になるものばかり。脱穀後、本来その役目を終えた筈の稲わらで、縄を綯ったり、屋根の葺き材にしたり、草履(わらじ)や鍋敷き、筵(むしろ)などの工芸品を作るほか、家畜の餌にしたり、燃料に使ったり、燃えた後のわら灰を釉薬にして陶磁器に着色したり…。稲作の副産物を多面的に利活用する昔の人たちの知恵には驚嘆するばかりです。
江戸川区郷土資料室は公式HPにてイベント情報や開室日情報などを発信されていますので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね◎
あわせて読みたい
- GW雨の日はアンパンマンミュージアム
- いよいよ「はやぶさ2」が地球に帰還目前!&家族でプラネタリウム
- 【神奈川】子どもと行くプラネタリウム&JAXA(宇宙科学研究所)
- 岡本太郎美術館へ/神奈川県川崎市
- 【神奈川】50周年の「かわさき宙と緑の科学館」へ
- 【神奈川】遊べる科学館「はまぎん こども宇宙科学館」へ。
- 【VISON】ミナペルホネンミュージアム&ショップへ。/三重県
- 【VISON】くるみの木 暮らしの参考室 ミュージアム&イートイン。/三重県
- 相模原博物館のプラネタリウム&JAXA(宇宙科学研究所)2022/神奈川県
- 『買上展』藝大コレクション展2023へ!
- KIDS PARK/こどもの視点カフェ/星のキッチンへ。@ITOCHU SDGs STUDIO
- 最新テクノロジーを体験!TEPIA先端技術館へ/東京
- ニュースパーク(日本新聞博物館)へ!/神奈川
- 花王ミュージアムへ!親子で社会科見学/東京
- 【東京】町田市考古資料室&本町田遺跡へ!
- お~いお茶ミュージアム&お茶の文化創造博物館へ!親子で社会科見学!/東京・新橋
- 横浜市歴史博物館&大塚・歳勝土遺跡公園へ!/横浜
- 首都高MMパークへ!/神奈川・横浜
- NEXCO中日本の見学施設へ!高速道路の世界を楽しく体験!@コミュニケーション・プラザ川崎/神奈川
- 神奈川県立歴史博物館へ!“北斎が描いた美しい日本”トピック展も!
- 貨幣博物館へ!&特別展「新しい日本銀行券2024─匠の技とデザイン─」/東京
- 村田製作所の科学体験施設“Mulabo!”へ/神奈川
- 【2days】横浜市民防災センターで地震火災・風水害体験ツアーに参加!/神奈川
- 日産グローバルギャラリー「真夏のナゾ解き大冒険2 タイムトラベル編」に参加!/神奈川
- プラネタリウム“ドラえもん 宇宙の模型”@相模原市立博物館へ!“上溝番田の神代神楽”民俗企画展も!/神奈川
TB - はな
主婦 / 神奈川県 / LEE100人隊トップブロガー
41歳/夫・息子(13歳・10歳)・娘(8歳)/手づくり部・料理部・美容部/大雑把な山羊座のO型。好きなものは器、アメリカンヴィンテージ、宝塚歌劇、マンガ、ミナペルホネン、オールドマンズテーラー、GU、ユニクロなど。インテリア・ファッションなどLEEで勉強中。両実家とも遠方で3人の子育てに日々奮闘。ドタバタと過ぎて行く日々の中でも「今」を大切に、小さな幸せを拾い集めながら成長して行きたいです。
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。