スニーカーで散歩できるほどの暖かさが幻だったかのように、一気にドカ雪が降った先日。
雪かきや運転のしにくさに疲れもしますが、朝起きてカーテンを開いたときの一面の雪景色に北海道の冬はやはりこうでなくてはと、少し嬉しくなったり。
そんな日々のなか寝不足になりながら読了した「ともぐい」を紹介させてください。
(本を読んでいる暇があったらブログかけよと思われそうなくらい、ブログ投稿本数が少なくて本当にすみません。下書きがどんどん溜まっていっています…)
生きるために命をいただく
北海道出身の作者河﨑秋子さんによる「ともぐい」は「人が生きるためには命を食べなければいけない」というテーマをもとに明治時代の北海道を舞台に、山に籠り鹿や熊を仕留めて生きてきた1人の猟師を描いた物語です。
山中で傷を負った男性を見つけ、助けたことにより、今まで犬を相棒に1人で生きてきた猟師の運命が少しずつ動いていきます。
森の風景や森に住む動物たちの姿が立体的に鮮やかに浮かぶ文章。
鹿を仕留め解体し、内臓を食すシーンは血肉の表現が生々しく、とてもリアルで目を背けてしまいたくなりますが、それこそが命をいただくということだと教えてくれます。
(普段スーパーなどで並んでいるお肉やお魚も元々は姿ある尊い命。きれいにパッケージされて並んでいて簡単に手に入ることからつい忘れてしまいそうになりますが、命に感謝していただかなければと思います)
自身の命を懸け熊と対峙するシーンは熊の息遣い、爪先や毛並みの様子など細かな描写により熊の迫力が伝わり、先へ先へと読み手を引き込みます。
そして主人公以外の登場人物もとても濃いです。
一人一人が時代に飲み込まれながら生きていくことに一生懸命であり、一生懸命であるが故にぶつかってしまう不器用な人たち。
作者 河﨑秋子さん
どうしてこんなに野生の動物の姿をありありと描けるのだろうと不思議に思いながら読みました。
作者の河﨑さんは酪農家の生まれ、鹿を解体した経験も持っているそう。
そんな河﨑さんが文字のみで描いていく動物たちは、そこに生きているかのように生き生きとしています。
また先日北海道で放送された番組に出演されていたのですが、
「主人公の全てに共感できなくて良い、もやもやする部分、すっきりする部分など、いろんな感情を抱いていただければ」というようなことをおっしゃっていました。(細かい言葉尻など忘れてしまいましたが確かこんな風におっしゃっていました)
確かに本作の主人公に対して共感できる部分もあれば、なぜそのような行動をするのか理解に苦しむ場面もあり、さまざまな思いを抱きながら読みました。
読み進めていくうちに色々な感情の波があり、それに飲み込まれていく感覚がありました。
それこそが河崎さんの作品の醍醐味なのかもしれません。
私はこちらが一作目なので、これから河﨑さんの作品を読んでいくのが楽しみです。
024 - kano
事務職 / 北海道 / LEE100人隊
35歳/夫・息子(4歳)・娘(1歳)/手づくり部・料理部・美容部/北海道の南の方で育ち大学進学にて上京。その後また地元に戻り暮らしています。料理すること、食べること、食事に合わせたお酒を飲むのが好きです。田舎で暮らし、四季折々新鮮なものを食べられる贅沢を日々感じています。ゆったり穏やかに日常を大切に、自分らしく自然体でいられるよう日々過ごしています。コスメ、ファッション、読書も好きです。身長166cm。
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