ひと口で、野菜もごはんもおいしく食べられるキンパ。お出かけランチにもぴったりなその華やかさは、春のワクワク感にぴったりです。難しそうに見えて、手順そのものはとてもシンプル。基本のレシピを、人気の料理家、キム・ナレさんに教わります。
まず覚えたいのは、華やかなこの1本!
キム・ナレさんの基本のキンパ
「ほうれん草は、今の時季なら菜の花やきぬさやでもいいですね。韓国ではたくあんを使いますが、私は、麹の味わいがやさしいべったら漬けを。ごはんが温かい出来たてもおいしいんですよ」(キム・ナレさん)
材料・2本分
- 焼きノリ(全形)……2枚
- 温かいごはん……300g
- A)
- ごま油……大さじ1/2
- 塩……小さじ1/3
- 新にんじん……1/2本
- 新ごぼう……細め1本(約60g)
- ほうれん草……50g
- カニ風味かまぼこ……3本
- べったら漬け……1/5本ほど
- 卵……1個
- 白いりごま……適量
- B)
- アガべシロップ(またはハチミツ、砂糖)……大さじ1
- しょうゆ、水……各大さじ1/2
- 塩……適量
- えごま油(または米油など好みの油)……小さじ1/2
- 米油(または好みのくせのない油)、ごま油……各適量
※アガベシロップは甘味がしっかり立つのが特徴。代わりにハチミツや砂糖を使う場合は、味をみて量を少し多めにしても。砂糖に比べて血糖値の上昇が緩やかなこともあり、キム・ナレさんは愛用しています。
作り方
- にんじんは4~5㎝長さの千切りにする。ごぼうも同様に千切りにして5分ほど水にさらし、ザルに上げて水気をきる。カニ風味かまぼこはそれぞれ縦半分にさく。べったら漬けは5㎜角の棒状に切る。
- ほうれん草をゆでる。冷水にとり、水気をしっかり絞って4〜5㎝長さに切る。塩少々で味つけする。
- フライパンを中火で熱し、米油小さじ1/2と①のにんじんを入れて2分ほど炒める。塩少々で味つけする。
- 洗った③のフライパンを中火で熱し、えごま油と①のごぼうを入れて炒め、油がなじんだら、Bを加えて汁気がなくなるまで炒める。
- フライパンに米油を薄く引き、中火で熱する。卵と塩少々を混ぜて全体に広げ入れ、薄焼き卵を作る。1㎝幅に切る。
- ごはんにAを加え、よく混ぜる。
- 巻きすにノリ1枚を置き、⑥の半量を全体に広げる。
ノリを横長に置き、指に水をつけながら均一に。ごはんはノリいっぱいに広げる
- 手前を2㎝ほど空け、具材の半量を中央より手前に収まるように並べる。
ごはんの半分程度に収まるように具材を並べる。半分よりはみ出しそうなら、上に重ねて
- 巻きすの手前を持ち上げ、一気に具材を巻き込む。
指で具材を押さえながら、ノリの手前側を具の先のごはんに当てるようにして巻いていく
- 巻きすの中で転がすように巻き終え、巻きすの上から軽く押さえて形を整える。
巻きすを少しずつずらし、中でキンパを転がすようにしながら、最後までしっかりと巻く
- 表面にごま油を塗り、ごまを振る。残り1本も同様に作る。
※作り方5の薄焼き卵は直径22㎝程度のフライパンを使うとちょうどよい薄さに焼ける。
\切るときはパン切り包丁がおすすめ/
ごま油が入っているので、日本の太巻きよりは包丁にくっつきにくく切りやすい。「パン切り包丁だと、よりきれいに切れます。まず半分に切ってから、好みの厚さに切りましょう」(キム・ナレさん)
おいしい野菜がいっぱいの、キンパ作りが楽しい季節です
「韓国では遠足やピクニック、運動会のときにはキンパなんです。遠足のお弁当というと、クラスみんなが具材もほぼ同じキンパを持ってくるほど! 外ごはんが気持ちいい春は、まさにキンパの季節なんです」(キム・ナレさん)
難しいルールはなく、具は自由に。「プルコギや韓国風の薄いさつま揚げ、ハムを入れたりもします。必ず具を何種類も入れるわけではなくて、にんじんと卵とたくあんだけのキンパは全州(チョンジュ)というところの名物ですね。
細巻きにわさびじょうゆをつけて食べることもあって、これが止まらないおいしさなんです。野菜たっぷりのキンパは、とても体にやさしい料理。旬の野菜のおいしさと栄養は格別ですから、ぜひ春ならではのキンパを味わってみてくださいね」(キム・ナレさん)
教えてくれたのは
キム・ナレさん
韓国・仁川(インチョン)出身。日本で暮らしたことのある祖母の影響で、日本語を学ぶ。2007年に来日し、当時は写真の道へ。その後、ドイツ滞在、韓国への帰国を経て、2011年に再来日、服部栄養専門学校を卒業。レストラン勤務後に開いた料理教室が話題に。初の著書『おいしい韓国料理のレシピ』(朝日新聞出版)も好評。日本で手に入る食材で作る、体を健やかに保つ韓国料理のレシピで人気。
Instagram:narekim
公式サイト:www.kimnare.com
料理の道に進んでから、ますます器好きに。「韓国の古い器のほか、イ・キジョさん、キム・サンインさんなど現代作家の器も好き。白磁が多いです」(キム・ナレさん)
「おいしいLEEレシピ」はこちら!撮影/田上浩一 スタイリスト/朴 玲愛 取材・原文/福山雅美 撮影協力/UTUWA
こちらは2023年LEE5月号(4/7発売)「キム・ナレさんの春のごちそうキンパ」に掲載の記事です。
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