映画ライター折田千鶴子のカルチャーナビアネックス

クジラ/イルカ漁をめぐる今の真実――。 映画『おクジラさま ふたつの正義の物語』の佐々木芽生監督に直撃!

当事国なのに、私たち日本人があまり知らない“捕鯨問題”

みなさんも、日本がクジラ漁をめぐって世界から非難されていることは、きっとご存知ですよね!? でも、あまり詳しいことは知らず、“なんかやたら責められているなぁ…”と感じたり、“捕鯨は昔から日本の文化って言うし…”止まりで、自分の考えを持つに至らない方も多いのではないでしょうか。

かくいう私もそんな一人なのですが、「う~む、そういうことか!!」と初めて知り、驚き、唸らされたのが、映画『おクジラさま ふたつの正義の物語』です。興味深いことこの上ないのですが、その激論を巻き起こしかねないテーマに敢えて踏み込み、メガホンを握ったのは、なんとNY在住の佐々木芽生監督です。

彼女こそ、日本でも大ヒットしたあの愛すべき『ハーブ&ドロシー』(08&13)シリーズの監督さんなのです!!

北海道札幌市生まれ。87年よりニューヨーク在住。フリーのジャーナリストを経て、92年にNHKアメリカ総局勤務し、経済情報や世界のニュースの担当レポーターを務める。独立し、各局の報道番組の取材や制作に携わる。全米きっての現代アートの収集家でもある、NYに暮らす質素な公務員夫妻を追ったドキュメンタリー映画『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』(08)で監督デビューし、多数の賞を受賞する。その続編『ハーブ&ドロシー2~ふたりからの贈りもの』(13)も各国で上映され、高く評価された。
<写真:岩城裕哉>

原動力になったのは、あのアカデミー受賞作への不快感!

元々ジャーナリストであった監督は、自身の胸の内に、捕鯨問題に関する色んな思いを10年以上、抱えていたそうです。

「番組の取材のために“捕鯨問題”をリサーチしたことがあり、“何かイヤだなぁ”という思いが残り続けていました。そんな中、09年の夏に映画『ザ・コーヴ』(09)を観て、“もうダメ、我慢できない!! ”と本作に着手しました」

そう、当事国なのに問題をよく知ろうとしなかった私たち日本人に冷や水を浴びせたのが、『ザ・コーヴ』(09)でした。その年の米アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した作品で、すこぶる面白い、まるでスパイ映画のようなエンターテインメント映画です。

「明らかに何かの目的を持ち、活動のツールになる映画。エンターテインメント性も非常にあるけれど、その危うさを強く覚えました。事実誤認もある上、誰かの悪事を暴く姿勢で太地の漁師さんたちを描き、血で染まった海の赤を映像で見せる。その映像のインパクトがあまりに強く、観た直後は「イルカを殺しちゃダメ」という心境にさせてしまう。でも段々と、少しおかしいぞ、と不快感が膨らんで

そう聞いて思い出すのは、傑作ドキュメンタリーを撮り続けるマイケル・ムーア。『ボウリング・フォー・コロンバイン』(02)しかり、『華氏911』(04)しかり。最新作の『マイケル・ムーアノ世界侵略のススメ』(15)に至るまで一貫して、攻撃的に取材対象にマイクやカメラを向けていますが……。

「マイケル・ムーアの場合は、向ける先が常に権力者や営利目的で動いている産業界。我々一般人が知らされていないことを、既存のメディアがやらないので彼が敢えて暴露した。ところが『ザ・コーヴ』は、数億の予算を持つハリウッドの製作陣が小さな町に乗り込み、町の漁師を糾弾した。その力関係は、単なるイジメではないか、と」

胸がスッとするくらいに納得。漠然とした疑問が解消されました!!

さて、『おクジラさま』は、クジラ/イルカ漁をめぐる“目の前で行われる現実”を私たちに提示してくれます。

 

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