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相馬由子

子どものやる気を引き出し、祖父母も楽しめる「3世代登山」のすすめ[前編]

  • 相馬由子

2017.08.21

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「暮らしのヒント」の記事でたびたび子連れアウトドアネタを披露している私・ライター相馬ですが、20代半ばくらいまでに、むしろアウトドアは嫌いでした。子どもの頃、登山好きの父にたびたび山登りに連れていかれたことが原因です。優しいお父さんだったら山好きになっていたかもしれませんが(笑)、うちの父は超スパルタ、典型的な昭和の父親だったので、私は山登りが嫌いになってしまいました。

小5の夏休みには、東京都、埼玉県、山梨県の3県にまたがる標高2017mの雲取山に三峯神社コースから登り雲取山荘に1泊。今となってはいい思い出なのですが、あまりの険しさにこの経験で決定的に山登りが嫌いになりました。

しかし、スポーツやアウトドアが好きなアクティブな夫に影響され、結婚後に改めてキャンプや山登りを始め、今では実家のある秩父に帰ると、父も誘ってみんなで山登りをしています。昔スパルタだった父も、孫には甘いおじいちゃんなので、娘もじいじと山に行くのが楽しいようです。

3世代登山なら、大変なことも楽しく乗り切るマインドが身につく

そんなわけで、最近は夫と私、娘、おじいちゃんの4人で山歩きを何度かしているのですが、その中で3世代で山歩きをするメリットってたくさんあるなあと感じました。

おそらく、どこの家庭もそうだと思いますが、祖父母は基本孫を褒めますよね。山登りの時、「こんなところも自分で登れてすごいねー」などと、祖父が娘を常に褒めまくるため、娘もやる気になり、けっこう急な登りや下りも、最後まで自分で歩いています。そんな感じで、終始楽しい雰囲気で歩いているので、今のところは「山登り=つらい」ではなく「山登り=楽しい」というふうに子どもの中にインプットされているようです。こういった経験によって、つらいことも前向きに続ければ達成できるという粘り強さが身に着いたらいいなあと思いました。

孫との登山で、祖父母も元気になれる

そして、もう1つは、祖父母にとっても孫と一緒に山登りをすることが、1つの張り合いになるということかな、と思います。私たちの親世代は登山ブームの世代なので、山登りが趣味という祖父母はわりと多いと思います。我が家の場合、夫の母も山登りが好きなので、夫の実家に帰った時には、従姉妹たちも一緒に、義母に近くの山の連れていってもらって、みんなで山登りをしました。

そんなふうに、自分の趣味を孫と一緒にできるということが嬉しいのではないかなと。また、私や夫よりも祖父母のほうが周辺の山の知識が豊富だったりするので、基本は頼りにしているため、張り切って計画を立て、張り切って連れて行ってくれます(笑)。というわけで、3世代で登山をするもう1つのメリットは、祖父母が元気になれるということです。

山登りをすると、祖父母と孫の距離が縮まる

そして、もう1つ私がメリットだなと思うこととして、祖父母と孫の距離が縮まるということです。私は仕事でもたまに山に登ることがあります。これまで、お互いにまだよく知らない編集者やカメラマン、モデルさんと一緒に山に登ったことが何度かありましたが、なぜか山に登ると一気に仲良くなれるんです。

たぶん、家族でもそれは同じかなと。日頃離れて暮らす祖父母と孫が一緒に山に登ると仲良くなれて、子どもがおじいちゃん、おばあちゃんの存在を身近に感じてくれるようになると思います。子どもにとって、自分が心を許せる信頼できる大人が増えることはいいことですからね。

さらに言えば、子どもだけじゃなくて、嫁と姑の仲もよくなるんじゃないかなあ(笑)。



今回は標高772mの「四阿屋山」へ

というわけで、前置きが長くなりましたが、今年のお盆に帰省した時にも、秩父郡小鹿野町(旧・両神村)にある四阿屋山(あずまやさん)に4人で登ってきました。四阿屋山は、秩父の中でもたぶんそれほどよく知られた山ではないと思います。私も今回初めて知りました。標高は772m。春先には福寿草とロウバイが咲くそうです。最近この四阿屋山に登ったという父の勧めで、山頂下の両神神社奥社までなら、4歳の娘も登れるのではないかということで、ここに行くことにしました。

後編では四阿屋山での3世代登山の様子をレポートします。

相馬由子 Yuko Soma

ライター

1976年、埼玉県生まれ。夫と7歳の娘との3人暮らし。編集プロダクション、広告系出版社を経て独立。ウェブ、雑誌、書籍などで編集、執筆を手がける。最近では、子育て、アウトドア、旅、食などのテーマを担当することが多い。合同会社ディライトフル代表。

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