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子育てをしながら"里親になる"という選択

【養育里親制度】家族の様子などリアルな体験談を聞きました。子供を育てながら養育里親に

  • LEE編集部

2022.04.02

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子育てをしながら“里親になる”という選択

親の病気や経済的な困窮など、さまざまな理由で実親と暮らせない子どもたちを、家庭に迎えて養育する"里親制度"。

日本ではまだあまり広まっていませんが、子どもの年齢や期間、条件はさまざま。身近な活動の一つとして、社会全体で理解していくことが大切です。

そんな折、LEEライターNの保育園時代のママ友が、“養育里親”に!

里親になるまでの経緯や、家族の様子など、LEE世代女性のリアルな体験談から、里親制度をもっと身近に考えていきます。

この記事は20222年2月7日発売LEE3月号の再掲載です。


"里親"体験談
「わが子でもそうでなくても、子どものかわいさは変わらない。育児の経験を生かして、社会貢献したいと"里親"に」

ライターNのママ友 LEE世代女性 和代さん

 

1979年生まれ。養育里親としてこれまでに3人の里子を迎える。小学4年生の女の子、小学1年生の男の子の母。10年以上務めていた会社を退職して、現在は養育里親に専念。

ライターNのママ友 LEE世代女性 和代さんが“里親”になるまで

ライターNのママ友 LEE世代女性 和代さんが“里親"になるまで1
ライターNのママ友 LEE世代女性 和代さんが“里親"になるまで2
ライターNのママ友 LEE世代女性 和代さんが“里親"になるまで3



乳幼児の育児が一段落して今後の生き方を考えるように

小学4年生と1年生、2人の子どもの育児真っ最中の和代さん。実子がいながら、なぜ“養育里親”になろうと思ったのでしょうか?

「10年以上オーガニックコスメの企画、販売の仕事をしていたのですが、だんだんと自分のやりたいことと仕事の方向性にズレを感じるように。子どもたちの乳幼児期が終わって少し一段落したので、今後の生き方について考えるゆとりも生まれました。
自分ができることは何だろうと思ったときに、私は人、食、健康に意識が向いていて、特に子どもや子育ては興味深くておもしろいなと。ちょうどその頃、ポスティングされていた自治体の里親募集のチラシを見つけて。
私はわが子とほかの家庭の子どもの境があまりないようでみんなかわいいと感じること、またせっかくなら自分の子育て経験を通して社会貢献ができるといいなと思っていたので、これだ!とピンときました。チラシを見るまで“養育里親”についてまったく知らなかったのですが、すぐにやってみたいと思いましたね」(和代さん)

里親になり里子を迎えるためには、家族の理解がマスト。特に、夫とは話し合いを重ねたそう。

「基本的に私がやりたいことは止めない夫なのですが、最初に伝えたときはさすがに『本気なの?』と驚いた様子で。なぜ里親なのか、何をやっていきたいのかなど、まるで面接のように質問をされ(笑)、私の話を聞きながら夫はパソコンでまとめていました。
最終的に私の“人の役に立つと実感できることがしたい”“子どもの個性や本来あるべき姿を尊重した育児を、わが子だけでなくやっていきたい”という思いに納得したよう。無理に説得しようとしたわけではなく、夫の疑問に正直に答えたことが理解につながったのかも。
私の住む⾃治体では研修、乳児院への実習などに夫婦での参加が必要だったので、夫も⼀緒に学びました」(和代さん)

研修テキストやレクチャーで準備、話し合いを

里親を希望してから認定されるまでの期間は、平均で約1年ほど。中でも、里親研修が特に印象に残っていると言います。

「わが家以外にも里親を希望する6~7家族が参加して、里親になるために必要な知識や心得のレクチャーを受けます。
私の自治体の研修ではグループワークがあり、例えば、里子には里親の気を引くための“試し行動”があってそれにどう対処するか、といったケーススタディをみんなで考えて意見を発表することも。参加者には実子がいない夫婦、すでにわが子が巣立っている方々もいて、さまざまな意見が聞けて勉強になり、自分自身の育児を振り返るいい機会にもなりました。
ただ、研修を通して夫は『意味があることだと思うけど、将来子どもたちが成長してからではダメなのか』と慎重な姿勢に。でも、10年後にはどうなっているかわからないし、もう小さい子どもの育児をする気力、体力が残っていないかもしれない。今だからこそという気持ちが大きかったので、根気よく夫に伝えていきました。
その結果、養育里親には、原則18歳まで長期で養育する形と、数週間~数カ月のみ預かる短期があったので、まずは短期間で始めてみることに。また実子とのバランスを考えて、3歳以下の乳児限定で預かることにしました」(LEE世代女性 和代さん)

本当の弟、妹のように里子と接することで実子も成長

2020年3月に里親認定を受けてからこれまでに、3人の里子を受け入れ。和代さんは仕事を退職して里親に専念し、やりがいを感じているそうです。

「1人目が5日間、2人目が1カ月半、3人目が1週間と、すべて短期で。生後すぐ~1歳までの子どもたちだったので、久々に夜中に起きて授乳をしたり、わが家で離乳食をスタートした子もいましたが、これまでの育児の経験があるからかあまり負担には感じません。
実子が本当の弟、妹のようにお風呂に入れたり一緒に遊んだりとかわいがっているので、私も余裕を感じるのかも。短期間だとかえって別れがつらいほどで、1人目の子どもが帰ったときの娘の悲しみは相当なものでした。
あらためて里親とはどういうものか、里子として家に来た子はいつかはいなくなってしまうということを実子にはきちんと伝えなくてはいけないと実感。でも、そういったことを含めて貴重な経験で、実子が成長する機会にもなっています。
里親をしていて大きな問題はないのですが、少し気になるのは周りの目。親しいママ友には話して理解を得ているのですが、挨拶をするぐらいの近所の方にも言うべきなのかは悩みます。
血がつながっていなくても、幸せな家庭があればいいと私は思っているので、そういった考え方や里親制度のことが、もっと当たり前になっていくといいなと感じています」(和代さん)


イラストレーション/朝倉千夏 取材・原文/野々山 幸(TAPE)
この記事は2022年2月7日発売LEE3月号『子育てをしながら"里親になる"という選択』の再掲載です。

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