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高木綾子

【香川・高松】 菓子木型を使って和菓子づくりのワークショップ

  • 高木綾子

2020.02.10

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移住することが決まってから、目につくようになった香川関連の記事。
本屋で全国の名所紹介系のタイトルを見つけると、まず「香川は何が載ってるかな?」とページをめくるようになりました。

そして何気なく手にとった日本の手仕事を紹介する本。その中に、香川の伝統工芸品である菓子木型と、それを使って和菓子づくりが体験できるワークショップスペース「豆花」を発見しました。

「伝統工芸品」。。。その言葉だけで何だかハードルが高そうです。。。
しかし、調べてみると、教室では子供も一緒に参加できる内容であるとのこと!早速帰省時に挑戦することにしました。

作れるのは和三盆・練り切りの2種

「豆花」で作れるのは香川のお土産でもおなじみの「和三盆」と「練り切り」の2種類。
特に練り切りは、作っている様子があまり想像できず難しそうなイメージでした。本当に出来るかな??不安な気持ちを持ちつつも、思い切って両方参加する事に。

会場は高松市花園町にある豆花。伝統工芸士・市原吉博さんの工房のすぐそばにアトリエはあります。可愛い看板の中に2階建の教室が。

まずは和三盆に挑戦!

まずは、比較的取り掛かりやすい和三盆から。
材料は和三盆の粉と色水(水+食紅)。そして、みんな自分の好きな木型を選びます。

ハートやイチゴなど、小さくて可愛い和三盆の型が並びます。

はじめに、和三盆に色水を吹き付けしっかりと混ぜます。
普通のお水だと真っ白の和三盆。色水で好きな色に着色します。

真っ白な和三盆。色水の色が綺麗にでます。

固まらないよう3分程しっかりと掻き混ぜ、裏ごしをしたら、垂直に型に押し詰めます。

全体に付いた余分な和三盆を払ったら、木型を打って型から外し、あっという間に出来上がり。噂通りとっても簡単です!


出来上がったお菓子は、お抹茶と一緒にいただきます。
残りはお土産に。

左は子供、右は私の作成した和三盆です。小さい子でも簡単に作ることができました。

次は難易度の高い練り切りづくり

私は、練り切りに木型を使う事さえ知りませんでした。和三盆と異なり素材が柔らかいので、大人でもなかなか難しいとのこと。娘の見本にならねば。。。と気合が入ります。

材料は、和菓子の外皮に白餡に求肥(ぎゅうひ)を混ぜたものを、餡には白餡を使います。
全て団子状にしたものから始めます。

こちらもまずは木型を選びから。
中央二つの(梅と笹)大きく平たい木型は餡を巻く外皮を作るためのもの。その他の木型は一つの練り切りを型から抜いて作る時に使います。


まず、巻くタイプの練り切りの外皮を作ります。
外皮用の団子を棒状に伸ばしたら、湿らせた平たい木型に伸ばし、その上に俵型の餡を乗せます。


慎重にクルクルと剥がしていけば美しい練り切りの出来上がり!6歳児でもこんなに美しい練り切りが!
仕上がりに思わず「わ〜!!」と歓声が上がります!

次は型から抜いて作るタイプの練り切りに取り掛かります。餡を求肥入りの餡で巻いて団子を作ります。湿らせた木型にお団子を入れ、垂直に押し込み木型全体に行き渡らせます。

四隅に行き渡らせるため、蓋の上から掌を使ってギュッギュと垂直に押し込みます。

蓋をとって、木型を打ち、型から外したら出来上がり!型から出すのに少し手惑いますが、美しく仕上がりました。

最後に、平たい型に押して作るだけの練り切り作りも体験しました。


ワンツーステップなのにこれまた美しい仕上がり!


ちなみにこちらはすべて我が家の作品です。
左上の2つ、椿と梅、左下の竹の練り切りは6歳の娘が作ったもの。残りの3つが私の作ったものです。ちょっとコツは必要ですが、慣れれば簡単に美しい練り切りが作れます。

あれこれ挑戦できそうな菓子木型。自宅で出せたらちょっとした話題になるかも?
和菓子屋さんの無い海外にいかれる方へのプレゼントにもいいかも?!などなど想像が膨らみます。



アトリエを始めた理由

江戸時代から続く菓子木型。市原吉博さんはその伝統工芸士です。
菓子木型職人は時代とともに受け継ぐ人が少なくなり、四国では市原さんたった一人になってしまいました。
そんな市原さんの仕事を側で見て育った娘の上原あゆみさん。市原さんの作る美しい菓子木型をもっと広く知ってもらおうと2009年に「豆花」を設立しました。

主催者の上原あゆみさん。楽しいおしゃべりをしながらのワークショップでした。

「目的は2つありました。1つは、地域の子供達も菓子木型という伝統工芸品を知ってもらう事。2つ目は、海外の方にも菓子木型を楽しんでもらいたいということでした。」
各地でワークショップを重ね、6年前からは地元の小学校でも定期的に授業を開くようになったそう。今では、ロンドンや上海、台湾など、世界各地でワークショップを開催しています。

「菓子木型を使った体験は、大掛かりな設備が要りません。場所を選ばない上、工程もシンプル。そのため国内外どこでもワークショップを開くことができます。
普段はお子様連れの方の参加が多いのですが、お茶を習っている方などは、自宅で手作り和菓子を振る舞いたいと、木型自体を購入する方もいらっしゃいます。
お陰さまで多くの方に菓子木型の事を知っていただき、とてもやりがいを感じています。」

大きい木型は落雁を作る時に使われます。

この他にも季節や用途に合わせて沢山の木型が用意されており、その数なんと110点!ワークショップの木型も季節などによって変わるので、楽しみのひとつに。

上原さんに、香川の魅力も聞いてみました!

上原さんは、生まれも育ちも香川県。この土地をこよなく愛しています。

「香川は建築やアートが今のように話題になるずっと前から、丹下健三設計の県庁舎や、直島の美術館など、美しい建築物・アートがとても身近な存在でした。
その歴史・環境の中で、行政の芸術への理解も深く、私たちが何かアクションを起こしたい時、サポートしてくれる土壌が整っていると感じています。
若い人にもチャンスがあり、それを受け入れてくれる街の良さがある。
今後も、学校での授業やワークショップの開催などを通じて地元の文化を伝えていくことが私の役割であると感じています。」

高松の空港や街の県産品店で必ず見かける和三盆。
そのほんのりした甘さや優しさと、アトリエでの温かい時間は、穏やかな瀬戸内海の風景と重なるような気がしました。

皆さんも香川を旅する際には、旅の思い出にぜひ参加してみてはいかがでしょう?

豆花

住所:香川県高松市花園町1-9-13
TEL:087-831-3712
予約受付専用:090-7575-1212
営業時間:10時~17時
定休日:木曜

高木綾子 Ayako Takagi

ライター/LEEキャラクター

1981年生まれ。百貨店バイヤー、ヴィンテージショップなどファッション業界を10年経験。その後、LEEキャラクターになったことをきっかけに同世代の女性に役立つ情報を伝える仕事に興味を持ち、ライターの道へ。夫の仕事の関係で2020年より東京から香川へ移住し、ファッションや子育てのほか、四国地方についても執筆。2児の女の子ママ。

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