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三菱自動車の災害支援「DENDOコミュニティサポートプログラム」が果たす役割とは

  • スーザン史子

2020.01.26

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アウトランダーPHEV

アウトランダーPHEVが、昨年9月に発生した台風15号の被災現場で大活躍したというのは前回リポートしましたが、このクルマが活躍したケースは、他の災害現場でも報告されています。

たとえば、2018年9月に起こった北海道胆振東部地震のケース。この地震により、北海道のほぼ全域が停電に見舞われましたが、地震の3か月前にこのクルマを購入したファミリーが、実際に給電機能を使って3日間の停電期間を無事に過ごした例も紹介されました。

そのリポートのなかで特に印象に残ったのが、「水洗トイレの水を流すことができた」という部分です。水洗トイレは水があれば流せるのでは? と思いがちですが、電気を通さないと水って流れないんですね。電気のない生活って本当に不便です。

また、地元の北海道新聞社でも、2012年の初冬に見舞われた暴風雪を機にアウトランダーPHEVを導入していましたが、北海道胆振東部地震の大停電の際も大変役立ったということです。

これらは、個人や企業で購入した場合の活用例ですが、三菱自動車では、身近にアウトランダーPHEVがないといった場合にもすぐに対応できるよう「DENDOコミュニティサポートプログラム」に取り組んでいます。これは、災害時に自治体から電話一本でも協力要請があった場合には、同社の事業所や販売会社ネットワークから、電動車等の貸し出しを行うというものです。

2019年12月10日現在の情報によれば、京都府や静岡県など10の自治体との締結が完了しているほか、約40の自治体との間で、締結に向けての話し合いが進められているとのこと。同社では、その動きをさらに推し進め、2022年までに全国の自治体と協定を結ぶことを目標にしています。

プラグインハイブリッドが果たす役割

千葉や北海道での活躍を知ることで、クルマの持つ役割、ことプラグインハイブリッド車が果たす社会的役割はとても大きいと感じました。

個人的には2011年3月11日に起きた東日本大震災が思い出されますが、1~2日間、たった数時間の停電であっても、電気のない生活というのはとても苦労が伴うものです。あの日、仕事で外出中の私のかわりに、乳児だった息子の面倒を見ていたのは実家の母でした。停電中でミルクをつくるお湯がなかったとか、寒さにも震えたと聞いています。

千葉や北海道の被災現場ではさらに深刻な状況があったと思いますが、そんなときに給電機能を持ったクルマがあれば、とても助かるのではないでしょうか。

たとえば、スマホの充電がないときや、テレビが見られないときでも、クルマから電気が取れれば、最新の情報を得ることができます。電子レンジや炊飯器などの調理家電を動かすことができれば、レトルトものを温めたり、温かいスープを飲んだりすることもできます。

暑さ・寒さ対策も例外ではありません。アウトランダーPHEVでは、バッテリーの電力があればエンジンをかけることなく車載のクーラーが使えるほか、電気ストーブなどの冷暖房器具も使えます。

また、V2H(Vehicle to Home)機器を経由すれば、家庭への電力供給も可能です。同社の試算によれば、満充電の状態で一般家庭の最大約1日分、エンジンでの発電も組み合わせれば、ガソリン満タンで最大約10日分の電力供給が可能ということでした。

近年は、地震だけでなく、台風や竜巻などの自然災害も、より身近に感じられるようになってきています。

プラグインハイブリッド車は、価格としては少々高めですが、税制や補助金を合わせるとだいぶお求めやすくなります。たとえば、東京・足立区の個人・法人で「アウトランダーPHEV Gプラスパッケージ」を購入した場合には、総額で約91万円もお得になります。

「災害にも強い“動く蓄電池”」という観点からプラグインハイブリッド車を選ぶというのは、現実的な選択といえそうですね。

 

スーザン史子 Fumiko Susan

カージャーナリスト

出版社にて雑誌編集に携わった後、自動車ジャーナリストに転身。女性誌や専門誌、web等で、主に車関係の記事を執筆。10年に息子を出産、ママ目線での車の使いやすさにも注目するかたわら、安全運転講習の講師を務めるなど、クルマ生活に役立つ情報を提供している。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

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