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ライター中沢明子のお気に入り★文化系通信

お手頃ブラウンダイヤモンドで、あたたかな煌めきを身にまといたい!

  • 中沢明子

2019.12.16

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肌なじみの良いブラウンダイヤモンド

 

 

 

これまでエンタテインメントの「好きなもの」を激推しさせていただいてきた「お気に入り★文化系通信」ですが、もちろん、「お気に入り」はエンタメだけとは限りません! お気に入りのアイテムは生活を「文化的」に豊かにしてくれる、とても大切なもの。好きなエンタメも周囲に勧めまくる私ですが、好きな物も同じように周囲に勧めまくっております。そこで、ホリデーシーズンの12月ということで、ふだん使いにお勧めしたいキラキラ☆アイテムを紹介させてください。

 

それは……ブラウンダイヤモンド!

 

実は分不相応な趣味ですが、私は宝石が大好きです。ダイヤモンドやサファイヤ、スピネルなどのカラーストーン、黒真珠といったジュエリーを長い時間をかけて少しずつ、コツコツと集めてきました。もちろん、気軽に買えるアイテムではありませんから、ふだんはいろいろなお店で「すてきだわ~」と目の保養をさせてもらっています。

そうしたなかで、「これは!?」と目が釘付けになったのが、ダイヤモンドディーラーでもある「カシケイ」のオリジナルブランド、「カシケイブラウンダイヤモンド」でした。キラキラと強い光を放つ一方で、なんともいえないあたたかみがあり、大地を感じさせるような、とてもナチュラルな美しさを感じたのです。せっかくなので少し大きめの粒を試着してみると、ブラウンならではのしっくりくる肌なじみで新鮮。大粒なのに良い意味で控えめな印象で「いいなあ、これは使いやすそう」と思いました。そして「ブラウンダイヤモンドがこんなにきれいだったなんて知らなかった」という驚きがありました。価格的にも、少しがんばってお小遣いを貯めれば買えないことはない価格帯のアイテムもたくさん揃っていて、「いつか欲しいな」という気持ちに現実感を持てました。

 

 

ダイヤモンドにはスタンダードなノーカラーの他にも、イエローやピンク、ブルー、レッドなど希少カラーがあります。カラーダイヤモンドは、小さな粒でも目が飛び出るお値段ですが、ブラウンは大抵お手頃価格。なぜなら、あまり希少ではないのと、これまでブラウンは「他のカラーに比べて美しくない」とほとんど評価されてこなかったからです。実際、カシケイのブラウンダイヤモンドを見るまで、「わあ、きれ~い!」と感じたブラウンダイヤモンドを私は見たことがありませんでした。なぜカシケイのブラウンダイヤモンドはきれいなんだろう? なんだか不思議……。というわけで、その「美しさの秘密」を知りたくなって、柏圭(カシケイ)の田口和也代表取締役社長にお会いしてきました。

 

 

日常使いできる”ちょうどいいジュエリー”を

 

どのダイヤモンドも愛おしそうに紹介してくださった田口社長。ダイヤモンドを手にニコニコ!

 

「2002年に初めて“美しいブラウンダイヤモンド”を見たんです。ベルギーの会社から持ち込まれたものでしたが、ダイヤモンドディーラーの私もこんなにきれいなブラウンがあるのか、と驚きました。一般的にダイヤモンドといえば、希少カラーは別として、無色であればあるほど、粒が大きければ大きいほど価値が高いとされてきましたが、ブラウンとはいえ、こんなに美しい石もあるのに価値があまり認められないのはもったいないな、と素直に思ったんですよ」(田口さん)

思い立ったら、すぐ行動の田口社長は翌年、ブラウンダイヤモンドのプロジェクトを立ち上げます。ところが、最初は反対意見も出て、当初は社内からブラウンダイヤモンドの美しさや価値への理解を浸透させるところからスタートしたそう。常識の壁を破るのは、いつだって困難がつきものですよね。

「最初は夏木マリさんにイメージキャラクターになっていただきました。夏木さんは意志をしっかり持っているかっこいい女性。自分のライフスタイルに合うダイヤモンドを選び、日常的に身に付けてほしい、という思いを表現してくださるのにぴったりでした」(田口さん)

実は“日常的にダイヤモンドを身に着けてほしい”という思いを田口社長はずっと持ち続けてきました。

 

 

「婚約指輪もそうですが、タンスの中に大事にしまいっぱなし、という方が多いのではないでしょうか。日常のシーンに合わないから、しまい込んでしまうのでしょう。ですから私はダイヤモンドの煌めきを気軽にまとえるような“毎日使えるダイヤモンド”のご提案をしたいと常々考えていました。ブラウンダイヤモンドはそうしたニーズに応える宝石だと思ったのです。濃淡のある豊かな色調も個性があって魅力的ですが、美しいブラウンカラーは肌なじみが良く、さりげない輝きが日常使いにぴったりなんです。10万円前後から豊富にアイテム数を揃えていますから、“自分で買うダイヤモンド”の候補に入れていただきたいですし、使い勝手も価格的にも身に着けてくださる方にとって“ちょうどいいジュエリー”でありたいと思っています」(田口さん)

 

 

美しいブラウンダイヤモンドを気軽に

 

 

そして、「なぜカシケイのブラウンダイヤモンドがブラウンの中でも特別に美しいか」というと、答えは意外に単純でした。ダイヤモンドディーラーとしてたくさんのダイヤモンドを扱うため、ブラウンの中でも特に美しいブラウンの石を厳選しているからなのだそう。今では他社でもフォーカスされるようになったブラウンダイヤモンドですが、ダイヤモンドディーラーのプライドにかけて、厳しい品質基準で選び抜いていると自信を持って言えるといいます。

「弊社はインドから輸入したたくさんの石の中で、小さな石であっても輝きの統一感を大切にして、慎重にリカットしています。石はノーカラーのダイヤモンドと同じ基準で厳選していますが、ブラウンはむしろ、微妙なカラーグラデーションがあるぶん、ノーカラーよりも手間暇がかかって大変なんですよ(笑)」(田口さん)

 

並べると濃淡のグラデーションがよくわかります。

 

小さな粒(メレダイヤといいます)をいくつか使ったジュエリーなら、カラーのグラデーションにも統一感が必要ですから、「美しいブラウンダイヤモンド」でビシッと揃えるなんて、確かに難しそう……! ブラウンはブラウンでも、繊細に選り分けられたメレダイヤで作られたジュエリーを見る目が変わりました。プロの手や目による細かい作業で、ひとつひとつできているんですね。

「カシケイブラウンダイヤモンドは、当初のターゲット通り、これまでは個性的な女性たちに多く支持していただいていましたが、最近は裾野が広がり、お客様の層が厚くなってきました。ブラウンダイヤモンドの魅力が伝わりつつあるからこそだと思うので、とてもうれしいですね。私は弊社の6代目ですから、ビジネス的にもジュエリー需要の裾野を広げていくのは重要なミッション。でも、美しい宝石を一人でも多くの方に気軽に楽しんでいただきたいという強い思いがあるからこそ、この仕事を続けています」(田口さん)

美しい宝石を特別な富裕層だけのものではなく、たくさんの人が“ちょうどよく、心地よく”楽しめるものにしたい――。

私が田口さんのお話から受け取ったメッセージです。ちなみに、ダイヤモンドはものすごーく硬い石なので、ちょっとやそっとでは傷がついたり、割れたりしません。タンスの奥にしまってあるダイヤモンドがあったら、ぜひぜひ、どんどん身に着けちゃってくださいね!

 

●柏圭(カシケイ)株式会社

1928年創業。1971年には、ベルギーのアントワープ市よりダイヤモンドの輸入実績と普及への貢献を認められ表彰されるなど、日本のダイヤモンドディーラー企業の老舗として、宝石業界で重要な役割を果たしている。また、「カシケイブラウンダイヤモンド」のほか、オーストラリアのアーガイル鉱山から採掘されるピンクダイヤモンドを使ったコレクションやデザイナーブランド「TOMOKO KODERA」など、自社ブランドも高く評価されている。

カシケイブラウンダイヤモンド

 

取材・文/中沢明子 撮影/細谷悠美、カシケイ

中沢明子 Akiko Nakazawa

ライター・出版ディレクター

1969年、東京都生まれ。女性誌からビジネス誌まで幅広い媒体で執筆。LEE本誌では主にインタビュー記事を担当。著書に『埼玉化する日本』(イースト・プレス)『遠足型消費の時代』(朝日新聞出版)など。

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