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上紙夏花

“そのまんま梅の床”で忙しくても野菜で一品!ぬか床より簡単です

  • 上紙夏花

2019.10.25

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たった15分で漬物が完成しちゃう!

和歌山県みなべにある、てらがき農園さんの『三年熟成 そのまんま梅の床』甘口とノーマル。10年以上、農薬を使わずに梅を育てている梅農家さんのものです。写真の甘口とノーマルのほかに、てんさい糖バージョンもあり。

平日の夕食の準備をしていると、「ああ、もう一品、野菜のおかずが作れたらな…」と思うことがあります。我が家には冷蔵庫で管理できるぬか床があります。きゅうりやニンジン、茄子などを漬けておくと、「一品助かった!」となるのですが、漬けておくのを忘れるとその日は諦めるしかありません。でも、今回ご紹介する『そのまんま梅の床』があれば、食べたいと思ってからたったの15分で漬物が完成するんです。まさに、忙しい人の救世主!

15分で漬けたい場合は、きゅうりや大根はこのような大きさに切って漬けます。 オクラは固い部分を取って生のまま漬けますよ。ヤングコーンやみょうがなども美味しいです。もちろん別の容器に移し替えてもいいですが、このジップ袋のままでも大丈夫です。

ぬか床のように定期的にかき混ぜたりしなくてOK!

しかも、ぬか床のように定期的にかき混ぜたりする必要もないので、出張や旅行があっても気にしなくて大丈夫。野菜から水分が出てきたら、その上澄みだけをお椀に移して、お湯を注いで大葉などを散らせば、スープまでもが完成!これでもう2品、出来上がっちゃいますね。また、別の日は梅の床の上澄みにアマニ油とブラックペッパーを混ぜてサラダのドレッシングにしたり、餃子やお鍋のつけダレにもしても美味しいです!

大根ときゅうり、オクラを漬けました!右がノーマルで、左が甘口。見た目にはあまり変わりがないですね。甘口はお砂糖が入っていてマイルドな酸味なので、我が家では息子たちにも人気です!

この梅の床は、農薬を使わずに、納豆菌や酵素などの力を利用した自然栽培で丁寧に育てられた南高梅で作られています。食べ物の陰陽でいうと、梅はもともと、陰で身体を冷やすもの。でも三年熟成させることで陽に変わるため、てらがき農園では三年熟成したもの以外は販売しないと決めているのだとか。三年熟成させることで、生成り完熟梅の自然の甘味が出てくるので、いろいろな味付けをしなくても美味しい梅の床ができるのです。

実はこの梅の床、捨てるところがほとんどありません!もちろん無添加で作っていて、塩分が防腐剤の代わりに、種が保存料の役割を果たしてくれます。塩気がなくなってきたら梅の床としての役割は終わりなのですが、まだまだ活用方法が残っています。たとえば、梅を少しグラスに入れて、炭酸水で割って梅ジュースにしてもいいし、焼酎を飲むお父さんに梅割りを作ってあげてもいいですね。ほかには、ごはんや野菜と一緒に炒めてチャーハンにするのも美味しいです。野菜炒めやみそ汁にも入れるとひと味違う仕上がりに。

なんと、種の中の〝仁〟も食べられちゃいます

野菜を切らずに丸ごと入れるなら数時間で仕上がります。朝、きゅうりと茄子を漬けて、会社で刻んで食べるというのもいいですね!酸っぱくなりすぎたら、洗うと落とせるので失敗知らず。本当に便利です!

なんと、種の中の〝仁〟も食べられちゃいます。一般的に農薬は種に集まるといわれていますよね。長年に渡って、農薬不使用で作ってきた梅なので、種まで食べられるのです。種割り器を使うと簡単に割れますよ。この〝仁〟は味覚のリセットにひと役買ってくれます。「甘いものが止まらない!」とか「脂っこいものが無性にほしくなる」というときにストップをかけてくれますよ。



「そばかす梅」だって味は抜群!

『そのまんま 梅の床』の開発者である、てらがき農園の〝うめちゃん〟こと、寺垣みち子さん。和歌山から東京出張に出かけるときは、必ずきゅうりや茄子などを丸ごと漬けて持ってくるんだそうです。宿泊先で出会う外国人にもこの〝ジャパニーズピクルス〟が大人気なんだとか!

「忙しい女性のためにと作ったのが、そのまんま梅の床なんです」と語るのは、てらがき農園の寺垣みち子さん。梅農園にある梅の木のうち、何本かを無農薬にしているという農家さんもある中で、てらがき農園では、全ての梅の木を2006年から、無農薬で育てているそうです。梅の木の特性上、無農薬栽培というのはとても難しく、相当なご苦労があったのだとか。この『そのまんま梅の床』、実は農薬を使わない自然栽培の梅農家のお悩みを解決すべく、生まれた素晴らしいアイデア商品なのです。

指しているのがそばかす梅の写真。味は変わらず美味しいというのに、生梅としては商品にならないというのが現実です。

というのも、農薬を使わない自然栽培の場合、畑の生態系が変わるまでの10年くらいはとても厳しい状況が続きます。生梅(青梅)として出荷できる、見た目が美しい梅は収穫量のわずか1割しかとれません。残りの9割は「そばかす梅」といって、黒っぽい斑点ができてしまうのです。(農薬を使用した一般栽培では、美しい梅の収穫量が9割)いつもなら、積み上げるとビル5階建て分くらいの収穫量なのに比べて、昨年の台風のときには、手のひら一杯分くらいの量しか取れなかったんだそうです。

梅の木を見る機会が多い人は見慣れているかもしれませんが、私はそばかす梅の存在を知りませんでした。見慣れていないとやはり、そばかす梅をキズ物だと勘違いしてしまって、同等の価値だと思ってもらえないというのが、そばかす梅が流通しない理由なんだそうです。見た目が美しい梅と「味は変わらないの」と聞いて、思わず「♪そばかす~なんて、気にしないわ~(名作アニメのアレです)」と歌いたくなりました(笑)。寺垣さんが子どもの頃から、お父さんが梅の中に野菜を漬けたものを食べさせてくれていて、そのそばかす梅を使って、梅の床を作ればいいのだと、思いついて、5、6年前に商品化したのだそうです。

「いつもお子さんのことやご主人のことを考えて、食事に気を使っている女性って多いと思うんですよね。でも、お料理になかなか時間がかけられないですよね?みなさんが時短でお料理ができるように、私たちが時間をかけて作るということなんです。簡単に野菜を漬けて出すだけで、なんだか手の込んだものを作って出したという感覚になるっていうお客様がたくさんいるんですよ!」と寺垣さんがお客様のエピソードを教えてくれました。

突然、夕飯時に尋ねてきた彼。炊飯器の中には干からびたごはんが少ししか残っていなくて焦ったAさん。電子レンジでチンするごはんがあったのを思い出して、そこに梅の床に漬けた野菜を刻み、ごはんに混ぜ込んで彼に出しました。すると彼は……「俺のために寿司を作ってくれたのか!」と感動してくれたんだそうです。女子力の高い、手の込んだ料理と受け取ってくれたんですね!梅の床、最高!!

農園には子どもたちをはじめ、いろいろな人が梅もぎや梅干しづくり体験などに訪れます。いままで梅が好きじゃなかったという人も、てらがき農園を訪問したことをきっかけに梅が好きになる人が多いんだそうです。なかでも興味深いのは、妊婦さんが胎教にいいからとわざわざやってくること。梅の香りをかぎながら梅の木の下でフワフワの草のベッドでごろごろするのがいいのだと、助産師さんから聞いて来られるそうです。梅の香りは日本のアロマといわれていて、外科の先生がオペのあと、よく眠れないときに枕元に置いて寝るために、香るための完熟梅の注文が入ることも。

現在、地域の障害者施設の人たちと提携して、梅の床の加工をしたり、現在、耕作放棄地となっている畑でも梅を栽培できるように動いたりと、梅を通じて社会貢献ができるように寺垣さんは奮闘中とのこと!その姿も評価され、てらがき農園の梅干しは、実は今年の農林水産省主催の「フード・アクション・ニッポン アワード2019」という日本全国の優れた産品を発掘・表彰するコンテストのベスト100に入賞しました!しかも、和歌山県で唯一の受賞。

みなさんもぜひ、味わってみてくださいね。

てらがき農園 公式サイト

上紙夏花 Natsuka Uegami

ライター/ビューティープランナー

1977年、大阪府生まれ。吉本新喜劇の女優を経て、ライターに。現在は化粧品の商品開発やPRを手掛けるほか、ベビーマッサージ講師としても活動している。夫・息子9歳、3歳

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