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松崎のり子

家が浸水して家財が使えなくなったら…に正しく備えよう

  • 松崎のり子

2019.10.22

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令和元年台風19号による記録的な大雨のため、各地で甚大な水害が発生しました。とくに東日本を中心に71河川で堤防の決壊などが起き、多くの住宅が浸水してしまう被害が。被災した皆様には心よりお見舞いを申し上げます。

昨年の西日本豪雨に続く、目を覆うばかりの大規模な浸水。予想を超えた自然災害が起きるのは、もはや異常でもなく当たり前の事態になったのだと考えなくてはいけなくなりました。今まで大丈夫だったから、という思い込みも捨てなくてはいけないでしょう。これまで水害とは無縁だと思われていたタワーマンションが、浸水による停電の被害をこうむってしまったことも意外でした。さらに、今後はたとえ高層階だとしても、猛烈な雨量が降ることでベランダの排水が間に合わず、室内に水が浸入して家具などに被害を与える可能性がないとは言えないでしょう。加入している火災保険に水濡れ(給排水設備の事故や破損などを原因とする漏水や放水などによる損害)や水害の補償があるかを改めて確認しておいたほうがいいでしょう。集合住宅に住んでいる人なら、共有部分の保険の加入内容も把握しておくべきですね。

家具や家電の買い替えは一度に発生すると負担が大きい

水害の被害は建物だけでなく家財にも及びます。一度水に浸かってしまった家具や家電製品は、廃棄せざるを得ない場合も多いのです。先日、19号で被害を受けた都内の住宅地を通った折に、道沿いに大量の被災ゴミが積み上げられているのを目の当たりにしました。大型のソファにタンス、食器棚にピアノまで。なかでも目立ったのが大型の冷蔵庫です。家電製品は泥を洗い流せばまた使えるというものではないので、そのまま捨てるしかないのでしょう。エアコンやテレビ、パソコンも同様にゴミとして捨てられ、回収されるのを待っていました。浸水被害に遭ってしまうと、家はもちろんのこと家具の買い替えにも多額の費用がかかるのだ……と実感した光景でした。

火災保険では、建物への補償と家財への補償は別々に加入します(地震保険も同様です)。家財は加入者が自分で金額を決めることができるのですが、「うちには高価な家財はないから、家財の補償は少なくてもいい」と控えめに計算してしまうと、いざという時に買い替えに足りないこともあり得ます。手元の資料では、夫婦と18歳未満の子ども2人の4人家族の場合、約800万~約1600万円(世帯主の年齢により異なる)という目安も出ています。

賃貸暮らしの人も家財に対する保険に加入しているはずですが、賃貸契約のついでに内容をよく吟味せず入っているとしたら肝心の補償額が本当に足りているか確認しておいた方がいいでしょう。(ただし自動車は水没して使用不能になっても、火災保険の補償対象ではないので注意)もちろん、補償額を上げれば保険料も上がりますが、支払いは現金で支払われるので、受け取ったあとの使い道は自由。家具や家電の買い替え用だけでなく、当面の生活費にも使うことができるのです。
一度大きな災害にあってしまうと、預貯金だけでは生活の立て直しに十分ではないことが多いもの。いざという時に役立つ保険内容なのか、平時の時にこそしっかり見直しましょう。

松崎のり子 Noriko Matsuzaki

消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。

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