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佐々木はる菜

【助産師さんによる産後ケア体験記】“産後”だけじゃない!女性の心と身体、支えるサポートとは?【後編】

  • 佐々木はる菜

2019.02.28

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妊娠・出産・育児に向き合うお母さんたちに寄り添い、様々な形で支えてくださる「助産師」の皆さん。
ひどい「乳腺炎」に苦しんでいた私をケアし、心身両面から救っていただいた体験談を通し「訪問型の助産師さん」についてお伝えした【前編】に続き、【後編】でお送りするのは「助産師外来」と呼ばれる場所。私自身が通って感じたことや、実際の様子を通し、親子どちらもより幸せになれる温かなサポートについて、お届けしたいと思います。

東京・自由が丘の駅から少し歩いた閑静な場所にある「自由が丘MC母乳・育児相談室」(以下、MC)は、母乳・育児相談専門の助産師外来。母乳ケア(乳房マッサージ)や母乳にまつわる相談の他に、妊娠中〜産後の全身オイルケアメニューや育児相談なども行っています。

1人目に続き2人目の産後も乳腺炎に苦しんでいた私が通い始めたきっかけは、周りのママ友が何人も通っており、皆が口を揃えてオススメするその評判の高さでした。
産院や産科で出産の立ち会いや妊産婦ケアに携わっている経験豊富な助産婦さんが、専門的な知識を駆使して施術してくださる「助産院」ですが、病院というよりもおしゃれなサロンのような雰囲気。また、待合室には子どもが遊べるスペースがあり、子連れで安心して通うことができる場所だということも大きな魅力でした。

赤ちゃんか上の子、どちらかとは常にくっついている生活が続く2人目産後。
子どもたちはスタッフの方に見守られ、短い時間ではありますが「独り身」に戻って、リラックスできる空間でマッサージを受けることのできるMCでの時間は、当時の私にとっては本当に貴重なリフレッシュでした。
また、子どもたちにとっても安心して遊べる場所で、親子どちらも楽しい時間を過ごすことができるという点も嬉しく、施術が終わった後も、待合室で離乳食をあげ、おむつも替えてから帰るなど、毎回ゆっくりさせていただいていました。

専門知識の豊富な助産師さんが、それぞれに合ったサポートを

乳腺炎で悩んでいると必ず注意される「食生活」についても、まず“充分頑張っている”と労い受け止めてくださった上で、私自身の状況や想いに寄り添いながらアドバイスをしてくださるので、相談しにいくたびに気持ちをぐっと軽く前向きにしていただきました。

乳腺炎に伴うあまりの痛みから、2人目の産後も必死で甘いものや脂っぽいものを控えていましたが、それでもすぐ詰まってしまう体質の私。慣れない2人育児に奮闘する中、食べてはいけないものが多いことは大きなストレスで、疲れも溜まりがちでした。
「赤ちゃんが寝ている間に、野菜を適当に切りながら大き目の鍋にどんどん入れて煮込んで、野菜スープや“鍋”みたいなものを作っておき、毎食それも一緒に食べるようにすると、野菜と栄養、母乳に必要な水分を取ることができるし、体も温まって楽になる」など具体的な方法や、食事の制限がとにかく辛かった時には「どうしても甘いものが食べたかったら、ここの予約を取って来る前に食べてください。最悪、私がマッサージでどうにかします!」と言ってくださるなど、その時の私にできるアドバイスや、その時に“しんどいこと”を軽くしてくれる一言が、本当に嬉しかったことをよく覚えています。

それぞれのお母さんが、その方らしい育児をするお手伝いをしたい

私がお世話になっていた、助産師の水島華枝さん。温かく包み込んでくださるような笑顔に、毎回元気をいただいていました。

「助産師外来」というと乳房マッサージや母乳指導のイメージが強い方もいらっしゃると思いますが、「一番の目標は、親子共に幸せな育児をするお手伝いをすること」だと話す水島さん。

「実際にお会いしてお話を伺い、体の状態を拝見した上で『あなたには、このやり方が合っているのでは?』というアドバイスをしながら、お母さんご自身が『自分はこれがいい!』という答えを一緒に見つけ、それを応援したいと考えています」

ネットが普及した現代は、すぐに色々なことを調べられる反面、育児について逆に悩んでしまう方も多いそう。母乳についても様々な考え方がありますが「正解」などはなく、それぞれのママと赤ちゃんによって答えは違うので、ひとりひとりの心身としっかり向き合うことを何よりも大切にされているといいます。

母乳ケアで訪れた方でも、あまりに緊張が強い場合、敢えて胸は触らずボディマッサージに留めることも。背中や足から血流を良くして体をしっかり温めることで全身の状態を改善させるなど、専門知識を活かして様々なアプローチをしてくださります。

完全母乳か否か、卒乳・断乳のタイミング…時にとてもデリケートな側面を持つ「母乳にまつわる悩み」。水島さんの元には、片道2時間近くかけて遠方から通う方や、毎回ご家族揃って訪れるファミリーなど「水島さんに相談したい!」と足を運ぶお母さんも多く、そうやって信頼関係を築いて行けることが、何よりの喜びだと言います。

「『2か月でおっぱいをやめたい』という方もいれば、『10歳まであげたい』と話す方もいらっしゃいます。お母さんとお子さんそれぞれの立場やご事情を尊重しながら、その親子にとって一番良い子育てができるように毎回本気で向き合い考え、一緒に出した答えを精一杯サポートすることが、私の仕事だと思っています。」

娘・母・祖母…3世代で相談に

年齢やライフステージと共に変化する女性の心と体。
通っていたママのお母さんが更年期の相談に来たり、大人へと変化する年代の小中学生の女の子がママと共に訪れ、生理や胸の成長に伴う痛みについて気になることを話したり…産後や子育てについての悩みもちろん、女性ならではの多岐にわたる問題を相談するため、MCには産後に限らず様々な年代の女性が足を運んでいます。

「母乳の相談もマッサージも、きっかけのひとつでもあると思っています。面と向かうと出てこないことでも、マッサージをして体と心が緩むとぽろっと本音を話せたりするもの。お茶でもしに行く感覚で、女性が気軽に通って色々と相談できる場所を作ることができたらと思っています。そして、子育て中のママたちは毎日本当に忙しいので、安心して少しでも休んで行って欲しいと願っています」

長期休み期間中に4人のお子さんを全員連れてきて、ママはマッサージ、子どもたちはそれぞれ好きに過ごす…というお母さんもいらっしゃるそう。きっと貴重な休息になっているだろうと感じました。

妊娠・出産を通して知った「助産師さん」の欠かせないサポート。さらに、乳腺炎をきっかけにお世話になった「産後ケア」を通して、産前産後の時期に限らず全ての女性にとって心強い味方であることを実感しました。
我が家の子どもたちは6歳と4歳になり、いわゆる「産後」はだんだんと良い思い出に変化していますが、自分自身や家族の心身の健康のために、これからもご縁を続けて行けたらと思っています!

自由が丘MC  母乳・育児相談室(助産師外来)

佐々木はる菜 Halna Sasaki

ライター

1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い、ブラジル生活8か月を経て現在は家族でアルゼンチン在住。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。

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