LIFE

経験を重ねた今こそ響く、人生の処方箋!

30代・40代の悩みに「プロが選んだ恋愛小説」~気分転換編~

  • LEE編集部

2019.01.01

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Romance novel

夫に優しくできないモヤモヤ解消や、寝る前のリラックスに。LEE世代ならではのお悩み解決に寄り添ってくれる本を、読書のプロたちがご紹介します!

BOOK MANIAのコンシェルジュが
悩みに聞く一冊を!

代官山 蔦屋書店 文学コンシェルジェ 間室道子さん
一枚のPOPからベストセラーを生み出す、元祖カリスマ書店員。書評、文庫本の解説などでも活躍中。
ブックディレクター BACH 幅 允孝さん
本と人をつなぐ売り場、ライブラリーを手がける。著書に『本なんて読まなくたっていいのだけれど、』等。
文芸ライター 石井絵里さん
女性誌で書評連載のほか、BOOK特集記事、作家の取材記事などを執筆。歴女で時代物×恋愛小説が好き。

 

Q:夫についイライラしてキツく当たってしまいます。
もう少し優しい気持ちになりたい!

A:わかりやすくはないけれども、実は深い夫の愛を感じてみる


夫という生き物の繊細さが見える小説
『娘と私』
獅子文六 ¥1400/ちくま文庫

昭和のベストセラー作家が、亡き妻に捧げた自伝小説がおすすめです。主人公の“私”は、国際結婚に破れたシングルファーザー。子育てをしてくれる人を条件に、妻と再婚します。百点満点の夫とは言えない“私”は、妻から異議を唱えられることも多々。しかし彼女への考察が綴られた文章からは、彼なりに妻を理解し、どこまでも共に生き抜こうとする覚悟や努力が……! 夫という生き物の繊細さを知ることができます。

A:マイペースに、時に激しく向かい合う夫婦の愛に触れて!


いらだちすらも愛おしくなる短編集
『赤い長靴』
江國香織 ¥505/文春文庫

その怒り、間違っていません(笑)。仕事に子育てに大忙しのLEE世代ならば当たり前! 本書は結婚10年目の夫婦の連作短編集で、一番短い『買い食い』という作品に、彼らのただならなさが表れています。話が通じず、突然信じがたい行動に出る夫。そんな彼もまた、ほかの短編では妻に惑わせられてしまうのです。何年たってもなれ合わず、互いを引き付け合う二人に静かな感動がわいてきます。

Q:日々エンドレスに繰り返す家事・育児に疲れたとき、
選ばなかった人生があるんじゃないかと考えてしまいます。

A:同じことを夫側の目線から、ドラマティックに疑似体験


初恋相手との燃える恋。不倫小説の隠れた名作
『国境の南、太陽の西』
村上春樹 ¥530/講談社文庫

そう感じているのは、自分だけじゃないかもしれません(笑)。夫目線から描かれたこの小説で、“もうひとつの恋愛”を疑似体験してみるのも手。仕事も家庭もすべてが順調すぎる主人公が再会したのは、小学生の頃の初恋の人・島本さん。月日を経て魅力的な女性になっていた島本さんと、主人公の、激しくも純粋な思いに心を揺さぶられます! 余韻が残るラストも◎。思いっきり濃い恋愛をした気持ちになれます。

A:恋や人生の選択に正解・不正解はないと思わせてくれる作品を


現実と虚構が曖昧になる、ファンタジー感も味わえる
『ブルーもしくはブルー』
山本文緒 ¥460/角川文庫(電子版)

過去に思いを馳せてしまうのはいいことなのか? 悪いことなのか? まずはその時点から戸惑いがあるのならば、この小説をおすすめします。スマートな結婚生活に加えて年下の彼もいる主人公が、不倫旅行の先で出会ったのは、昔の恋人と結婚して地味に暮らす“もう一人の自分”。そして二人は入れ替わってみることにし……。自身の優位性を確かめるように進む物語から、得られる何かがあるかもしれません。

Q:「寝る前のほんの10分」でも
別世界感を楽しめる本はある?

A:想像力で新しい世界を作り出す主人公と共にめくるめく冒険を!


初恋相手との燃える恋。不倫小説の隠れた名作
『地球にちりばめられて』
多和田葉子 ¥1700/講談社

留学中に故郷の島国が消えてしまった女性・Hiruko。彼女はヨーロッパ大陸で生きていくために、“パンスカ”という言語を作り出します。そんな彼女の活動をTVを通して興味を持った青年クヌート。Hirukoは彼とともに、消えてしまった母語を話す者を探す旅をすることに。想像力ひとつで、居心地のいい場所や新しい関係性はいつだって作れると前向きになれる長編です。

A:男女関係の教訓を粋に描く短編小説で、恍惚や渇きを味わって


34の情事は、まさに大人が読むのにふさわしい物語
『ベッドのおとぎばなし』
森 瑤子 ¥750/小学館文庫

大人のLEE世代だからこそ、寝る前10分で情事小説を楽しんでしまいましょう!と言っても描かれているのは、生々しいものではなく、情事の予感や、その後、かつての秘め事など、のっぴきならぬ展開を覚悟した、大人の男女ならではの関係性です。恋愛と色事の教訓を粋に書かせたら右に出る者はいない、森瑤子さんの名著。どの結末も深い味わいが!

A:遠ざかってしまっていた思春期の恋に、脳内ワープ!


この秋にアニメ化もされた、大ヒット純愛小説
『君の膵臓をたべたい』
住野よる ¥667/双葉文庫

アニメ映画も公開中の、大ヒット恋愛小説を手にとってみるのもアリなのでは!? 高校生の“僕”が病院で出会った一冊の文庫本は、同じクラスの桜良が書いた、秘密の日記帳でした。“僕”と桜良の期間限定の切ない恋模様に、とっくに過ぎ去ってしまった思春期の思いが蘇ってきます。話題作を読むこと自体も、家事や育児に忙しい日々の中でいい気分転換になるはず!

年末年始の慌しい中でも、自分時間を見つけて恋愛小説の世界にひたってみてはいかがでしょう? 次回は、友人の恋愛の悩み、子どもの成長に悩んだときなどをお届けします!


撮影/富田 恵(ブック) 取材・文/石井絵里
この記事は2018年9月7日発売LEE10月号『30代・40代の「心に効く」恋愛小説』の再掲載です。

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LEE編集部 LEE Editors

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仕事や子育て、家事に慌ただしい日々でも、LEEを手に取れば“好き”と“共感”が詰まっていて、一日の終わりにホッとできる。
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