全米で注目されている話題の脳の休息法「マインドフルネス」。
アメリカで「マインドフルネス」を第一線で研究している精神科医の久賀谷亮先生に、LEE世代のママにありがちなお悩み別のおすすめ「マインドフルネス」を教えてもらう第二弾。体のリフレッシュやストレスとの付き合い方に効果的な方法をうかがいます
瞑想で体をリフレッシュできる!?
【お悩み】子供が小さく、自分の時間が割けません。全然運動ができないので、体を動かしたのと同じ爽快感を得られるマインドフルネスを知りたい。
津島 脳を休ませることで体にもいい作用があるのですか?
久賀谷 脳と体は自律神経でつながっています。だから脳に疲労が蓄積されていくと、体にも疲れとして表れてきます。ひどくなると局所的な痛みが起こることも。脳を休ませると慢性的なだるさや肩こりにも効果が見込めます。
津島 肩こり持ちとしては気になります。
久賀谷 体の疲れを脳からリフレッシュするには「ボディスキャン」という方法がおすすめです。これも4ステップです。
(1)仰向けになり、呼吸に注意を向けます。
呼吸することでお腹が上下する感覚も意識してください。
(2)そこから左足の爪先も意識しましょう。
足の指同士が触れ合う感覚、足と靴下に触れる感覚に気づいてください。
(3)さらに左足の爪先から脳に向かって体をスキャンするように、つぶさに確認してください。
呼吸する際は鼻から入り、体を通って左足の爪先に吹き込まれる、息を吐く時は左の爪先から全身を通って鼻から出ていくイメージをしてください。
(4)最後は疲れや痛みを感じる部分を重点的にスキャンしてください。
痛みがあるところでも、ずっと痛いのではなく波がありませんか? 漫然と痛いと思うのではなく、痛みにも変化があることがわかると、体の感覚をコントロールする脳の部位の活動が低下します。すると痛みが和らぎます。
津島 痛いという思い込みを捨てることで、脳が痛くないと考えるようになる。そうすると実際にも痛みが改善されるということなんですね。
久賀谷 「ボディスキャン」は座っていてもできます。デスクワーク中などの隙間時間でもできますよ。
「マインドフルネス」でストレスの捉え方を変える
【お悩み】義実家と同居しているので、どうしても気を遣ってしまい、リラックスできません。義両親はいい人なのに、ストレスを感じている自分が嫌で仕方がありません。
津島 ストレスは、ショッピングやカラオケなどの好きなことで発散する人も多いと思いますが、この方の場合、一時的なストレスではないので解消法が難しそうですね。
久賀谷 ストレスが慢性化すると、体に痛みやだるさとなって体に出てきます。ストレスによる体の影響に気づき、脳から改善していく「ブリージング・スペース」という方法があります。
(1)背もたれにもたれず、姿勢よく椅子に座ってください。目は閉じて、お腹はゆったりと、手は太ももの上に置き、脚は組まないでください。
その状態から、どういう時に特にストレスを感じるのか、ストレスを感じた時に自分の心や体がどう変化したかを思い出してください。
例えば「義母が善意で夫婦の部屋まで掃除するのがストレス。掃除しなくていいと言えなくてもやもやして、胃が痛い」と文章にして反芻した時、心と体がどう反応するか確認してください。
(2)呼吸に意識を集中させ、呼吸に合わせて1〜10と数えるのを繰り返しましょう。
次第に体の緊張が緩んでいきます。
(3)続いては意識の先を呼吸から全身へと広げてください。体全体が呼吸しているイメージで。
息を吸い込む時には、ストレスで反応した部位、先の例で言うと胃に空気を吹き込むようにイメージしてください。そして胃が呼吸につられてほぐれていく感じを得てください。
津島 一時的に解消するのではなく、ストレスに向き合う方法ですね。
久賀谷 そうです。ストレスを抑え込むのではなく、捉え方を変えるのです。すると脳がストレスとうまく付き合える状態になっていくはずです。
「マインドフルネス」は習慣化することが大切。脳はルーティンが大好きなので、5〜10分でもいいので、毎日同じ時間、同じ場所で実践してください。
お話をうかがったのは、久賀谷 亮先生
医師(日米医師免許)・医学博士
イェール大学で先端脳科学研究に携わり、臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に8年間従事する。
2010年にロサンゼルスに「くがや こころのクリニック」を開業し、院長としてマインドフルネス認知療法などの最先端の治療を取り入れた診療を行う。
「くがや こころのクリニック」オフィシャルサイトはこちら http://www.thmedical.org/
世界のエリートがやっている 最高の休息法――「脳科学×瞑想」で集中力が高まる
脳にはアイドリング状態でも動き続けるデフォルト・モード・ネットワークと呼ばれる回路があります。「何もしていないのに、疲れが取れない」人はデフォルト・モード・ネットワークの過剰な活動を許しているのが原因かもしれません。
デフォルト・モード・ネットワークの活動を抑える脳構造をつくり、脳に休息をもたらす「マインドフルネス」を日米で活躍する精神科医の久賀谷亮氏が教えるのが本著。マインドフルネス入門書としても最適です。
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津島千佳 Tica Tsushima
ライター
1981年香川県生まれ。主にファッションやライフスタイル、インタビュー分野で活動中。夫婦揃って8月1日生まれ。‘15年生まれの息子は空気を読まず8月2日に誕生。