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FOOD

奥深い「塩」の選び方

使いこなせば料理が変わる!?/ ソルトソムリエに聞く『塩の話』 第1回

  • 上紙夏花

2017.03.10

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世界中から塩、約360種類が集るお店

 

身近な調味料『塩』。

毎食、どこかで使われていると言っても過言ではありません。昔から世界のいたるところで作られている塩は、欠かせないものですよね。でも、塩の種類や味の違い、食材や調理法によってどの塩を使うのがベストなのかなど…意外と知らないことが多いと思いませんか?上手に使いこなして、料理の腕を上げたい!

そこで今回は、沖縄発の塩専門店『塩屋(まーすやー)』麻布十番店のソルトソムリエ片野晃さんに、塩についてのあれこれを教わってきました。まず第1回めは塩についての基礎知識を学んでみましょう。

 

『塩屋』で取り扱っている塩は、なんと約360種類!このお店を運営してるのは、宮古島の〝雪塩〟のメーカーです。「塩についての正しい情報を発信して、塩を使い分けると料理はもっとおいしくなるということを知ってもらう場所を作りたい」という思いでお店をオープン。

 

他メーカーの塩もたくさん販売していて、中には親子で生産している小さな製塩所のものも。分け隔てなく、世界中の様々な塩を扱って、〝世界の塩が集まる店舗〟を目指しているのだとか。

 

 

ソルトソムリエの片野晃さん。塩への探求心はソルトソムリエの中でもピカイチで、有休を取って気になる製塩所を回るほど、塩が大好きだとか。百貨店などから講座の依頼も度々あるそうで、塩の素晴らしさを多くの人に伝えています。

 

 

上紙「片野さん、ここにはテイスティングコーナーがあるんですね。これだけあるとテンション上がります!」

 

片野「はい!気になるもの、どんどんお試しください。いつもはどんな風に塩を選びますか?」

 

上紙「う~ん…友人が使ってたからとか、パッケージがおしゃれとか…。本当は味で選びたいと思うのですが、味の違いがどんなものなのかわかっていないんです(笑)」

 

片野「そうですよね、なかなか味を比べて購入する機会が少ないですよね。結構個性があるものなんですよ」

 

上紙「よく見ると色や粒の形、大きさもいろいろありますね。(いくつか試食して)わ!全然違いますね。しょっぱ味がまろやかに感じたり、苦味が心地よかったり…。こんなにも違うとは!」

 

片野「産地や製法の違いで、見た目も味も違ってくるんです。同じ製塩所でも作る時期によって微妙に味が違ってくることもあるんですよ」

 

塩の原料は大きく分けて3つ

 

片野「塩は原料の違いで、大きく3つに分けれらます。〝海水塩〟〝岩塩〟〝湖塩〟です。3つのうち、どれがいちばん多いと思いますか?」

 

上紙「海水塩でしょうか?普段よく見かけるのは海水塩が多い気がします」

 

片野「なかなかするどいけれど、残念!実は岩塩がいちばん多くて全体量の6割を占めます。日本には岩塩層がないので、国内で流通しているのは全て外国産なんですよ。だから上紙さんの言う通り、スーパーなどでは国産の海水塩の取り扱いが多いんでしょうね」

 

上紙「なるほど」

 

片野「海水塩は3割で、残りの1割が湖塩」

 

上紙「湖塩って聞きなれないのですが…」

 

片野「簡単に言うと海水塩と岩塩の中間なんです。産地としては南米ボリビアにあるウユニ塩湖が有名で、氷河から溶け出した水が土地の塩分を溶かしながら低地に溜まって湖ができたと言われています」

 

塩の分類がわかったところで、味について学びましょう!

塩の味わいの特徴を知ろう!

 

『塩屋』の看板商品〝雪塩〟は海水塩。お店ではこの雪塩を使ったソフトクリームも人気です。にがりも含め、海水のミネラルを残すことにこだわって作られた塩。

 

 

 

片野「塩には主にナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムといったミネラル成分が含まれていて、そのバランスで味が変わってきます」

 

ナトリウム⇒塩辛味(しょっぱ味)

カルシウム⇒甘味

マグネシウム⇒苦味

カリウム⇒酸味

 

 

上紙「カルシウムの甘味ってどんな感じですか?」

 

 

片野「実際に塩の中の甘味を感じるのは難しいのですが、角がないというか、舌を指すようなしょっぱ味がないのが甘味のある塩です」

 

上紙「そうなんですね。あと、この苦味!お料理教室で、マグネシウムの多い苦味のある塩で、菜の花をゆでると色がきれいに仕上がると習ったことがあります」

 

片野「そうです!そうです!色をきれいに発色させる効果もありますが、実は味の相性もいい。苦味に苦味を掛け合わせると舌は〝うまみ〟と感じる性質があるので、苦味のある野菜にマグネシウムの多い塩を合わせるのもおすすめですよ」

 

食材や料理に合わせて塩を選ぼう!

 

基本的な塩の種類がわかったところで、実際に食材や料理と相性のいい塩を選ぶポイントを教えてもらいましょう。先ほどのミネラル成分のバランスが味に作用していると紹介しましたが、粒の大きさでも味の感じ方が違ってくるそうです。

 

片野「例えば、このチャート(写真)の左上の赤味肉には、粒が大きくて塩味がシャープな塩がオススメです。なぜなら、肉はよく噛んで食べますよね。その間、先に塩が溶けてなくなると、肉の臭みだけが口の中に残ってしまうので、塩味が最後まで続く塩の方が美味しく食べられるんです」

 

上紙「なるほど、納得です!では反対の野菜はどうでしょうか?」

 

片野「野菜には粒が小さくて塩味がまろやかな塩が合います。トマトなんかは酸味や甘味がありますが、粒が大きくて塩味が強いとジャリジャリして野菜本来の味を邪魔してしまうんですね。」

 

上紙「少しずつわかってきた気がします!」

 

片野「いいですね!次に、油ものに合う塩です。天ぷらには粒が小さくて塩味がシャープな塩をオススメしています。これはしょっぱいけれど長持ちしないという特徴ですね。岩塩や湖塩がいいです。食べはじめに塩味が油のしつこさをパーンと飛ばしてくれて、粒が小さいとすぐ溶けるので、そのあとは衣の中の具材の味を楽しめるというわけです」

 

上紙「口の中でこんなことが起こっていたとは!?」

 

片野「そう!口内調理って言うんですよ。これがわかると塩選びも楽しいでしょう?」

 

上紙「はい!」

 

片野「そして、お刺身には粒が大きくて塩味がまろやかな塩。お刺身も肉のように咀嚼回数が多いので、長く塩味があってほしいけれど、魚本来の味を活かすまろやかな塩が合います。もちろん、これが全てではなくて、例外もたくさんありますが、この4つを参考にいくつかの塩で試してみてくださいね」

 

上紙「さっそく帰って試してみます!片野さん、ありがとうございました」

 

まだまだ奥が深そうな塩ですが、基本的なことがわかったので、実際に料理に活かしてみたいと思います。果たして、料理の腕は上がるのでしょうか? 第2回目は『塩屋』で選んだ塩を使った料理のレシピをご紹介します!

 

『塩屋(まーすやー)』公式サイト→http://shop-ma-suya.jp/

 

上紙夏花 Natsuka Uegami

ライター/ビューティープランナー

1977年、大阪府生まれ。吉本新喜劇の女優を経て、ライターに。現在は化粧品の商品開発やPRを手掛けるほか、ベビーマッサージ講師としても活動している。夫・息子9歳、3歳

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