こんにちは。美容エディターの伊熊奈美です。
今回は、こんな質問から!
小学3年生の娘がヘアドネーションをしたいと言っています。とてもよいことだとは思うのですが、いつも私がドライヤーで乾かしてあげているので、正直大変そうだな、できるかなとも思います。どうしたらよいか迷い中なのですが、ヘアドネーションについて教えてください
ささこ・45歳
長く伸ばした髪を寄付することが「ヘアドネーション」
ヘアドネーションとは、脱毛症やがんの治療などで髪に悩みをもつ方に、医療用ウィッグを作るための髪を寄付することです。最近、社会に浸透してきたこの活動に娘さんも興味をもったのですね。
私もずっとこの活動に参加したいと思っていて、実は半年ほど前にドネーションカットをしました。大人の髪でも、カラーしていても、傷んでいてもできるんですよ! 今回はその体験からお答えしますね。
31センチ、髪を伸ばすという目標。ヘアドネーション、私の場合(2021年6月~2024年8月)
私がヘアドネーションを決意したのは、2021年の6月。
寄付をするには31センチの長さが必要です。これはフルウイッグに用いる髪の長さの世界的な基準だそうで、髪は平均1か月に1センチ伸びると考えると約3年かかります。
やってみよう! と思ったときは肩下のセミロングでしたが、切ったあともその長さを保ちたかったので、31センチはイチからのスタートでした。

そして3年経った2024年8月、いよいよカットしてもセミロングを保てる長さまでになりました。
子どもが「ヘアドネーション」に参加するときの注意点
上の写真はドネーション直前の長さですが、大人でもここまで伸ばすのはなかなか大変なことではありました。お子さんの場合は乾かすのが親という場合もあるでしょうから、約3年、続ける覚悟は必要です。
子どもは活動量が多く、汗をよくかくので、長い髪をまとめたり乾かしたりといった負担がお子さんにも保護者の方にもかかってくるので、年齢や体格、ライフスタイルに合わせて検討することが大切です。
また、お子さんのヘアドネーション参加には、他にも注意点が。
身長や体格が小さなお子さんのロングヘアは、思わぬアクシデントにつながる可能性があります。自転車や扇風機に髪が巻き込まれたり、ふとしゃがんだときに不意に何かに巻き込まれるようなことや、首にも巻き付いてしまうようなこともないように、髪をまとめておくなどロングヘアの扱いには注意が必要です。

そのうえで、親子で目標をもって達成することがよい体験とコミュニケーションになりそうならば、一緒に取り組んでもいいでしょうし、毎日の生活サイクルを考えて余裕がなさそうであれば、子どもに「自分で乾かせるようになってからね」と伝えることもありでしょう。本人が自分で髪の手入れや扱いができるようになったとき、「誰かにウィッグを提供するんだ」と想像力を働かせながら、長い期間取り組む目標にもなりえると思います。
私の場合は子どもが中学生になってある程度手が離れたことも、自分がドネーションを目指したきっかけでした。多くの方に「乾かすの大変でしょう?」と心配されましたが、大風量で大風圧のドライヤーがあったから乗り切れました。ありがとう、進化型ドライヤーよ!

美容室でドネーションカット
最近は、ドネーションカットに対応してくれるヘアサロンが増えつつあります。私が2024年8月にお願いしたのは『CANAAN 銀座』。「ドネーションカットをお願いします」と伝え、準備が始まりました。
























また、私がドネイト先に決めていたのは、NPO法人 JHD&C(ジャーダック)さんでした。あとは必要事項(年齢や髪の履歴など。任意)を書いたシートと一緒にカットした髪を送るだけです。使っていただけますように。

これにて、私のヘアドネーションは完了です。3年間、楽しみながら伸ばせたのでとても充実した気分になりました。ヘアドネーションにトライするかどうか、少しでも参考になったら幸いです。
きっかけは? ドナーとしてのヘアドネーションに至るまで
ここからは余談ですが、私がヘアドネーションのために髪を伸ばし始めたきっかけは2021年6月に、あるヘアサロンで見かけたこの本でした。

これは私が今回ドネーションしたNPO法人 JHD&C(ジャーダック)さんの書籍。ジャーダックさんは脱毛症や小児がんの治療などで髪悩みをもつ子供たちに寄付された髪だけで作った医療用ウィッグを無償で提供する活動をされている団体で、発足10周年を記念して作られた本だということでした。
書籍のタイトルは『31cm』。書籍自体も一辺の長さが31センチ、これは前述の通りドネーションに必要な長さでメジャーとしても使えるようにできています。髪を提供する人、受け取る人、医療者など、ヘアドネーションに関わる方々のインタビューの本ですが、多様な考え方を知ることになっただけでなく、アートワークも美しく、書籍としてホレてしまったのです。この本を見た瞬間、頭の中に「31cm」が刻み込まれ、その日からずっと31cmを目標に髪を伸ばしてきたのでした。
3年の間にいろいろなことを考えました。肌や髪をきれいに保つことは自分が心地よくいるための手段のひとつです。そして、きれいに保ったその先に、髪だったら人に譲ることができる。それによってもし自分以外にもう一人だれかを心地よくさせることができたら、とてもハッピーなことだなと思ったのです。そう思うと、毎日大変ではありましたが、伸ばす過程を楽しむことができました。
今、カットからまた少し伸びてきました。次はまた3年後にドネーションができるよう、いい髪を育てていきたいと思っています。
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伊熊奈美 Nami Ikuma
毛髪診断士・美容エディター
毛髪診断士の資格を持つ美容エディター。雑誌や書籍の編集・執筆のほか、セミナー講師やヘアケア製品開発にも携わる。大人女性のヘア情報サイト『HAIRISTA』を監修。1男の母。
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