Vol. #
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寒くなってくると、お風呂にゆったり浸かって温まる時間がより幸せに感じられますね。来週11月26日は「いいふろの日」。この日に合わせてLIXILから発売されるのが、なんと布製の浴槽を備えた全く新しい浴室空間「bathtope(バストープ)」です。10月18日に開催されたプレスプレビューの様子に加え、実際に入浴体験をしてきた感想をご紹介したいと思います。
シャワールームとしてもバスルームとしても使える新コンセプトの浴室空間
毎年10月に、表参道や青山、六本木周辺を中心に開催されるデザイン&アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO」というイベントをご存じですか? 水まわり・タイルの国内事業が今年100周年を迎えるLIXILが、DESIGNART TOKYO2024の初日となる10月18日にワールド北青山で、次の100年を創造していく第1弾としてお披露目したのが新しいコンセプトの浴室空間「バストープ」です。
どこが新コンセプトなのかというと、浴槽が布製なのです。使用後はコンパクトに畳んで収納できるため、シャワールームとしてもバスルームとしても使えるのがポイント。1つの空間を自在に切り替えられる浴室でこれからの入浴習慣を変える空間を創造する…としています。
イベントでは、LIXILのプロジェクトリーダー長瀬徳彦氏や、バストープのブランディングの監修を務めたアートディレクターの川上シュン氏、建築家の浜田昌則氏によるトークセッションもあったのですが、そこで語られたのが「日本建築では、あいまいな空間を上手に使うのが得意。たとえば、和室にちゃぶ台を置けばダイニングになり、布団を敷けばベッドルームになる。シャワールームでもなく、バスルームでもないバストープは、まさにそんな空間」ということでした。
なるほど、とても斬新でスタイリッシュな空間に見えるバストープですが、その根源には日本建築にも通じる考え方があるというのは面白いですよね。現段階では浴室を異なる用途で使うまでには至っていないとのことですが、今後のビジョンとしては考えているという話にちょっとワクワクしてきました。
展示会場には、布製浴槽の生地の展開図も展示されていて、「縫い合わせの箇所が多ければ多いほど、縫い目から水が漏れることになるので、なるべく縫い目を減らした形状を考えた」という話にも納得しました。
なんと900gの浴槽が壁に掛けられている!
さて、実際に入浴してファブリック素材の浴槽とはどんなものなのか体験してみようではありませんか。プレス向けの体験入浴に参加表明し、さっそく出かけてきました。説明の時間も含めて、持ち時間は1時間。バストープの体験ルームの入り口には鍵が掛けられるようになっていて、1人でゆっくり体験できます。
バストープには浴室空間のデザインと、シャワーや床材の違いなどによってG・S・Eと3つのタイプが用意されていますが、今回体験したのは最上位モデルとなるGタイプ。全面ガラス張りの引き違い戸なので、広々として見えますが、浴室として考えるとドキドキしてしまうような。でも、今後、浴室とは異なる用途でも使えるように進化していくとしたら、この方がいいのかもしれません。ちなみにSタイプ、Eタイプは曇りガラスの片引き戸ですので、ご安心あれ。
一見すると広めのシャワールームに見えるバストープの空間ですが、壁には取り外し可能なファブリック製の浴槽が掛けられています。これを外して、ループを壁に用意された4か所のフックに掛ければあっという間にお風呂の出来上がりです。わずか900gなので外すのもセットするのも簡単。気をつけるとしたら、底にある水栓を壁側に来るように浴槽の向きを決めること。
お湯張りはGタイプの場合、2つ用意されているシャワーのうち、ハンドシャワーを使います。高さをグッと低めにして入れればよりスムーズです。
お湯に包まれるような感覚で超リラックス
お湯張りにかかる時間は水圧にもよりますが10分程度と短くてびっくり。というのも、同じ160サイズのFRP浴槽が190Lなのに対して、140Lと約26%の節水を実現しているのです。50Lも水量を削減できるとはすごいですよね。
さあ、準備完了。入ってみましょう。布で出来ているから浴槽のふちがグラグラ不安定なのではと思ったら、これが想像と相反してしっかりしています。だからちゃんとつかんで、安心して浴槽内に入ることができるのです。浴槽の底が床に着いているのでお尻が当たって痛いのでは?という不安も大外れ。
足先をグーンと伸ばして身体を沈めると、背中から首元あたりがお湯に包まれて、想像以上の心地よさ。特に背中から首にかけての絶妙なフィット感は一般的な浴槽では味わえない感覚でした。硬い素材のバスタブにはない、弾力性や浮力のようなものが感じられて、リラックスできることと言ったら!「うちのお風呂もこれがいい」と思ってしまいました。
浴室の壁には手の届く位置に照明のスイッチが設けられていて、朝にぴったりの明るい照明から、ダウンライトをオフにして明るさを抑え、リラックスできる照明まで、好みに応じて調整できるのも素敵です。
後片付けも簡単で、お手入れもラクなバストープ
そんなに熱めの湯温ではなかったのに、わずかな時間でも全身が温まってぽかぽかになったのは、やはりお湯に包まれるような入浴だったからでしょうか。
さあ、そろそろお風呂から出て、片付けることにしましょう。浴槽の壁際にある水栓を開くと勢いよくお湯が流れ、位置を合わせて設けられている排水口へと流れていきます。なので、フラットな床面でも外にお湯があふれてしまう心配がないのですね。
あっという間に空っぽになって、あとは浴槽を壁に吊るして掛けておき、乾燥させればOK。お手入れはバス用洗剤を吹き付けてシャワーで流したり、中性洗剤でのつけ置き洗いなど。Gタイプの場合は、ファブリックバスが2セット標準仕様なのでより一層使いやすいですよね。
ここまで読まれた方で、「アウトドアにもいいのでは?ファブリックバスだけ欲しい」と考えた方がいるかもしれませんが、バストープは浴室空間全部の“箱”で販売されます。なぜなら、140Lのお湯+100㎏までの体重を支えるために壁裏補強構造という特別な仕様になっているから。
小さいお子さんのいるご家庭向けの浴室ではないかと思いますが、若い方だけでなく、私のようなまだ元気な大人世代にも向くのではと思いました。別荘など2拠点で生活されている方や、ホテル、クルーズ船の客室などにも向きそうです。
バストープとは、私たちの大切な入浴文化「bath」と多様な生物の受け皿を意味する「biotope」とを組み合わせた造語だとのこと。従来の浴室という概念にとらわれない、多様なライフスタイルの受け皿となる、このバストープ、楽しみだなと思います。
製品DATA
- ブランド:LIXIL
- 商品名:bathtope(バストープ)
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