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ポイント還元禁止の影響は?「ふるさと納税」【2025年10月ルール変更】一部サイトで反対署名呼びかけも
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松崎のり子
2024.07.23
ポイント還元禁止は2025年10月から適用予定
自治体への寄付のお礼として、海産物や果物などを受け取れる「ふるさと納税」。返礼品の魅力に加え節税効果もあり、今や寄付額は約兆円にまで広がりました。
多くの人が利用しているのが、「ふるさと納税ポータルサイト」です。
自治体だけでなく、寄付額ごとの返礼品を検索できて便利なことに加え、多くのサイトでは利用に応じたポイント還元が受けられます。ポイントアップのタイミングで寄付を行うと、さらに多くのポイントをゲットできるとあり、寄付の強力なモチベーションになってきた面もあるでしょう。
ところが突然、総務省がふるさと納税制度のルール見直しを発表し、激震が走っています。
その内容は、ポイント等を付与するポータルサイト事業者等を通じて自治体が寄付を募ることを禁止するというもの。
自治体からサイトに支払われている手数料が、ポイントの原資になっている可能性があるからというのです。ふるさと納税を巡り過度なポイント競争が起きている現状が好ましくないという理由もあるようです。政府は、ポイントさえ禁止すれば手数料が下がって、純粋に寄付に回る金額が増えるはずだと考えたのでしょう。
この「禁止」は2025年10月より適用されるとのこと。我々利用者にとっても、まさに青天の霹靂でした。
ふるさと納税そのものへの影響は
これにはサイト側も黙っていません。
「ポイントの原資は自社で負担している」として、抗議の声を上げたのは楽天です。
「ショッピングサイトを通じた『ふるさと納税』は、多くの地方自治体にとってかけがえのない財源となるだけでなく、地産品の振興にも大きく貢献」「(総務省による告示は)民間原資のポイントまでも禁止し、地方自治体と民間の協力、連携体制を否定するものであり、各地域の自律的努力を無力化するものです。地方の活性化という政府の方針にも大きく矛盾しています」(「楽天ふるさと納税」サイトより)として、反対署名を呼びかけています。
さまざまな意見はありますが、ここまでふるさと納税が日本中に浸透したのは、こうしたポータルサイトの影響力があってこそ。ゆかりのある自治体を応援しようという動機だけでは、ここまで広がらなかったのは事実でしょう。
それを無視して、一方的に「来年からポイント禁止」と突き付ける国側も、やや大人げない気がします。
今年は駆け込み寄付が増えそうですが、来年からはどうなるのでしょう。今後の展開次第では、ふるさと納税の件数や金額に影響が出る可能性もあります。
これまでのようなネットショッピングと変わらない扱いやポイント合戦が正しいとは言いませんが、人間の心理は「オトクそうだから」で動くもの。政府はそれを読み違えていないか、少々気になるところです。
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松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。
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