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今からでも遅くない!「エアコン掃除方法」、3つのNG【自分でできる?洗浄スプレーは?自動清掃機能は?】
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藤原千秋
2024.06.27
今年もエアコン冷房、クーラーなしでは暮らしにくい季節になりました。すでに日々絶賛稼働中だという方も少なくないのではないでしょうか?
でも今、上昇する一方の電気代。なのに予想される猛暑。見ないふりのエアコン内部。
……などへの心配をにさらされている人もまた、少なくないのでは。
これら懸念の解消に必須な「3つのNG事項」があります!
今からでも遅くありません。このポイントをしっかり押さえて安心で快適な冷風を、手に入れませんか?
NGポイント1:エアコンの「自動清掃機能」を過信しない
エアコンに「自動清掃機能」が登場してそろそろ20年が経ちます。びっくり!
今や上位機種だけの特殊な機能ではなくなった、この「吸気フィルター(エアフィルター)の自動清掃機能」ですが、登場当初から「自動清掃=永久清掃不要」などと誤解されがちでした。(そんなわけ、ないんですけどね。)
だから「ウチは自動清掃だから」「エアコンを買って以来何もケアらしいケアはしたことがない」という人も、あまり人には言わないだけで存外多いかもしれません。
でも実のところ、ほとんどの「自動清掃機能」で取れるのは、基本的に吸気フィルター表層の乾いたホコリだけ。油煙やヤニの混じったベタつくホコリやカビがフィルターに絡み付いたものまでは落としきれないものです。
そんなフィルターの汚れは溜めるほどにエアコン内部にまで及び、送風に混じる異臭(雑巾くささ)やカビ(臭さ)の原因になります。
またフィルターの目が汚れで詰まれば吸気に余計なエネルギーを使い、電気代もかかるなど良いことは何もありません。
そもそも、自宅のエアコンが自動清掃機能付きかどうかからして、ちゃんと分かっていないままに使用している方もいるかも知れません。
そこで、まずはエアコン室内機底部などに貼ってあるシールやリモコンからその型番を確認し、インターネットで検索して取扱説明書をダウンロード。わが家の機種についての正しい情報を手に入れましょう。
そのうえでお手入れ方法も今一度確認して。自動清掃機能があるなしを問わず、いずれにせよ定期的なフィルター点検や清掃、洗浄も不可欠であるはずです。その方法を確認しましょう。これだけでも先送りにしないのがポイントです。
NGポイント2:市販の「エアコン洗浄スプレー」使用は避けたい
「エアコンのスイッチを入れたら、中からカビみたいなホコリ臭い空気が出てきた。きっと汚れているのだろうけど、家に業者のクリーニングを入れるのは不安だし面倒くさいし、お金もかかるから自力で何かできないかな?」
しばしば訊かれるこんな問い。とりあえず、おすすめできるのは、前述の「吸気フィルター(エアフィルター)」のお掃除をしてみることです。
自動清掃機能の有無に関わらず「吸気フィルターを取り外して、中性洗剤でしっかり洗って乾かし、設置し直すこと」は、基本的に自力でできること。正直なところさほど難しい作業ではありません。
電源を抜いて前面パネルを開け、吸気フィルターをそっと取り外して、フワフワしたホコリは掃除機で吸引。フィルターの目に詰まった汚れは家庭用中性洗剤と柔らかいブラシを使って浴室などで洗い落とし、陰干ししてしっかり乾いたものを戻します。それだけです。
エアコン前面の広い面積を占める吸気フィルター。ここを洗い、掃除することで吸気の効率は確かに上がりますし、排気の汚染を減らすことにもつながります。
それでも「内部」の掃除までを自分で行うのはおすすめしません。
専用のグッズや洗剤が多数市販されていても。
まず、私たちはエアコンの構造をほとんど理解していませんよね。前述の吸気フィルターを外すと対面する金属の装置は「熱交換器(アルミフィン)」と呼ばれるものですが、何のためのものか、ご存知ですか?
そして市販のエアコン洗浄スプレーはそこに満遍なく吹き付けることになっていますが、私たちが生まれて初めて! そんな作業をしたところで、複雑な形状の熱交換器に洗浄剤をすみずみまで吹き付けることができると思いますか?
逆に余計なところまで濡らして電気系統の故障、場合によっては発火など引き起こしかねず、とても危険ですよね。
お金の節約目的での自力掃除で、故障や火災を起こし多額のリカバリ費用を要しては、まさに本末転倒です。
エアコン内部の汚れが懸念される場合は、専門業者に依頼するのが、いろいろな意味で無難です。
NGポイント3:そもそも”高所”の掃除に無理は禁物
「1メートルは一命取る」という安全標語があります。
1メートル程度の高さからの転落であっても、頭を打つなど”命取り”になることがあるという、さむいダジャレのようでいながら、別の意味でかなりヒヤリとくる言葉です。
家庭用エアコンの設置位置は天井近く。床面から1.8メートルから2.3メートル程度の高さにあり、手前の「吸気フィルター」を取り出すにあたっても、踏み台なしで作業できる人はある程度の身長がある人に限られます。
女性の多くはダイニングチェアなどに上って作業せざるを得ないのでは。でもそこで、もし「めまい」など起こし転落して、頭や顔でも打ってしまったら……大変なことになります。
では、どうしたらいいのでしょう。
一案は、踏み台の高さを問わずエアコンをいじる作業は必ず二人以上で作業、身体を支えたり安全を確認しながら行うこと。一人で無茶をしないこと。あってはならないことですが、万が一、落下や転倒してしまった際にも、もう一人いれば救急要請もスムーズです。
体力に自信のない場合や、汚れの度合いがあまりにひどい場合は、このフィルター掃除の最初の段階から、すべてプロに依頼するというのも一手でしょう。
そもそもエアコン内部を汚す原因は、吸気フィルターに引っかかるのでわかるように、まずは衣類などから出る繊維などの大きなホコリ、屋外から入り込む泥砂や花粉やダニのフンやカビ胞子などに含まれる微細なホコリ、調理中にでる油煙やタバコのヤニなど、に加えてエアコン冷房稼働時に発生する結露水など内部の水分と汚れによって繁殖するカビなどです。
こういった汚れをゼロにできるわけではありませんが、とりあえず「吸気フィルター」の定期的な掃除(洗浄)だけでも、内部に入り込む汚れの総量を減らす意味で有効です。
また、エアコン冷房をオフにしたタイミングで必ず送風運転を1時間程度させるようにすることで、水気を好むカビの繁殖を阻害することになります。自動でもこの送風を行う機種も多くあります。確認してみましょう。
カビ繁殖がより心配な場合は、30℃設定の暖房運転を1時間程度、シーズン中でも時々行うことでも念入りな内部乾燥は叶いますので、家にいないタイミングなどを狙って行えるといいでしょう。
家庭用エアコンは基本的に内気循環なので、部屋の空気が汚れているほどにエアコンの内部も汚れます。吸気フィルターがエアコンと違って低い場所に設置されている「空気清浄機」を別途稼働させることで、空気中に漂うホコリの濾し取りができます。エアコンをなるべく汚したくない場合に一案として取り入れてみてください。
またエアコンの冷房効率を上げるため有効な「エアサーキュレーター」の併用時にもホコリがエアサーキュレーターに付着することが多いので、こういった併用グッズもできるだけ(分解)清掃が可能な機種を取り入れるようにするというのも、ひいては部屋の空気をキレイにする手法です。
酸素供給のため定期的な”自然換気”も、もちろん大切です。少なくとも日に一度は行うようにしてみてくださいね。
LEE本誌や、LEEwebでも大活躍中の家事スペシャリスト、藤原千秋さん。早目に知っておくと安心な“おそうじ”の豆知識や実践テクを、季節先取りでお届けします。次回もお楽しみに!
藤原千秋 Chiaki Fujiwara
住生活ジャーナリスト、ライター
掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。