早目に知っておくと安心な“おそうじ”の豆知識や実践テクを、季節先取りでお届け!
【外壁汚れの原因と、自分でできる落とし方】湿気の多い今~梅雨こそ「外構」掃除の好機!
-
藤原千秋
2024.04.25
「あれ? ……黒い……?」
気づくと、気になる。家の、外壁が。塀が。バルコニーの内側の壁が。
「何か」で汚れている。
「よく見てみるとちょっと緑っぽい?」
っていうことは、これはほこりや土ではなくてカビ? それともコケ?
しかも暖かくなるにつれて気のせいか、だんだん増えてくるような……?
「???」 そんな”ナゾの汚れ”に見覚えは、ありませんか?
このナゾ汚れ。拭けばいいのか、擦ればいいのか。ぞうきんで? ブラシで? どの洗剤で?
どうしていいのか、よくわからないまま放置していたりする人もいるかも知れません。
梅雨に増える外壁汚れは「生き物」!
そのナゾの黒ずみ汚れのことを、人はざっくり「コケ」とか「カビ」とか「藻」と表現する人もいます。どれも、あるある。どれも、正解。
いや、実物を見ない状態で特定することは難しいのですが、おおむね前述のどれかが壁や塀やらに生えてしまっての汚らしさであることがとても多いのです。
なぜ勝手に生えるのでしょう? いきどおろしくもなりますが、屋外は野外、ある意味「自然」。
雨水などの水分があり、土や何かの栄養があり、太陽の光や酸素があり、だんだんに温かくなる環境そのものが、あれら「生き物」にとって、たまたま殖えやすい条件を満たしてしまったというだけのこと。
別にあなたが悪いせいじゃないんです。
でもちょっと見た目が……やっぱり汚いというか家が古びて見えるし、なんだかなぁという気持ちももっとも。 そこでなんとかしたいならば、ぜひ試してみて欲しい掃除方法があります。
外構の汚れ落とし=「生き物」を殺すこと!
すわ!「殺す」なんて人聞きの悪い! でも作用機序としてはそういうことになります。
この生き物系の黒ずみ汚れは、殺せば落ちるんです。
実は専用の「コケ落とし」「(屋外の)カビ落とし」を謳う洗剤もホームセンターなどには売られていますが、ほぼ内容が似通っていて近隣のドラッグストアで安価かつ手軽に入手できる「塩化ベンザルコニウム(ベンザルコニウム塩化物)」を使う方法も有効です。
100円ショップなどで購入できる空のスプレー容器に、『オスバンS』などの塩化ベンザルコニウム10w/v%水溶液(100ml中に10gの塩化ベンザルコニウムが溶けているもの)を1ml入れ、水道水を足して200mlにし、200倍水溶液スプレーを作りましょう。
そして黒ずみ汚れが目の高さより下なら、そのままたっぷり汚れにスプレーします。目の高さより上ならスポンジ等に含ませて汚れに染み込ませるように塗布。
大切な点は、決して原液のまま使わないこと。液体が手に触れるならゴム手袋をすること。噴霧の霧を目に入れたり吸わないよう、メガネとマスクもしておいた方がいいでしょう。
でも作業としてはそれだけ。以上!です。
吹きつけた時点では、見た限り何も変わりません。でも「全然綺麗にならないじゃない!」とイライラしてそこでブラシで擦ったりしなくても大丈夫。大事なのは、そのまま「放置すること」。 早ければ2日。遅くとも1週間経てばわかります。
「生き物」系の黒ずみなら、これだけで、嘘のように、跡形もなく消えているはずです。
「生き物」ではない黒ずみの場合
ただ残念ながら煤煙(排気ガスなどのスス)による黒ずみ、泥砂によるもの、塩害によるサビなどの場合は生き物ではないのでこの方法では消えません。また多孔質の素材に生き物が入り込んでしまった場合も落としにくいことがあります。
そんなときには、ケルヒャーなどから出ている「高圧洗浄機」を使用することで、比較的省力かつ容易に落とせます。汗水垂らしてゴシゴシ、などしなくてもいいので体力消耗も少なく済みます。
ただ高圧洗浄には水を使いますし、作業の際にかなり水ハネもするので、寒い真冬に使うのはちょっととまどうもの。でもこれからの時季なら使いやすいですよね。
こびりついた泥砂も煤煙も、環境の湿度が高くなるほど水分を含み、ゆるんで落としやすくもなるので、夏前の今こそ、これら外構掃除に最適と言えます。
真夏は真夏で熱中症のリスクが高いので、屋外の作業はあまりおすすめできませんから、なるべく早めの、いい季節のうちにぜひ手をつけてみてくださいね。
LEE本誌や、LEEwebでも大活躍中の家事スペシャリスト、藤原千秋さん。早目に知っておくと安心な“おそうじ”の豆知識や実践テクを、季節先取りでお届けします。次回もお楽しみに!
この連載コラムの新着記事
藤原千秋 Chiaki Fujiwara
住生活ジャーナリスト、ライター
掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。