私のウェルネスを探して/AYANAさんインタビュー後編
老いは消し去るのではなく、コントロールする。ビューティライターAYANAさんが考える理想の50代
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LEE編集部
2023.10.28
引き続き、AYANAさんのインタビューをお届けします。
AYANAさんを訪れたのは9月初旬。年末に向けてのベストコスメとクリスマスコフレ特集の準備に忙しい事務所で話を聞きました。コスメの隙間に写真集やアートブック、好きなアイドルのCDやブックが並んでいます。
後半では、AYANAさんが育まれた幼少期のエピソード、2度の結婚と離婚、8歳になる息子さんへの思いを聞きます。さらには、美容に詳しいAYANAさんが考える理想の50代について掘り下げます。「老いをデザインする」「コントロールする」という新しい考え方とは。
子どもの頃から「自分の天命は何か」を探していた
AYANAさんは、神奈川県生まれ。サラリーマンの父と専業主婦の母、3人家族で育ちます。父が27歳、母は24歳、若い夫婦の一人っ子だったせいか、家族が対等な関係だったと言います。家族の間でよく言っていたのは「うちはホテル家族だから」。
「一人娘って大事にされるイメージでしたが、そんなこともなくそれぞれが自由に生活している家族でした。父とは距離があり、きちんと話せるようになったのは社会人になってから。兄弟姉妹もいないし、家庭も放任。砂漠の真ん中にポツンを立っている感じで、私は“どうしたらいいんだろう”と呆然としていました。親も“自由だけど不幸な自由”と言っていたくらいですから。この頃から、“私がやるべきことはなんだろう”と“自分の天命は何か”という気持ちがあったと思います」
昔から変わらないのは、「自分の好きなものに囲まれていたい」「好きなものを楽しみたい」という気持ち。流行と違ったものが好きでも特に気にすることはなかったそうです。その理由の一つが、家にテレビがなかったから、と明かします。
「テレビがないからみんなが観ているテレビを見られない、だけど特に問題がなかったんです。子どもがすごく多い世代で、小学校も中学もクラスが多い地域でした。人が多いことで紛れることができて、やり過ごすことができたとも言えます」
K-POPは「ビジネスモデル」が面白い
AYANAさんがここ何年か注目しているのは、K-POP。好きになったきっかけはBTSでしたが、その後様々なアーティストにハマることに。K-POP好きになったのは、楽曲やパフォーマンスの素晴らしさはもちろん、ビジネスモデルに魅了されたから。SNSやYouTubeなどネットの仕組みを巧みに使った立体的なプロモーション、ファンを虜にするプラットフォームづくり、毎回大きく世界観を変えてパフォーマンスを見せてくれるところなどです。
「K-POPは、コンテンツの作り方が上手です。楽曲やパフォーマンスは世界のトレンドを意識して徹底的に作り込まれていますし、アイドルの素顔となる舞台裏までカメラを回してコンテンツにしていくため、ONとOFFのギャップを見ることができます。
流行を取り入れることも上手で、私は韓国コスメも好きなのですが、たとえばCICAのように、ひとつの成分が流行ると各社でとても似たような商品を開発して販売するところがあります。日本は真似することに厳しいですが、韓国にはあまりそういう感覚はないのかもしれません。そういったところにもカルチャーショックを受けています。面白いです」
母一人息子一人、目下の課題は性教育
AYANAさんは結婚と離婚を2回経験しています。特に2回目は、息子さんが産まれた後だったこともあり、「本当に大変だった」と振り返ります。息子さんは現在小学2年生。今気になっているのは性教育について。男の子としてどう生きるかを伝えるかが課題だそうです。
「私が一人っ子で男の子を知らないのもあり、家庭の中に男性がいないのでどうしたらいいものかと。ジェンダーの平等は大切にしたいいっぽうで、これからの男らしさってなんだろうということがますます問われていくと思います。
そんな中できちんと性について学びながら、女性のことを思いやれること、女性から頼りにされる強さを持っているということも重要だと思っていて。ジェンダーの問題や男性の性欲の問題をどう伝えていくかも大きな課題です」
知らぬ間に“若い方がいい”と思わされることへの違和感
40代後半を迎え、体や心の変化にも耳を澄ましています。朝起きれない、集中力が続かない、体力が衰える。心身のパフォーマンスの低下に対しても「腐らずにどう前向きに考えていけるか」「結論を出さずに考える」ことを続けています。
「加齢について、皆さんもそれぞれ考えはあると思います。まずは、どんな自分になりたいか考えること。自分がどこを目指したいか探っていくことが大事だと思っています。もし街で素敵な人を見かけたら、なぜこの人みたいになりたいのか、どこが魅力的なのか掘り下げる。ファッション、表情、姿勢。そのかけらを集めて、なりたい自分を見つけていけたらいいと思います」
憧れる年上の女性は、年齢をそのまま受け入れている美しい人。俳優のマギー・ジレンホールやケイト・ブランシェット、一番の憧れは画家のジョージア・オキーフです。
「ジョージア・オキーフの写真をまじまじ見ていると、シワがたくさんあるけどとてもキリッとした顔だったんです。そうなるにはどうしたらいいか考えると、老いを消し去るのではなくコントロールする、自分をデザインしていくことができればいいのかなと思って。シワもどんなシワが理想かを真剣に考えてみることが必要ですね。知らず知らずのうちに“若い方がいい”と思わされることに違和感があります。よくタレントの方などが“外見が劣化した”と言われたりしますが、視野が狭いなと感じてしまいますね。歳を重ねるほどに素敵な人はたくさんいます。でも、若いほうがいいという思い込みがなくなれば、そういう事象も減っていくのかなと思うんです」
目標ややりたいことを日頃から「書く」ようにしている理由
AYANAさんにとって仕事でもある書くことは、脳内の言語化、ストレス解消にも一役買っています。日頃から手帳やメモを活用し、書くことで目標やTODOを可視化しています。
「目標ややりたいことは日頃から書くようにしています。目標って常に変わっていくんですよね。目標をあまりロングスパンで考えると漠然としてしまうので、5年などある程度の期間を決めると書きやすいと思います。私は手帳に書いていますね。スケジュールはGoogleで管理していますが、手帳というアイテムが好きで常に持ち歩いています。スマホのメモには、欲しい服とか気になるブランドをメモしたり。
今って、インプットが多すぎるから自分が考えていたことを忘れやすいんです。書いておけば反応できるし、振り返ることができる。モヤモヤした気持ちを溶かすこともできます」
My wellness journey
AYANAさんに聞きました
心のウェルネスのためにしていること
「やっぱり書くことです。目標や自分の気持ち、1日のやること、タイムテーブル、何でも書き出します。寝る前や起きてから、時間帯はいろいろです。日々のメモは、日めくりカレンダーの裏がちょうどいい感じでいつも使っています」
体のウェルネスのためにしていること
「週1回加圧トレーニングに行き、2ヶ月に1回、鍼灸とトリートメントサロンでメンテナンスをしています。トリートメントサロンは表参道の『ナチュラルスピリット』というお店に通っています。ヘアは、『TWIGGY.』の松浦美穂さんにカットをお願いしています。プロの手を借りることで、自分のビジュアルを否定できなくなるんですよ。プロのおかげで、否定する気持ちやいじける気持ちが緩和されるような気がしていて。なるべく、いつも誰かの手を借りるようにしています」
インタビュー前編はこちらからお読みいただけます
Staff Credit
撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子
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