水害の多発を受け、保険料が引き上げに
2023年も各地で水害が相次いています。
この7月、秋田県では半日で1カ月分の雨量を上回る記録的な大雨が降り河川が氾濫、広範囲が浸水被害を受けました。
全国で多発する水害を受け、来年以降あらたに火災保険の保険料が引き上げになりそうです。
損害保険料率算出機構が火災保険料計算のもととなる「火災保険参考純率」を、全国平均で13.0%引き上げると発表したからです。
これを受けて、各保険会社が保険料の値上げに動くことになるでしょう。
今回発表されたのは、それだけではありません。以前から検討されていた通り、水災リスクを織り込んだ保険料率が初めて公表されました。
これまでは地域ごとの差がなく全国一律だった水災料率が、5段階に細分化されることになったからです。
リスクに応じて水災の補償を細分化
火災保険の契約では、水災の補償はオプションとなっています。
というのも、これまでは全国一律の料率のため、水害リスクが小さい地域から見ると割高に感じられたからです。
しかし毎年のように甚大な水害が相次ぐ今、リスクを一律として保険料を計算するのは不公平ではないか、また本来なら必要なはずの人が「水災補償は高い」と付けないことを防ぐためにも細分化が必要との議論がありました。
そこで、各都道府県ごとにリスクが低い順に1~5等地に分け、料率に差をつけることにしたのです。
細分化によって、最も低い1等地の保険料は細分化前より平均で約6%低くなり。もっとも高い5等地は約9%高くなるとか(水災だけでなく、火災保険全体での数字)。
5等地に当たるのは、東京都では荒川区、墨田区、台東区、江東区など。自分の住まいがどこに当たるかは、損害保険料率算出機構の「水災等地検索」で調べることができます。
なお、今回の設定では、川の増水などによる外水氾濫だけでなく、下水道が溢れて浸水する内水氾濫や土砂災害等の水災リスクも含めて評価しているとのこと。
また、1等地だから水災のリスクが全くないというわけでもありません。「まさか我が家が…」という事態は、いつ起きてもおかしくないからです。
保険料のアップは家計にとっても負担増になりますが、災害への備えは節約すべきお金ではありません。家や家財が損害を受ければ、その何倍ものお金がかかるからです。
リスクが高いとされた地域こそ、必ず水災補償をつけてほしいと思います。
【連載】 松崎のり子さんの「知らなきゃ損するお金の話」
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松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。
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