Voicy社で「キャリアについて」を考えます
さまざまなジャンルの音声配信サービスをしているVoicy社。人気パーソナリティの方に向けて、社内イベントスペースでの懇親会を実施するとのことで、LEE編集部がその様子を取材させていただきました。
さらに今回は、Voicyパーソナリティでもある、石倉洋子さんと藤原美智子さんが、『自分のキャリアを切り開くということ』をテーマに対談をしてくださるとのこと。素敵なキャリアを築き上げ、今もなお挑戦し続けているおふたり。興味深いお話が聞けそうです……!
石倉洋子さん Yoko Ishikura
一橋大学名誉教授。デジタル庁の初代デジタル監。資生堂、日清食品ホールディングスなどの社外取締役を務めた後、現在はAvatarIn、GPSSホールディングスのアドバイザーとして活躍。著書に『世界で活躍する人の小さな習慣』『タルピオット イスラエル式エリート養成プログラム』など。
藤原美智子さん Michiko Fujiwara
ビューティ・ライフスタイルデザイナー/信州大学特任教授。42年間のヘアメイクアップアーティストとして活動した後、現職では生き方などライフスタイル全般について発信。著書に『美しく幸せ に生きるための逆算思考』『美の宿るところ』など。
好きなこと、面白いことをしていれば疲れない
藤原 まず、石倉さんのバイタリティはどこから生まれているのかお聞きしたいです。
石倉 自分が好きなことをやるときはすごく元気。それがハードなことでも面白ければ疲れないんです。本当に嫌なことはやらないようにしています。
藤原 私は、今までの人生、キャリア問わず、すべてを直感で決めてきたんです。石倉さんがお話しされているところを動画で拝見して、“石倉さんって、私と似てるかも”と勝手に思ったんですけど(笑)、石倉さんが何かを決める時の基準はありますか?
石倉 この人と合うか合わないかは、最初からほとんどわかります(笑)。仕事の場合は、もう少し計画的というか、いろいろ調べたり、人に聞いたりします。最後は、“本当はどっちがやりたいの?”ということを自分なりによく考えて、そして、人に迷惑をかけないことならば何をやりたいかを考えると、本当にやりたいことがわかる。仕事では大きな転換を何回もしているので、よく考えてます。
藤原 実は私も、大きな転換っていうと、34歳で事務所を作ったことと、去年、64歳で42年間続けてきたヘアメイクの職業を辞めて、事務所も閉めたことです。「やり尽くした」とまわりには伝えていたんですけど、本当は2年ぐらい前から、自分の中でやりたいこととのズレを感じていたんですよね。先ほど石倉さんがおっしゃったように、私も面白くないことはやりたくないし、面白いことをやってると全然疲れないということはすごくよくわかります。だから辞める前はちょっと疲れていたと思います。でも、辞めることに対して、「キャリアをそんな簡単に捨てるの?」とまわりに驚かれて。石倉さんにはこの気持ちはわかっていただけそう。
石倉 キャリアなんて捨て放題よ。
藤原 それはすごい(笑)! 石倉さんは、いろんな仕事をしていますよね。何かを始めると、またそれが新しく広がっていきませんか?
石倉 広がる時もあれば、だめになる時もある。声がかかった時は、「私でもできるかしら?」と私のことも新しい仕事のことも知っている人に聞きます。それで、「まあ、いけるんじゃない」と言ってもらえたら、いい加減な私としては「それならやりましょう」って引き受けています。ただ、自分と同じことができる人が山のようにいるという場合であれば、私は必要がなくなる。だから、これからちゃんと必要とされて自分が好きでやりたいことなのかと、考えて見極めますね。そして、それがちゃんと自分のお金にならないとダメなわけで。そういうことを考えあわせて、新しいことを始めるか決めていきます。
藤原 私の場合、やったことがない仕事のオファーがくると、「やったことがないからやりたい!」ってすぐに承諾しちゃうんです。マネージャーには不安に思われますけど(笑)。それで今までヘアメイク以外にも、レストランのレシピ作り、マンションのインテリアコーディネーター、ジュエリーや洋服のデザイン……いろんなことをやりました。なぜなら、ヘアメイクだけをずっとやってると飽きちゃうから。でも、いろんなことをやると、新しい視点を身につけられたり、自分の感覚が違ったところで活かせる。そうすると、またヘアメイクアップアーティストを飽きずにできるんですね。だから、“ヘアメイクでは、これ以上自分が成長できることはないな”と思ったのでスパッとやめられたんだと思います。今回の対談テーマに「キャリアのつくり方」ともありますけど、私の場合は、好きなこと、興味を持っていることをしていたら、仕事の幅が広がっていてライフスタイルデザイナーにつながったという感じです。20代のときに、内面と外見をつなげることにすごく興味を持ったので、ヘアメイクの仕事をやり始めたんですね。その根源となる、生き方とビューティをリンクさせること、それをこれからやっていきたいと思ってます。
石倉 「やったことのない仕事をやる」という気持ちは私にもありますね。ただ、私は結構失敗があって。デジタル庁のお仕事もそうだし、他の仕事でも、外国人の方に「最初に言ってたことと全然違うじゃない」とはっきり言われたり。それから、一橋ICS(一橋ビジネススクール国際企業戦略専攻)では、「このコースはしょうもない」と学生に言われたことも。フリーで働いていると、一発勝負みたいなものだから、かなり考えながらはやっています。失敗すると二度と頼まれない。
藤原 それはヘアメイクも一緒です。もう明らかにダメだったら次はない。だから毎回求められている120%は出さないと、絶対次の仕事は来ない。そういう仕事を42年間やってきました。
石倉 あと私、外国人の学生と、ものすごい大喧嘩をしたことがあります。学生が、「自分はちゃんとやってるのに評価が全然違う。なんでだ?」とガンガン言ってくるから、こっちもガンガン言い返すわけですよ。そういうことが割と多いです。だから、やりたくないなと思いつつやる仕事だと本当に面白くなくなるので、なるべく避けます。
藤原 「キャリアのこれから」も聞きたいのですが、これからも面白いと思えることを選んで仕事を続けていかれるのでしょうか?
石倉 そうですね。あと私は、コロナ禍になる前は、一年のうち四カ月ぐらいは海外にいたんです。今後も、世界に三〜四拠点を決めて、二カ月ずつぐらいいることを考えています。そのほうが楽しく過ごせる。アメリカのニューヨークには家族がいるし、カナダのバンクーバーには友達がたくさんいる。それからヨーロッパにも拠点を探そうと思っていて、ベルギーやギリシャも勧められています。ひとりで行くことが多いし、荷物が多くて重いから大変ですけどね。だから体力勝負です(笑)。
藤原 今後も石倉さんは自由に世界中を飛び回るということですね。人生の先輩が楽しんでいる様子を聞くと、“私もまだまだいけるな”って夢と希望が湧いてきました(笑)。私は、例えば40代はこうよね、50代はこうよね、と昔ながらの各年代のイメージを一新したいと思っています。今、信州大学の教授たちと、外見を整えることがどのように内面に影響するのか、それを数値化できないかを探っているところです。世の中の女性が、美しさと自信を得ることで、いくつになっても生き生きと輝ける道筋をつくりたい。そんなことを考えているので、石倉さんのバイタリティを見習って、楽しみながら頑張ります!
ここでレポートした内容は一部分です。予定時間をオーバーするほど、たっぷりとお話をしてくれて、パーソナリティのみなさんも聞き入っていました。
●へこんだ時は、紙に書き出して頭を整理するといい
また、参加したVoicyパーソナリティの安浪さんから、「大失敗したときはへこみますか?」との質問にもお答えしていました。
石倉 もちろん。ひどい大失敗をした時って、人より自分の方がよくわかっちゃたりするわけです。そのときは、やけ酒、やけ喰い(笑)。あとは私、運動がすごく好きなので、運動をします。こういう場合、できなかった自分にすごく怒ってるわけですよ。だからネガティブなエネルギーがものすごく体中にある。それをずっと持っているのはすごくよくないので、外に出しちゃう。ショッピングでもなんでもいいんだけど、色んなことをやってみて、怒りがなくなってきたら、“なんでうまくいかなかったのか”を考えて、“じゃあ次の時はどうしようか”と考える。それで終わりにして忘れちゃいます。
藤原 私は、紙10枚に考えていることなどを書くのを習慣にしています。最初は、「もう全然分かってないんだから!」と怒りや不満が湧いてくるんですけど、7枚ぐらいになると、もう書くことがなくなるんですね。そこで初めて「もしかしたら私がこういうこと言ったからこうなったのかな」という思考になる。そして残り3枚で、「もしかしたらこういう風にしたからこうなったのかな」「じゃあ次はこうしよう」と未来的な展望になるんです。
石倉 書き出すことはすごくいいんですよ。私も仕事で全然うまくいかないことがあって、しばらく考えたのですが、解決案が見つからず、元気が出ないことがありました。それで、いろいろ整理したいことを書き出したら、“自信を失っていたんだ”と、少し深い理由だとわかったんです。わかるまで少し時間がかかったので、手を動かして、書くことはすごく大事だと思います。
懇親会も大盛り上がり!
対談後は、石倉さんと藤原さんが分かれる形の2グループで、Voicyパーソナリティの方々との懇親会も実施。
対談の話を深掘りしていたり、個人的に聞きたいことを質問などをしていて、こちらも予定時間をオーバーするほど盛り上がっていました。
最後は、手で“V”を作った“Voicyポーズ”で記念撮影をして、懇親会は終了しました。
参加したパーソナリティの方々の感想は……
(写真左)漫画家 ひうらさとるさん
「すごく濃い時間でした。おふたりとも大先輩で、素晴らしい方なのに、すごくリラックスして話されていて、そのナチュラルさがまた素敵で……! こんな風になりたいと思いました。懇親会で聞いた、“思ってることと、言う言葉と、態度が全部一致してないと上品にならない”という藤原さんの言葉は、すごい名言だと心に止めました」
Voicyチャンネル▶︎『ひうらさとるの漫画と温泉』
(写真右)文筆家・編集者 小川奈緒さん
「Voicyのパーソナリティさんたちが集まる、こういう場を作ってもらえると、パーソナリティ同士のつながりができてありがたいです。今回は、人生の先輩でスター級の方同士の対談があって、少人数で聞いていいのかなと思うくらい、すごく贅沢な機会でした。“自分が面白いと思うことをやっていると元気でやれる”という話を聞いて、自分でもすでに感じていたことなので、“このまま突き進んでいいんだ、明日からまた頑張ろう”という気持ちになりました」
Voicyチャンネル▶︎『小川奈緒の家が好きになるラジオ』
(写真左)文筆家・インタビュアー 芳麗さん
「すごく濃くて楽しいイベントでした。美智子さんには一度ロングインタビューをさせていただいたことがあって、“こんな60代の方がいるんだったら、まだまだ 人生も楽しめそうだな”と思っていましたけれど、
Voicyチャンネル▶︎『芳麗の女と文化の話café』
(写真右)同時通訳・英語コーチ 田中慶子さん
「二人とも堂々と素をさらけ出していて、カッコよかったです。懇親会では、石倉先生に、“かっこいいと思う女性は誰ですか?”との質問があり、“クリスティーヌ・ラガルドさん”とおっしゃっていたことが印象的でした。我々からしたら、石倉さんがカッコいい人だと思っているのに、そんな方でもさらにカッコいいなと思う人がいるんだなって。普段はなかなか聞けないコメントを聞けて、すごく嬉しかったです」
Voicyチャンネル▶︎『田中慶子の夢を叶える英語術』
(写真左)中学受験カウンセラー 安浪京子さん
「カッコいい先輩に会えて、興奮しました。もっとお話を聞いていたかったです。一番印象に残っている
Voicyチャンネル▶︎『きょうこ先生の「教育何でも相談室」』
(写真中)デジタルミニマリスト あやじまさん
「私自身、キャリアの転換をしたばかりだったんです。1月に会社を作ったので、すごく勇気をいただけたし、
Voicyチャンネル▶︎『あやじまの身軽になれるラジオ』
(写真右)NGO PLAS代表 門田瑠衣子さん
「すごく元気をいただけました。おふたりとも常にバイタリティを持って過ごしてきていて、年を重ねていくごとにパワーアップしているような印象を受けました。私もそんなふうに年を重ねたり、キャリアを築きたいと思いました」
Voicyチャンネル▶︎『人生を楽しむ10分レッスン』
とても充実した懇親会で、おじゃましたLEE編集部スタッフもとてもパワーをいただけました。
Voicyのパーソナリティさんが個人的に感想を配信していたり、この懇親会をきっかけに、既にコラボトークを配信している方もいるので、ぜひ聴いてみてください。新たな気づきや学びに出会えるかもしれません!
撮影/新谷真衣 取材・文/宮平なつき
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tokoa