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草紅葉広がる秋の尾瀬へ 大自然の中で自分と向き合う~五感を研ぎ澄まし心地よく暮らすvol.17~【LEE DAYS clara】

  • LEE DAYS リーデイズ

2022.11.02

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尾瀬で過ごす時間の1番の恩恵は、忙しい毎日から少し離れ、ゆったりとした時間を堪能する、これに尽きると思います。

さて、今回のルートのおさらいから。(ご興味示してくださる方いるかしら……)

家族で秋の尾瀬をトレッキング 大自然の中で過ごす1泊2日~五感を研ぎ澄まし心地よく暮らすvol.16~【LEE DAYS clara】

1拍2日尾瀬トレッキングルート

(1日目)埼玉の自宅を午前3時頃出発(運転の夫に感謝しつつ仮眠をとります)、6時前に駐車場につき、そこからマイクロバスで登山口の鳩待峠まで移動。

鳩待峠7:00-横田代8:30-アヤメ平9:20-富士見峠9:35-竜宮11:30(トイレ休憩)-見晴12:15(山小屋泊)

(2日目)

見晴7:30-竜宮7:50-牛首8:30-山の鼻(トイレ休憩)9:00-鳩待峠10:00ー自宅

○総走行距離:22.7㎞(階段82階分)

○総歩数:37,544歩

鳩待から尾瀬ヶ原へ出るルートは、山ノ鼻経由が一般的です。水芭蕉や夏山シーズンは多くの人出で賑わい、かなり渋滞することも。わが家は山ノ鼻ではなく、アヤメ平や富士見峠を経由する迂回ルートを通ることがほとんどです。

尾瀬 アヤメ平 トレッキング

緩やかな屋根上の湿原を経由するこのルートは、ところどころ急勾配な場所もあり、水芭蕉やニッコウキスゲで混雑する時期でも訪れる人も少なく、ゆったりと山歩きを楽しむことが出来ます。今回もこのルートを利用し、見晴にある山小屋を目指しました。

標高差370mをゆっくりと登る変化にとんだパノラマコース上にある横田代やアヤメ平の湿原は、尾瀬ヶ原よりも標高が高い場所にあるため、花の見頃もいくらか遅く、ピーク時を過ぎた季節に訪れても十分お花を愉しむことができるのもポイントです。

途中の富士見峠では、お天気が良ければ富士山をはじめ、近隣の山々が見渡せる絶景が広がります。しばらく歩くと一気に視界が開け、そこがアヤメ平。周りを取り囲むものが何もないため、空がぐっと近くに感じられます。いつもここにくると「うわー!」と歓声を上げてしまうほど、とても美しくきれいな風景が広がります。遠くに見える燧ケ岳を望みながら「天上の楽園」と呼ばれる木道を歩くのは本当に気持ちがよく、この景色を見たさにこのルートを選んでる、と言ってもいいほど。控えめに言っても最高です♡(晴れていればね……)

尾瀬 アヤメ平 トレッキング

こちらは去年の夏のアヤメ平。パキッと晴れ渡った空に遠くには燧ケ岳を望み、まっすぐに木道が続いていく湿原には様々なお花が咲き乱れ、本当に天国のよう。ここで朝食を取りつつ、のんびりと鳥のさえずりや心地よい風を感じながらゆるゆると過ごすのが楽しみです。(晴れていればね〜)

しかし今回は雨。時おり横殴りの雨+ガス+強風の酷いコンディション。ひたすら雨に耐えながら、歩みを進めます。木道はところどころ朽ちているため、途中雨に滑って何度か派手に転倒しました。

ここで尾瀬の木道について

尾瀬は群馬・福島・新潟・栃木の4県にまたがり、木道の全長は65㎞にも及びますが、県により管轄が違います。尾瀬ヶ原を含む広範囲が群馬県にあり、東京電力の管理下になります。木道は防腐剤を使用していないためおよそ10年毎に取り換えが必要で、そのすべての作業が手作業によるもの。

尾瀬 尾瀬ヶ原 トレッキング 草紅葉

歩行ができるのはこのどこまでも続く木道上のみ。

尾瀬 木道 東京電力

東京電力の管理下にあるものはすべてTEPCOと年号が焼き印されています。

木材はヘリコプターで運ばれ、人力で撤去と設置が行われます。整備に東京電力は年間2億円もの費用をかけているのだとか! 毎年計画的に整備が進められているそうですが、今回のアヤメ平では整備が進んでいない木道も多く、通行禁止になっている箇所もありました。木道が壊れていると、ハイカーが湿原内の植生を踏んでしまう心配もあります。湿原はとてもデリケートなため、1センチ誰かが足を踏んでしまった場合、元に戻すのに10年はかかると聞きました。

環境庁からの助成もあるようですが、自治体によっては整備にかける費用が足りず、募金や最近ではクラウドファンディングやふるさと納税も尾瀬の環境整備のために活用されているようです。

シカ対策

また尾瀬は年々、シカによる自然環境への被害が深刻化しています。もともとシカは生息していなかったそうですが、1990年代から確認され、ここ10年ほどの間に被害が拡大しているそう。シカは花や芽を求め湿原に入り込み、貴重な湿原の生態を踏み荒らしてしまうため、各所に柵の設置や罠がしかけられていますが、その範囲が年々広がってきています。景観上も残念ではありますが、毎年数百匹のシカが殺処分されている現実にも胸が痛みます。

尾瀬 尾瀬ヶ原 鹿対策

シカ対策の柵が張られいた竜宮付近、去年よりも広範囲に広がっていました。



雨の景色を楽しむ

雨の尾瀬も何度か体験しているのですが、滞在中ずっと雨だったことは今回が初めて……。ゴアテックスの雨具を着ていても、全身雨に打たれながら歩き続けると、さすがにぐったり…。歩きながら水分補給をしつつ、必要最低限のトイレ休憩を取る以外は、ひたすら先を急ぎました。

尾瀬 尾瀬ヶ原 トレッキング

未草もきれいに色づきはじめました。ご褒美みたいな景色に出会えるたび、元気をチャージ。

道中ひっそりと可憐な草花が咲いているのを見つけるたびに、疲れた身体がふっと癒される瞬間を何度となく体感しました。

尾瀬 季節の花 トレッキング

左上より時計回りに、トリカブト、エゾリンドウ、アブラガヤ、つるこけもも、キヤマアキノキリンソウ

尾瀬 トレッキング

富士見峠から竜宮へ降りるルート上には苔むす森が広がり、ジブリの世界のような、なんとも神秘的な雰囲気に満ちています。途中、蝶がたくさん飛び交う幻想的な景色にも出くわしました。

自然の中に身を置くことで、五感が研ぎ澄まされ、心がどんどん穏やかに整っていきます。色づいた葉が落葉する様、雨が葉にあたる音、小鳥のさえずり、雨で匂い立つ森の木々……さまざまな自然の姿を全身で受け止めながら、壮大な尾瀬の中をただ無心に歩きました。普段の生活では決して味わえない、誰にも邪魔されない静寂に包まれた贅沢なひと時を堪能しながら、いつの間にか日頃の悩みや心配事がとても些細なことに感じられ、ふつふつと身体の奥底が感謝や喜びのポジティブなマインドで満たされる、そんな心のデトックスのような体験を毎回この尾瀬で感じています。そんな道中を経て、無事お昼頃に山小屋にたどり着きました。

山小屋での過ごし方

今回お世話になった弥四郎小屋さんは見晴エリアの中で一番尾瀬ヶ原に近い場所にあり、部屋から望む壮大な風景が魅力です。

尾瀬 尾瀬ヶ原 弥四郎小屋

お部屋にもよりますが、大きな窓からは尾瀬ヶ原が一望でき、時間ごとに刻々と変わっていく空の色はまるでキャンバスのよう。これをお目当てにわが家も何度もこちらにお世話になっています。

感染対策のため、数年前より個室対応が定着しています。部屋の中にはお布団があるくらいで、いたって質素なつくり。もちろんTVもなく、Wi-Fiも繋がりづらい環境の為、普段とは違う時間の過ごし方を毎回楽しみます。

今回は早めにお風呂を済ませた後、雨の中ではありましたが、ガイドさんによる自然観察ウォッチングに参加しました。(夏はホタル、季節毎の星座の鑑賞会も催されています)

雨の為か、参加者はわたしと夫の二人だけでしたが、今の季節ならではの植物の鑑賞を中心にお話を伺いながら、尾瀬の自然形態について学びを深めることができ、楽しいひと時を過ごしました。

尾瀬 山小屋 弥四郎小屋

夕食まで子どもたちはお借りした将棋で1戦交えたり……。

尾瀬 絵葉書 

私は今回一緒に来ることが出来なかった友人に宛て、絵葉書を書いたりして過ごしました。今回のために自宅から持参した切手、数年前のものですが(80円に時代を感じますねぇー)、秋の尾瀬にぴったり、と思い荷物に入れてきたものです。旅先からの葉書は友人にとても喜んでもらえました。

尾瀬 見晴 弥四郎小屋 ポスト

弥四郎小屋前にあるポスト、回収は週に2回ほど、とのこと。新潟県桧枝岐町の郵便局から(おそらく嘱託の方)が毎回山を越えて回収と配達にいらっしゃるのだとか。何ともありがたいことです。

山小屋のタイムスケジュールは早め早め、お夕飯は17:30~、消灯21:00、翌朝の朝食も6:00~となります(繁忙期は2回に分かれて案内されます)。

尾瀬 弥四郎小屋 食堂

感染対策のため、お風呂は4名迄の入替制。また自然環境保護のため長年尾瀬では使用が禁止されていたシャンプーとボディーシャンプーが、今年はコロナ対策のため備え付けられていて大変驚きました!

たくさんの人のおかげでいただける温かい食事に感謝し、きれいに完食しました。

尾瀬 弥四郎小屋 食事

夕食はハンバーグ、朝食はサバのみそ焼き。お米どころ新潟の炊き立てのご飯はおひつで出されますが、毎回ほんとうに美味しい!

その他にもピカピカに磨かれた床や手すり、気持ちのよいお風呂にふかふかのお布団。今回も全てがありがたい山小屋での時間でした。

翌朝も雨だったため、最短ルートで戻ることに(過去最短時間を更新!)。疲れた身体を駐車場近くにある「尾瀬ぶらり館」の温泉で労い、産直に立ち寄ってお野菜や果物を買い、10割蕎麦を食べるのがお決まりコースなのですが、お蕎麦屋さん閉まっていました……残念!

次は春か初夏の尾瀬がいいね、と話しながら今回の家族旅行も無事終了です。子どもたちがいつまで一緒についてきてくれるか分かりませんが、大きくなった時にいつか思い出す家族の景色の中に美しい尾瀬の大自然があることを祈って……。

尾瀬 尾瀬ヶ原 トレッキング 未草

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LEEとともに歩んできて、子育てが一段落。自分に目を向ける余裕の出てきたLEEの姉世代の方に、日々の“ほんとうに好きなものと心ときめく時間”をお届けします。

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