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やりがち「わが子自虐」見直してみませんか?

子どもの自己肯定感UPにつながる!?「わが子自虐」しないコミュニケーションのコツ

2023.01.29

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学校や習い事、ママ友との会話などで子どもがほめられたとき、謙遜していればなんとなく場は納まるけれど、もっと前向きな方法は?
親はわりと軽い気持ちでやってしまう「わが子自虐」、でも、子どもについて話す内容は、気になる自己肯定感ともかかわりがあるそう。
謙遜じゃなくて、どうすればうまくコミュニケーションをとれるようになるのでしょうか?
親子コミュニケーションの専門家に聞きました!

親子コミュニケーションの専門家に聞く
「わが子自虐」しないコミュニケーションのコツ

NPO法人JAMネットワーク代表 髙取しづかさん

教えてくれたのは…
NPO法人JAMネットワーク代表
髙取しづかさん

2人の娘の子育て中に渡米した経験から、親子のコミュニケーション力育成に取り組む。『「ことば力」のある子は必ず伸びる!』(青春出版社)などの著書も。

とにかく子どもをほめるアメリカの親に驚き!

“わが子自虐”、どうなのかなと思いつつも、ママ友と子どもの話をするとき、ほかにどんな話し方をすればよいのかわからないのが正直なところ。
親と子どもに向けたコミュニケーション力トレーニングプログラム「ことばキャンプ」を主宰する髙取しづかさんに聞くと、アメリカでの目からウロコの体験を教えてくれました。

「 ’98年に、娘2人が中学生だったときに渡米し、3年間暮らしました。学校でできたアメリカのお友達の親御さんにお会いしたとき、『素敵なお嬢さんですね』と伝えたら、『そうでしょう!』と返ってきたのが衝撃でした!
アメリカでは、親だけでなく先生やコーチもたくさんほめてくれるので、ピアノやスイミングなどの習い事もみんなニコニコ楽しそうに通っていました。
『good job!』『wonderful!』など、ほめ言葉のバリエーションも豊富。子どもの弱みを直すよりも、強みを伸ばそう!という考え方なのだとわかってきました」

とにかく子どもをほめるアメリカの親に驚き!

アメリカで生活する前には、髙取さん自身も“わが子自虐”をしてしまう母だった反省も。

「『活発なお嬢さんですね』とほめられても『いえいえ! 活発すぎてご迷惑おかけしてませんか?』と謙遜していました。でも振り返ると“なんてかわいそうなことをしたんだろう”と。謙遜も悪いことではないのですが、子どもの前ではしないほうがいいのでは」

そうはいっても、ママ友にわが子をほめられて「そうでしょ」と言うのは自慢に思われそう。

「『親バカなんだけど』とワンクッション入れてみては?自分から子どもの話をする場合も、日本人は共感性が高い人が多いので、最初に話す人が子どもをほめると後の人も前向きな話をする流れになるかも。いい連鎖ができて、お互いの子どもをほめあえるような場を作れるといいですね」

最近気になるキーワードである自己肯定感。髙取さんはコミュニケーションと自己肯定感の関係について研究中で、ほめることは効果があるそう。

「自己肯定感とは、ごく簡単にいうと自分に自信があるということですが、“自分ってスゴイ!”と自信満々の状態とは違います。
自分のいいところも悪いところも認められるのが自己肯定感が高い人。自己肯定感は、失敗しても大丈夫!と思える“チャレンジ精神”や“やり抜く力”“立ち直る力”など心の基盤になります。
ほめられると自己肯定感は上がりますし、自分を表現できるようになると、自己肯定感が高くなることも研究で明らかになっています」

でも、アメリカの親のように人前でベタぼめすると周囲から浮いてしまうのが心配……。

「自己肯定感のことを研究分野では自尊感情といいます。自尊に対して他尊もあり、他尊感情とは相手のことを思いやる気持ち。日本人は自尊よりも他尊が強いんですよね。
でも、自分の気持ちを大切にすることもとても重要。子どもの将来は他人が責任を取ってくれるわけじゃないですから、もっと自尊が前に出てもいいのでは」

“ほめる”を続けていると子どもが意欲的に

いざ子どもをほめようとすると「すごいね」「頑張ったね」などほめ言葉がワンパターンに。そんな人におすすめするのは「事実をそのままほめる」こと。

「『宿題できたんだね』『学校から無事に帰ってこれたね』と、事実を言うだけ。内容も当たり前のことでいいんです。
“ほめのハードル”を下げて、できていることをどんどん伝えていくうちに、親もいいところをたくさん見つけられるようになりますし、子どもも意欲的に取り組む力が芽生えます」

気をつけたいのが『100点取ってえらいね』『1位なんてすごいね』と結果を評価するほめ方。

「結果にフォーカスしたほめ方は、100点や1位など結果を出さないとほめてもらえないと子どもが考えるように。2位でも、『前よりタイムが速くなったね』『頑張って走ったね』と、ほめるポイントはたくさんあるはずなんです。
いきなり完璧にはできませんし、私も失敗を繰り返してきました。それでも意識すれば変わっていきます。少しずつやっていきましょう!」



〝子どもをほめあえる場〟を作ろう!
「わが子自虐」をなくす4つのポイント【まとめ】

OK 子どもをほめると自慢になりそうで心配なら「親バカなんだけど」とワンクッション入れる

OK 〝他尊〞に偏りすぎず、〝自尊〞も大事に。自己肯定感にも大きな影響あり

OK 事実をそのままほめればよい。ほめのハードルをどんどん下げよう

NG「100点取ってえらい」など結果を〝評価〞するほめ方は避けて

読者に聞いてみた実践エピソード
謙遜するだけじゃなく子どものこと、こうやってほめてます

●「ピアノが好きで弾きたい曲を自分で選んでるよ、という話をします」(るーさん 娘12歳)

●「長女はまわりの子に流されないところがあり、そこは自分と違ってすごいと思うのでそれを話すことがあります」(maaminさん 娘12歳、息子8歳)

●「1歳半なので発達・発育のことですが、ほめられたときは謙遜せずに、『そうなんです!!』と100%受け入れるようにしています」(れおさん 息子1歳)

●鉄棒で前回りができるようになったとき、ママ友の前でもほめてあげました。何度も練習して努力していたのを知っていたので、「練習頑張ったものね」と努力したことをほめました。(しろくまさん 娘5歳)

●習い事(英会話)の先生から、娘の家での様子を聞かれて、家でも自主的に練習していることと、妹の面倒をよく見てくれて、一緒に英語の曲を聴いていることを話したら、先生が「お母さんから聞いたよ」と話してくれたようで、とても喜んでいました。(めがねさん 娘8歳、2歳)

やりがち「わが子自虐」見直してみませんか?

イラストレーション/船越谷 香 取材・原文/古川はる香 本誌編集部
こちらは2022年LEE11月号(10/7発売)『やりがち「わが子自虐」見直してみませんか?』に掲載の記事です。

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