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わが子の「思春期」がこわい

辻仁成さんインタビュー「忙しいときも息子からのコンタクトには全力で」【子どもの思春期】

2022.07.31

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「成長に必要な時期だから、親として見守るべき」と頭ではわかっても、そううまくはいかず、悩みも尽きないのが子どもの思春期。
思春期を乗り越えた先輩パパ・ママにこそ聞きたい、「実際、何が大変だった?」「どう受け止めた?」。
今だからこそ言える、リアルなお話をうかがいました!

子どもの思春期体験談
返事をしない、会話にならない中でも料理や音楽の話題でつながっていました

作家・ミュージシャン 辻 仁成さん

作家・ミュージシャン 辻 仁成さん (長男18歳)

1959年東京生まれ。ロックバンド「エコーズ」として’85年にデビュー。’89年、初の小説『ピアニシモ』ですばる文学賞を受賞。
Twitter:@TsujiHitonari

新刊エッセイには思春期中の息子さんとのエピソードが満載

『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』(マガジンハウス)

6月発売の新著『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』(マガジンハウス)では、フランスでの8年にわたる父子生活を描く。

忙しいときも息子からのコンタクトには全力でこたえる

息子さんが小学5年生のときから、シングルファザーとしてフランスで子育てをしてきた辻さん。親子2人きり、異国の地での寄り添うような暮らしの中にも、息子さんの思春期はしっかりとあり、大ゲンカしたこともあったそう。

「思春期の始まりは中学生くらい。ひとり親ということへの反発、外見が周囲の友達と違うこと、日本人だけどフランスで育っていることからくるアイデンティティへの迷いなど、いろいろあったんじゃないかな。

あまり感情を表に出さない子なので爆発するとかはなかったけど、話しかけても返事をしない、何を聞いてもひと言しか返ってこず会話にならない……。週末は友達やガールフレンドと遊びに出かけてしまい、ひとりで夕飯を食べることも増えました。

子どもって、反抗していても親のことはよく見ている。親が自分のために何をしてくれているか、どう考えてくれているかにすごく敏感です。
こちらの話には興味がなさそうなのに、自分が聞きたいことがあったり苦しいときには助けを求めてくる。都合がいいと言えばそれまでですが、そんなときはどんなに忙しくても全力で向き合いました。

息子は音楽が好きで、僕も音楽をやっているから、そこに関しては真剣に、褒めるだけじゃなく批評もきちんと。
あと、わが家の場合は料理かな。息子をしっかりと育てないと、と9年間ずっと彼のために料理をしてきました。彼が中学生になった頃『友達に何か振る舞いたいから料理を教えて』と言ってきて、それからは一緒にキッチンに立つことも増えました。会話はなくても食卓がコミュニケーションの時間になっていたと思います」

大学受験が終わって一段落。思春期も自然に流れていった

「大ゲンカをしたのは息子の大学進学についてがきっかけ。こちらでは高校生でもう大学卒業後のことを考えなくてはならず、自分の進路への迷いや不安を激しくぶつけてきたんです。そのときは息子とつかみ合いをしました。

今、息子は18歳になり、5月に大学受験が終わったことで気持ちが安定したのかな。反抗的な態度も一緒に流れていき、『ごはんだよ~』と声をかければ『はーい』と返事をするし、ゴミ出しも率先してやってくれるように。思春期を抜け出し、僕の子育ても終わったのだな、と感慨深いですね。

『絵に描いたようないい息子でした』よりも、いろんなことがあった子育てのほうが思い出に残ると僕は思います。
子どもは親の思うようには育たない、それを当たり前として、羊飼いのつもりで牧草地で遊ぶ羊を遠くから見守り、羊が柵を乗り越えてしまいそうなときだけ、声をかけて止めてあげるのが大事なのだろうと。
まぁ、父子家庭、フランス、息子が思春期に入ったとき50代という、かなりアウェイな状況のぼくだって思春期を乗り越えられたんだから(笑)、皆さんもきっと大丈夫ですよ」



辻さんの過去のTwitterで反響大!
思春期の息子と揉めずに仲良く暮らす10の心得

1. ドアはノックしろ
2. 不機嫌なら近寄るな
3. 同じことを二度言うな
4. 息子のマイシャンプーは使うな
5. 友達といるときに割り込むな
6. 恋人できたか、とは聞くな
7. 借りたお金はすぐ返せ
8. 叱る時は真剣に叱れ
9. ドアを閉めて先に寝ろ
10. 触らぬ神に祟りなし

「本気というよりは笑わせる意味もあってこの10カ条を書きました。でも伝えたかったのは、子どもをひとりの人間として尊重することが大事、ということです」(辻仁成さん)
(2018年6月 公式アカウント @TsujiHitonariより)

子どもの思春期インタビュー【まとめ】
辻仁成さんに聞く「思春期乗り越え後の本音」

そっけない態度に見えても子どもは親を常に気にしている

会話が減ったとき、料理や音楽など共通の話題が救ってくれた

思春期のまっただ中はつらいけど振り返れば全部思い出になる

「わが子の思春期がこわい」記事一覧

取材・原文/遊佐信子

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