母親との距離感で悩むのには、個人の性格に問題があるばかりでなく、LEE世代ならではの理由も! 女性へのカウンセリング経験豊富な専門家が解説します。
この記事は2021年6月7日発売LEE7月号の再掲載です。
教えてくれたのは
メンタルアップマネージャ 大野萌子さん
一般社団法人日本メンタルアップ支援機構代表理事。官公庁、企業での研修・講演を多く行う。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)など。
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Twitter:moeko_oono
距離感が難しい理由
世代間の価値観のギャップが大きいから
母親世代である60~70代とLEE世代とでは、女性の生き方、夫婦関係、子育ての方法も大きく異なります。「バージョンアップできていない母親世代とは、常識や考え方に差があります。価値観は違って当然と理解して」(大野萌子さん)
子育て中でサポートが必要な時期だから
「子どもが小さいうちは、多くの手が必要。就職や結婚で実家と離れて適度な距離感だったのが、育児のために再び近づくことで軋轢が生まれやすくなります。でも、子どもが成長するとまた、ほどよい距離をおけることも」(大野萌子さん)
友達みたいな親子関係が多いから
昔は“親子=上下関係”だったのが、女同士である母娘は特に“友達のような関係”に変わってきた世代。「べったりくっついて育ってきた母娘も多いはず。距離感が近い分トラブルもつきものです」(大野萌子さん)
親世代は社会とのかかわりが少なくなっているから
専業主婦の母親も多く、年齢とともに社会との接点が減り、人間関係も希薄に。「そうなると、自分がかかわれる娘や娘家族が、自分の価値を見いだす対象になりがち。依存したり過干渉になるケースも」(大野萌子さん)
母、娘それぞれの置かれた立場が変わると距離感も変化
「これまではわりといい関係が保てていたと思うのに、最近距離感で悩むようになった」というLEE世代も。これには世代ならではの理由がある、とメンタルアップマネージャの大野萌子さん。
「大きいのは、結婚や出産をきっかけに育児や家族の行事で親の助けを借りる機会が増え、物理的な距離感が近くなること。そうすると精神的な距離感も近づきますよね。人間関係は、近すぎると依存が強くなり、依存が強くなると相手への攻撃も強くなるもの。近づけば近づくほどトラブルが増えるのは当たり前のことなんです」(大野萌子さん)
依存が強くなるのは、親側にも要因がありそうです。
「LEE世代の母親は専業主婦も多く社会との接点が少ない。仕事があっても退職する世代で、社会的な活動が減ってくる。そうなると格好の自己実現、自分の存在価値を見いだす対象が娘だけになり、必要以上にかかわってしまうのです」(大野萌子さん)
また、距離感のとり方が難しい「困った母親」を5つのタイプに分けて、それぞれの対処法も教えていただきました。どのタイプにも言えるのは「今から母親を変えるのは難しい」ということ。
「そもそも他人を変えるのは難しいものですが、世代的に特に今から考え方や価値観を変えてもらうのは至難の業でしょうね。それよりは、娘側が無理のないかたちで付き合い方を調整するのが現実的」(大野萌子さん)
親に対しては「育ててもらった恩があるから」「今は助けてもらっているから」という気持ちもあり、なるべく要求や要望に沿ってあげたくなるところも。
「気持ちはわかりますが、自分が我慢しすぎる必要はないですよ。人間同士なので、時間とともに家族の関係も変わってきて、また距離感も変わるもの。お互いにとってほどよい距離を探って、コントロールしていくことが大切です」(大野萌子さん)
“~べき”思考タイプ
自分の価値観に強い信念が
「母親とはこうあるべき」という強い信念があり、自分もそれに沿ってやってきたため、娘にも強要。よかれと思って口出しする。
対策▶︎
「時代が違うから」と否定するとケンカに。「私はこう思う」とひとつの意見として自己主張を。
過干渉タイプ
子どもへの干渉が当然と考えがち
連絡なく家に来たり、勝手にこちらの生活に踏み込んでくる。自分と娘との境界線が曖昧で、親として当然の行いだと思っている。
対策▶︎
説得しても徒労に終わるので、物理的な距離をとるしかない。家の合鍵は理由をつけて渡さないこと。
寂しがり屋タイプ
連絡がないといじけてしまう
連絡や相談をしないで何かを決めると「お母さんなんて必要ないのね」と過剰に疎外感を訴える。母親自身が満たされないのが背景に。
対策▶︎
すべてを報告するのは無理なこと。こちらからの連絡はすべて事後報告を当たり前にしていきましょう。
ネガティブ・愚痴タイプ
フォローしても愚痴が止まらない
父親、ご近所さんへの愚痴、自分の人生への愚痴が止まらない。アドバイスしても「どうせお母さんには無理」とネガティブ返答が。
対策▶︎
愚痴が止まることはないので、ただ聞くだけでいい。こちらが聞けないときは無理をして聞かない。
二重拘束タイプ
気分次第の言葉に周囲が混乱!
「こうしなさい。でも○○はダメ」と、二重に指示を与えて混乱させる。本人に意図はなく、ただ思いつくままに話しているだけ。
対策▶︎
「何が言いたいの?」と矛盾を指摘する。真に受けてしまうと乱されるので、適当に流すようにして。
イラストレーション/黒猫まな子 取材・原文/古川はる香
この記事は2021年6月7日発売LEE7月号『ありがたい! でも時々しんどい「母親との距離感」』の再掲載です。
2021年12月1日から2022年5月31日まで、LEEwebで反響の大きかった記事を再配信します。(初公開日 2021年12月29日)
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