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「母と私」の心地よい距離感

専門家が解説【母親との心地よい距離の取り方】母子密着型は苦しい。境界線を設け、イコールの関係に

2022.05.08

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ありがたいときも、難しいときもあるけれど…「母と私」の心地よい距離感

「母と私」の心地よい距離感

かけがえのない存在で、LEE世代では育児のサポートを頼む機会も多々。助かる反面、実母だからこその遠慮のなさや近すぎる距離感に戸惑うことも…。母の日のある今月、母親とよりよい関係を築くためにできることを、あらためて考えてみませんか?

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母との関係に悩んでいても…
今からでも自己肯定感は変えられる?

母との関係と自己肯定感に詳しい専門家がレクチャー。認識をアップデートすることで、母との関係性も変わる!

教えてくれたのは?
松村亜里さん

松村亜里さん

ニューヨークライフバランス研究所 代表。医学博士。著書に『お母さんの自己肯定感を高める本』(WAVE出版)など多数。新刊に『誰もが幸せに成長できる 心理的安全性の高め方』(同)。

Instagram:lifebalance.ny
Twitter:lifebalanceny
公式サイト:https://lifebalanceny.org

母子密着型の関係は苦しい。
距離感の手綱は自分が握る

「娘と母の関係性は、夫、友人、同僚などさまざまな人間関係に影響する」と松村さん。

「親子の関係には大きく3タイプがあって(下記)、親から無条件の愛を感じる『安定型』は子どもの自己肯定感が高い。親が子どもの要求を満たさない『拒否型』は、ネガティブな感情は残るものの子どもが早く自立するというメリットも。

問題は『葛藤型』で、親が時によってやさしかったり怒ったり反応が予測できず、子どもは親の顔色をうかがうように。成功したときしか褒められないなど、“条件付き”の愛情も、子どもは不安定になり自己肯定感が下がりがちです。

LEE読者の親世代は、時代的に我慢を強いられた人も多く、娘を通して自己実現をする母親も。アイデンティティが混同してしまう母子密着型の関係は、娘が自分の人生を生きられず、苦しくなってしまいますね」(松村亜里さん)

では、母親といい距離感を保つためにはどうすれば?

「もう子どもではないので、母との間にしっかり境界線を引いて、距離感の手綱は自分が握ること。

親との上下関係が残り、娘が母親の意見を聞いてしまうケースもありますが、母との関係はイコールだと認識を。母の話を聞かなかったからといって、罪悪感を感じる必要はありません。

母親が口出しをするのは、すべて愛情ゆえだと思うと少し楽かも。娘を苦しめたいのではなく、幸せになってほしいから言う。従うのではなく、娘自身が心地いい選択をすれば、母親もだんだんと安心するはずです」(松村亜里さん)

母の子どもへの対応タイプと自己肯定感の関係

子どもの自己肯定感 ●安定型 親からの無条件の愛情を感じる。いいところも悪いところも受け入れてもらえる ●拒否型 親からニーズを満たしてもらえない。いつも拒否されるので諦めて、親に頼らず子どもが早く自立する ●葛藤型 理由なくやさしいときと怖いときがある。子どもはビクビクして、愛されている実感がもてない

まとめ

親との上下関係はなくイコールだと思っていい

親との距離感、境界線は自分でコントロール

苦しめたいわけではなく、すべては愛情だと認識する



自己肯定感を維持するためにも…
読者の “母とのいい距離感” を保つコツ

長年付き合う中で気づいた、母親とのほどよい距離の取り方。LEE読者の体験談や気づきを、参考にしてみて。
「母と私」の心地よい距離感

母がものすごくネガティブなタイプなため、軽い悩み相談のつもりで話しても大ごとにされがち。内容によっては、あえて時間をあけて事後報告したりと調整しています。(LEEメンバーあんみつさん)


大学進学時、行きたい大学があったが認めてもらえず、いまだに思い出すと心の傷が痛む。その経験から、本当にやりたいことは自分で決めて、母には結果のみを伝えています。(LEEメンバー ミナミさん)

「母と私」の心地よい距離感
たまに実家に連泊すると、母がみんなのお世話を頑張りすぎて、お互いにイライラしてしまう。泊まっても1泊にするようにしています。(LEE100人隊No.049 おみかんさん)

大学時代に将来について真剣に相談したとき、自分のことを一番応援してくれている人だと気づいて、急に恋バナができるほど距離が縮まった。母をひとりの大人の女性だと感じたからかもしれません。(LEE100人隊No.084 なっちんさん)

「母と私」の心地よい距離感実家にいるときはあまり仲がよくなく、今の良好な関係になったのは、私が社会人になり一人暮らしを始めてから。少し離れることで対等な立場に近づいたのかなと思っています。(LEE100人隊No.013 イノさん)

私が育児で大変だったとき、私の代わりに子どもをあやしたり、夜泣きで起きてくれたり。その恩もあってか、育児をきっかけに母の愛情に気づいて、これまで以上に感謝をするように。できる限りの親孝行はするようにしています。(LEE100人隊No.035 ロンゴアミーゴさん)


次回は「『母と私』の心地よい距離感『作家 小川糸さんインタビュー』編」をご紹介。

イラストレーション/オカヤイズミ 取材・文/野々山 幸(TAPE)

※商品価格は消費税込みの総額表示(2022年5/7発売LEE6月号現在)です。

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