立春も過ぎて、2022年も本格的に始動となりましたが、みなさまにはいかがお過ごしですか。
今日のお題は、「運が悪い」と言われたときの乗り切り方。きっかけはまたまた編集のHT子さん。「年末年始って、テレビでも雑誌でもウェブでも占い特集があって、ランキングが出たり、勝手に運がいいとか悪いとか言われたり、占われる機会が多くないですか。私なんてこの間、お墓参りのついでにお稲荷さんでおみくじを引いたら、人生で2回目くらいの凶だったんですよ。私はいいことだけ信じるタイプですぐ忘れちゃうけど、気にする人もいますよね。自分で占って、運が悪いと思ったら、Sayaさんはどんなふうにケアしていますか」。
占いランキングは、エンタメ性が強いもの。「運が悪い」と言われたところで、そこまで気にすることはないし、笑って流すのが正しい対処法。とくにテレビ番組の占いは、その時間、「ワー、キャー」とスリルを楽しんだら、その後は引きずらないことが大切だと思います。おみくじで「凶」が出ても同じで、「この神社とは相性悪いんだな」くらいで手放したり、「新年早々、凶が出たんですよー」とネタにしたりで十分ではないでしょうか……。
大吉がどうしても欲しいのであれば、別の神社に行ったっていいのです。実際、私は、今年のお正月は京都の下鴨(賀茂御親)神社で末吉だったので、二週間後に上賀茂(賀茂別雷)神社で引いたところ大吉でしたから、有り難く、そちらを信じようと思っています(笑)。
でもメンタルが弱っているときって、案外それができないものかもしれません。また占いランキングの仕組みを知らないから、得体の知れないものに感じられ、気にしてしまうのもあるかもしれません。そこで、今回は、西洋占星術に限りますが、メディアの占いの吉凶の付け方の基本をご紹介してみます。
簡単にでも知っておきたい
占いの吉凶の付け方の仕組みとは
2022年を例にとると、現実化とルールの星・土星が風の星座のグループのみずがめ座に。自立や変革の星・天王星が土の星座のグループのおうし座に。拡大と保護の星・木星は水の星座のグループのうお座と火の星座のグループのおひつじ座にあります。
土星は成長の機会を与えてくれますが、若いときはそれが試練や制限に感じられることもあり、雑誌やテレビ番組など大衆向けメディアの占いでは凶星として扱われることも多い天体。木星は自然と拡大していくエネルギーなので、芸能人のような人気商売には欠かせない面もあり、テレビの占い番組などでは吉星として扱われることも多いでしょう。
つまり、とても簡単な見方ではありますが、2022年であれば、吉星の木星が滞在する水の星座のグループ(かに座、さそり座、うお座)、火の星座のグループ(おひつじ座、しし座、いて座)の加点を高くする傾向があると思います。一方、土星や天王星が凶星として扱われるため、それらと葛藤の配置となるおうし座、しし座、さそり座の減点がされる可能性があります。風の星座のグループ(ふたご座、てんびん座、みずがめ座)は土星の影響が悪く出るとも限らないことから、ほどほどの点数となりそうですね。さそり座などは、木星とはよい角度の時期もあるけれど、土星とは葛藤の配置ということで、加点と減点の両方がされた結果、占いランキング番組などでは「運が悪い」とされる可能性がある、というわけです。
楽しいこと、無風なこと、楽なことを「運がいい」とすれば、確かに土星や天王星と葛藤の位置になる星座はランキングが低いのかもしれません。でも、〝運の内容〟を見てみると、「やりたいことにチャレンジし、がんばっているがゆえの大変さ」にさらされているとも言えます。これらの星座には現実にも出世したり、目立つポジションを得たりという人も多いのです。そのなかで、成長のための試練に遭いやすい一年なのだと考えると、もし見る気もなく飛び込んできた占いで気持ちが凹んでしまった人がいても元に戻って、また元気になれるのではないでしょうか。
占う人によって価値観や
運の定義は分かれると知っておく
このようにメディアでの占いは一定のロジックにもとづいているものの、短時間で大勢の運勢を紹介せざるを得ないテレビ番組などではそれほど丁寧に占われる人の気持ちを汲み取れないのは仕方がない面があると思います。それに、先ほども書いたように、運の吉凶には占う人の価値観や運の定義などが現れます。
たとえば、2022年の土の星座(おうし座、おとめ座、やぎ座)は、変容の星・冥王星がやぎ座に、自立や変革の星・天王星がおうし座にあるため、冥王星と天王星のパワーをいいほうに使える可能性もある。土星と葛藤の配置であるおうし座であっても、それを切り抜ける術はあるわけですね。
またメディアで西洋占星術を取り上げる場合、ほとんどは太陽星座を使いますが、個人のホロスコープ(生まれたときの星の配置図)を見てみると、ほかの惑星の星座もわかるもの。太陽星座の運気が今ひとつでも、金星や月の運気はいいというようなことが起こります。「メディアの占いは当たらない」のではなく、「一部を紹介している」ので、本当に開運したいと思ったら、自分で占星術を学んだり、占星術師さんのところで見てもらったり、どんどん行動するのがおすすめです。
たとえば、「鬼が笑う」来年の話ですけれど、2023年は、土星が3月にうお座へと移動しますから、土星が葛藤の配置になるふたご座、おとめ座、いて座のランキングはとくに前半は下のほうになるかもしれません。
私の太陽星座はおとめ座ですが、ホロスコープの自分自身を表す1ハウスには火の星座のいて座の木星と海王星があります。2023年前半は火の星座のおひつじ座に木星が入るので、「おとめ座はイマイチでも、いて座はすごくいいだろうな」とわかるわけですね。すると、いて座の木星、海王星の性質(私の素質の中でもヒーリングや芸術、アカデミック、スピリチュアルな世界に親和性がある部分)を発揮しようとなんとなく思っていると、だいたいその通りになる。これは占星術のごく初歩の知識ですが、知っているととても便利です。
雑事に追われて自分をなくしたら
役割から離れてひとりになってみる
でも、「気にしない」だけでは編集HT子さんの「Sayaさんは運が悪いなあと思ったとき、どんなふうに切り抜けるんですか?」という質問に答えてはいないですよね。また占星術を学ぶにしても時間はかかります。そんなとき、私はどうしているかなと振り返ってみました。
日頃はあまり運が悪いと感じることはないのですが、年明けに夫が体調を崩したり、自分も締め切りが続いたり、頼ってくる人が多かったりで、キャパオーバー気味に。「あ、今ヤバいな」と思う瞬間がありました。普段なら茶道や着物など趣味の時間で上げることができるのですが、年明けでお稽古やお茶会もまだ始まっていませんでした。
そのときに私がしたことは、「睡眠をしっかりとる」「栄養のバランスを考えた食事をとる」「バスソルトを入れたお風呂にゆっくり入る」「ひとりで喫茶店に行く」「ピラティスのオンラインレッスンを受ける」「フラワーエッセンスやホメオパシーのレメディを摂る」「90分のアロマトリートメントを受ける」「自然布のギャラリーに行って素敵なオーナーとお話をする」「うお座木星の時期らしい、アネモネのフラワーアレンジメントを買って、お部屋に飾る」でした。ともかく働いた分だけ自分を休ませ、楽しませることを心がけたのです。
ほとんどは普段からしていることばかりですが、このときはかなり時間をとって、集中して自分を取り戻すようにしました。勝手に自分のためのリトリートをするわけです。また睡眠、食事、入浴、運動といったセルフケアも大切ですが、最近、京都でゴッドハンドの方を見つけて、アロマトリートメントは月に一回行くようにしています。このときも、「締め切りが続いたあとのこのタイミングで行くといいだろうなあ」と予約していたタイミングがバッチリでした。アロマセラピーによって心と身体がゆるみ、役割から離れて、今の自分を俯瞰できる瞬間があったんですね。
それで、「ああ役割につかまって、自分でなくなっていたな」と感じて、また切り替えることができたのです。フルタイムで働いていたり、お子さんが小さかったりしたら、こういう時間は取りづらいかもしれません。でも、ひと月の中に1日でもそんなタイミングがあれば、また切り替えて、家族のためにがんばれるものだと思います。パートナーや家族にお子さんを預けてでも、みなさんがそんな時間を取れるといいですね。どうしても休めないときは、逆に心を込めてお皿を洗ってみるだけでもいい。マインドフルになれたら、家事であっても瞑想のような効果をもたらしてくれるはずです。
つまり、運気がもしイマイチなときでも、運の受け皿である自分自身のボディとメンタルをケアすれば、外が嵐であっても乗り切れるものです。大変なときほど休んでみる。生き物としての自分を可愛がってみる。面倒と思わず、気持ちを込めてみる。すると、いつでも気持ちよく幸せに、楽しくいられるものだと思います。
(次回は、2022年3月7日に更新)
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Saya Saya
アストロロジー・ライター
1971年生まれ。おとめ座。現在は、京都で夫とふたり暮らし。雑誌連載のほか、オンライン講座や、ホロスコープ・リーディングのセッションを行う。著書に「星を味方につける生き方、暮らし方」(集英社)など多数。
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