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CULTURE NAVI「今月の人」

【三宅弘城さんインタビュー】“老い”は追い回されるより、受け入れ楽しむ

2022.02.19

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カルチャーナビ : 今月の人・今月の情報

子育て中の家庭では、平日朝のおなじみの顔かも!? NHK Eテレ『みいつけた!』で、イスの応援団長“みやけマン”に扮し、キャラクターの声優も務める俳優・三宅弘城さん。

「“老い”は追い回されるより、受け入れるほうが楽しい!」三宅弘城さん

三宅弘城さん

「『みいつけた!』に出演することで、子どもに知ってもらえる機会は増えました。銭湯で僕に気づいた男の子が、隣にイスを持ってきて、“あのね。今日ね”と、世間話を聞かせてくれたりも。新しい舞台や映像作品の顔合わせでも、俳優さんやスタッフさんから“親子で観てます!”と、声をかけてもらって、会話のきっかけになるのはありがたいですね」

そんな三宅さんの原点といえば舞台。3月4日からは松尾スズキさんが立ち上げた東京成人演劇部の『命、ギガ長スW(ダブル)』の幕が開く。濃密な2人芝居で三宅さんと共演するのは、LEEではおなじみのともさかりえさん。

「ともさかさんとは ’11年から舞台『鎌塚氏シリーズ』でがっつりご一緒しているので、今回2人芝居ができるのは、楽しみですし安心感もあります。ちゃんと心で会話してくれて、こちらが気持ちをぶつけてもしっかり受け止めてくれる役者さんなので」

東京公演は客席数200ほどの小劇場、ザ・スズナリで行われる。三宅さん&ともさかさん、Wキャストの宮藤官九郎さん&安藤玉恵さんの演技を観るには、かなり贅沢な環境といえるのでは!?

「僕は初舞台がザ・スズナリなので、原点に帰る感覚もあります。最近では大きな舞台や映画、ドラマに出る機会もありますが、小劇場のスピリッツを忘れちゃいけないなと。ただ、客席との距離が近いので、本番中にお客さんの顔が見えて“あの人難しい顔してる!”と、逆に緊張しそうです(笑)」

作品のテーマである“老い”は、おそらくLEE読者も気になり始める話題。三宅さん自身は“老い”についてどう感じている?

「器械体操やボクシング経験もあり、運動は好きなので、河川敷を走ったり、軽く筋トレしたりして、できる限り体の老いには抗っていこう!というのはありますね。でも、老いるのは悪いことだけじゃない。時間の流れがゆっくりになって、人に優しくもなれる。老いに追いかけ回されるんじゃなく、受け入れることで楽しさが待っている気がします。

そうそう、年をとると、サウナの入り方も変わるんですよ! 昔なら、いけすかないヤツがいると、“あいつより長く入ってやる!”って勝手に勝負を挑んでたのが、“サウナも水風呂も自分のペースでいいじゃない”と思えるようになってくる」

ドラマ『サ道』シリーズにも出演したサウナー・三宅さんだけに、ついどんな話題もサウナにつながりがち(笑)。

「『サ道』に出たことで、初対面の方から“僕もサウナ好きなんです”と声をかけられることが増えましたし、こちらから“サウナって行ったりする?”と話題をふることも。撮影の空き時間にサウナに誘った若い俳優さんが、ドハマりしてくれたこともありました」

地方公演で全国を回る際の楽しみも、やっぱりサウナ!

「久しぶりに行くと、昭和な雰囲気だったサウナが、ブームに乗っておしゃれにリニューアルしてるんですよ! その変化をチェックするのは、もはや仕事ですね(笑)」

Profile

みやけ・ひろき●1968年、神奈川県生まれ。’88年に劇団健康(現:ナイロン100℃)に参加。舞台、映画、ドラマと幅広く活躍している。器械体操、ボクシングで培われた身体能力を生かしたアクションも得意。パンクコントバンド・グループ魂では“石鹸”としてドラムを担当。
Twitter:miyasekken
公式サイト:otonakeikaku.net/artist/6/



『命、ギガ長スW(ダブル)』

『命、ギガ長スW(ダブル)』

松尾スズキが2019年に書き下ろし、初演では自身と安藤玉恵が演じた2人芝居。今回はダブルキャストで、宮藤官九郎と安藤玉恵の「ギガ組」、三宅弘城とともさかりえの「長ス組」が、ニートでアルコール依存症の50代の息子・オサム、’80代で認知症気味の母・エイコを演じる。
●3月4日~4月3日 ザ・スズナリ 問い合わせ=☎︎03・3327・4312(大人計画)
大阪、北九州、松本公演あり。


撮影/yoshimi 取材・文/古川はる香

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