すっぽり、ぬくぬく……寒い冬の朝のお布団ほど、後ろ髪を引いてくる存在って、そうないですよね……。ふかふかでホカホカでいつまででも居られる、みんな大好きホッコリお布団! ですが、冬はこの寒さゆえに、たいせつなこのお布団の安全を脅かす「××」が発生しやすいんです……!
今回は、いつでも気持ちよいお布団で眠れるように。まだまだ続くこの季節にこそ必要な「××」対策、ただしい布団ケアについてお話ししたいと思います。
冬の布団の一番の敵は「結露」!
お布団の安全を脅かす「××」? ダニ? カビ? いいえ、冬の場合、ここはまず何よりも「結露」!
結露って、窓ガラスにつくあの結露? そうです。メカニズムとしてはほとんど同じ機序で発生する「結露」です。
念のためおさらいしておくと、「結露」というのはいわゆる水蒸気を含んだ温かい空気が、冷えた面に触れて凝結し水滴になって付着する現象のこと。夏、氷を入れたグラスにびっしょりつく水滴、冬の朝の窓ガラスにもつくあの水滴が「結露」です。
ところで、「寝床内環境(しんしょうないかんきょう)」という言葉、どこかで聞いたことはありますか?
これは文字をそのまま読む通り、「布団のなかの環境」のことなのですが、厚生労働省「e-ヘルスネット」の記事によれば、「寝床内の温度は33度、湿度は50%の状態が最適」なのだそう。
※引用元:有竹 清夏「快眠のためのテクニック -よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係」「e-ヘルスネット」厚生労働省(2021)
ということは、気持ちよく眠れている、そのお布団のなかの33度の空気は、18度程度まで下がれば、やはり「結露」してしまうわけなんです。
そういえば、少し敷きっぱなしにしていたお布団を久しぶりに畳んだ時、床などに面していた部分が「しっとり」しているように感じたことなどはありませんか。冷えたスマホを寝しなのお布団に放り込んだら薄っすら水滴が付いてしまったり。そんな経験がもしあるなら、その水分こそが布団の中の結露です。
この結露、放置していると、そう長く経たないうちに、お布団にシミ、ニオイ、カビ、ダニを引き起こしてしまいます。私たちの大好きなお布団を、気持ちの悪い場所にしてしまいかねないのです。
天気が悪くても元気がなくても、お布団を「乾燥」させるには?
実際のところ寝床内環境は「温度33度、湿度50%」という一定の数値を指しているわけではありません。汗っかきだったり体温が高かったり、お布団の材質、枚数、周囲の温度や湿度、体調や寝間着などにも大きく左右されるので、もっと周囲の温度が高くても結露してしまったり、その水分量もたくさんになってしまうこともあります。
また寝具がベッドなのか、和布団なのか、畳の上に敷いているか、フローリング床に敷いているか? 毛布はアクリルか毛か、羽毛布団かポリエステルか?何枚使っている?などの条件によっても「結露リスク」は変化します。
とはいえ、いずれにせよ布団ケアとして欠かせないのが、お布団を「乾燥させること」です!
昔ながらの 「天日に干す」……なども、できればそれでいいですが、昨今の住宅事情では不可能だったり、そもそも冬は天候が布団干しに適していないことも多々(たとえ快晴でも強風など)あります。
そこで天気に左右されることなく、お布団を簡単に乾燥させるには?
部屋の空気が乾燥気味なら、とにかく「万年床」は避けて軽く畳むなり壁に立てかけるなりして空気に触れさせることです。
でももしそんな元気もないのなら、やはり「布団乾燥機」を使うのがマストでしょう。
近年主流の、ホースを掛け布団と敷布団の間に差し込むだけのセッティングで済むタイプの布団乾燥機なら、お布団を軽く整えて差してスイッチを押すだけの手間ですから、本当に使わない手はありません。
ただ、すでに床などに面した敷布団等が結露で「しっとり」してしまっている状態であれば、布団乾燥機の使用と合わせて敷布団用の「除湿マット」の利用、ないしは敷布団を壁などに立てかけてサーキュレーターの風を当てる等の外側乾燥作業もぜひ週に一度程度は行ってください。
また、これは奥の手になりますが、もし「床暖房」の床がある場合、または電気カーペットがある場合には、3時間程度、時間を決めて湿った布団を床(カーペット)に敷き、下から全体を温めて乾燥させる手もあります。おねしょ布団の応急処置後の乾燥などにも有効です。ただしこの場合布団が高熱になりがちなので必ず側で時々確認しながら温め、熱中症の恐れがあるので決してこのお布団ではそのまま寝ないでくださいね。
今の結露対策が来年のダニ・カビに効く
布団に発生する結露の放置がアレルギーの原因にもなるダニやカビの発生につながることは前述しましたが、ダニ、カビが増える以前に、ニオイ(バクテリアの繁殖)や水滴にホコリなどが混じってのシミ汚れが引き起こされます。とにもかくにも湿気た寝具、そのニオイ、色には冬場も注意して過ごしてください。
ただ冬季は基本的に(暖房をかけていても)あまり気温25度は越えないので、カビにしろダニにしろ「爆発的な繁殖」には至りにくいでしょう。とはいえ冬にうっかりカビ、ダニの「種まき」をしてしまうと来春以降のお布団周りの環境悪化は必至。
「結露」による「しっとりお布団」はどうか見て見ぬ振りせず、とにもかくにも、できるだけの「乾燥」を心がけ、「ほっこりお布団」を維持してくださいね。
LEE本誌や、LEEwebでも大活躍中の家事スペシャリスト、藤原千秋さん。早目に知っておくと安心な“おそうじ”の豆知識や実践テクを、季節先取りでお届けします。次回もお楽しみに!
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藤原千秋 Chiaki Fujiwara
住生活ジャーナリスト、ライター
掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。
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