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【映画】『ハッピー・オールド・イヤー』思い出の封印が崩壊!“断捨離あるある満載”ムービーで笑って泣いて

2020.12.10

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『ハッピー・オールド・イヤー』

©2019 GDH 559 Co., Ltd.

共感必至! ほろ苦い思い出もあふれ出す“断捨離”ムービー

ステイホーム中、“断捨離”にトライした人はかなり多いのでは?

いろいろ捨てようとしたけれど……と苦労した人のみならず、きっと誰もが共感せずにはいられない“断捨離ムービー”が登場した。しかも2018年に日本でも大ヒットしたタイ映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の製作スタジオの手によるもの、かつ主演女優チュティモン・ジョンジャルーンスックジンが再登板と聞けば、さらに心は高鳴る!

スウェーデンに留学し、ミニマルなライフスタイルを学んで帰国したジーンは、かつて父が営んでいた音楽教室兼自宅の小さなビルを、自身のデザイン事務所にしようとリフォームを思いつく。ほそぼそと自作の服をネット販売する兄に手伝ってもらいながら、家中にあふれるものを片付けるために断捨離を開始。“迷わない、思い出に浸らない、感情に溺れない”をモットーに、大きなゴミ袋に次々と投げ入れていく。

ところが、出ていった父を忘れられない母は猛反対。ジーン自身も一度は捨てたものを、衝動的に取り戻しに走ってしまう。そして大昔に借りたままだった本、友人のピアス、写真、CDやレコード、楽器に至るまでを、元の持ち主に返そうと訪ね歩く。やがて元カレから預かったままのカメラを小包で送るが、受け取りを拒絶され……。

どうしたって記憶や思い出の封印が解けてしまい、愛着にほだされたり、自己嫌悪に陥ったり……と“あるある”満載! すでに新しい家族を築いている父の思い出を捨てられない母の深く複雑な愛憎、ジーンが元カレに抱く罪悪感や、元カレの消えぬ怒りという愛情の裏返しなど、物をため込んだ総重量分が過去の重みとなってズシンとのしかかってくる。

パッパと捨てられたら楽だけど、人ってそんな簡単じゃない。でも、新たな一歩を踏み出すには、心が痛んでも捨てなければならないものもある。人生のほろ苦さがジワッと胸に広がる。ちなみに本作、2020年の大阪アジアン映画祭でグランプリを受賞した大注目作です!(12月11日より新宿シネマカリテほかにて全国順次公開)

『ハッピー・オールド・イヤー』公式サイト



『パリのどこかで、あなたと』

© 2019 /CE QUI ME MEUT MOTION PICTURESTUDIOCANAL-FRANCE 2 CINEMA

ありふれた日常と恋の予感のさりげない活写に魅せられる

隣り合うアパートメントで、一人暮らしをしている30歳のメラニーとレミー。メラニーは元カレとの恋愛を引きずりながら仕事に忙殺される日々。レミーは同僚が解雇される中、自分だけが昇進することに罪悪感を抱えている。

2人はそれぞれセラピーに通い始めるが。ちょっと不器用な2人の小さな日常の出来事が、さすがクラピッシュ監督、なぜか妙に心に残る。なかなか出会えない展開にドキドキ。(12月11日より新宿シネマカリテほかにて全国順次公開)
『パリのどこかで、あなたと』公式サイト

※公開につきましては、各作品の公式サイトをご参照ください。


取材・原文/折田千鶴子


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