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【書評】ミナ ペルホネンを立ち上げた皆川明さん、実は体育会系男子だった!

2020.09.21

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ミナ ペルホネンのデザイナーが語る
豊かな世界の生み出し方

『生きる はたらく つくる』皆川 明 ¥1400/つるとはな

ちょうちょ柄のファブリックを使ったバッグや洋服をはじめ、家具や生活雑貨でもおなじみのブランド、ミナ ペルホネン。

1995年に「ミナ」という名前からスタートし、今年、創業25周年を迎えたこのブランドを立ち上げた皆川明さんが、自らの生き方を明らかにしながら、ブランドが成長していった足跡をひもといていくのがこの本だ。

皆川さんは1967年東京都生まれ。ミナ ペルホネンの洗練されたイメージからして、幼い頃から美術が得意だったのかと思いきや、スポーツが大好きで、中高生時代は長距離走に打ち込んでいた超体育会系少年だった生い立ちには驚いてしまう。ところが「体育大に進学し、フルマラソンに出場する」目標は、思わぬ怪我によって断たれることに。進路も、将来の夢も失ってしまった皆川少年は、高校を卒業すると漠然と「パリに行ってみたい」と思うようになる。家族も不思議がる中で、お金を貯めて出かけたパリ旅行。そこで数奇な出会いを繰り返し、まるで定められていたかのように、ファッションやデザインの世界に足を踏み入れることになっていく――。

本著で皆川さんが意識し続けているのは、“百年以上続くモノ作りをするためにはどうすればいいのか”ということ。そのためにはどういうデザインを考えて、どう働き、どんなスタッフとチームを組み、誰に何をまかせるのか。彼が立てた問いはシンプルだけど、それを実行し続けることで、ミナ ペルホネンは時代に消費されることなく、豊かな世界を築き続けている。商品だけではなくて、こうした考えや言葉にも触れる経験は、慌ただしいLEE世代の心に、よい影響をもたらすだろう。自分の働き方や家族との絆のつくり方、そして生き方を見つめ直すきっかけも与えてくれるはず。また子育てのヒントにも。

皆川さんの人生を変えたのは、自らが決めた海外ひとり旅。何かを計画する力と、実際に行動に移していく力は、彼のその後の人生の原動力になっていく。これもわが子を導く際の、大きな一助となりそう!

『百年と一日』
柴崎友香 ¥1400 筑摩書房

高校生のときに偶然会話を交わしたのち、別々の人生を送る二人の女性たちの行方、戦争が終わった国で漂うように暮らす一人の男――。時代や性別を超えた、たくさんの人間の物語がちりばめられた短編集。
一話10ページ弱と少ない文章量の中にも、人物たちのかけがえのない人生が凝縮されており、それを読む自分の日常も、また貴重なものだと思えてくる。

『家事でモメない部屋づくり』
三木智有 ¥1600 ディスカヴァー・トゥエンティワン


家族で過ごすおうち時間が増えたことはいいけれど、家事育児の負担が増えてしまい不満がたまる一方で……そんな悩みをお持ちの方に最適な一冊。

著者は「ただいま!」と笑顔で帰りたくなる家庭づくりを支援するスペシャリスト。家事育児の課題を、家族がチームとなり、理想の部屋づくりを通して解決する手順とアイデアは今すぐ取り入れてみたくなる!



『一生使える「自信」をつくる本 きみはスゴイぜ!』
【著】マシュー・サイド 
【訳】竹中てる実 ¥1300 飛鳥新社

イギリスの少年&少女の間でベストセラーになった、自己肯定感を上げるための指南本。著者の体験や、古今東西の著名人のエピソードを例に、ブレない自信をつくるコツが書かれている。
またクイズ王として大活躍の伊沢拓司さんの解説文も読みどころ。親子で感想を共有し合うのも楽しい一冊。


取材・原文/石井絵里


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