学童の時間を使わない手はない!
前々回と前回で、平日に自宅で子どもと過ごす時間について考えてきました。今回は、なかなか目が届きにくい学童の時間です。
共働き家庭は、どうしても平日は自宅で過ごす時間が短くなってしまうので、学童の時間も充実させたいところですよね。でも、そこで過ごす時間を学童任せにしていませんか? 何も学童に注文をつけるというわけではありません。
子どもがどのように過ごしているのか、もっと関心を持ってもらいたいのです。その上で、親としてできることはないかと考えてみると、より良い時間を過ごせると思います。
早速、学童での過ごし方についての質問を見ていきましょう。
Q:小学2年生の娘がいます。学校が終わると学童へ行っていますが、宿題を終えると、ブロックなどで遊ぶくらいで、特別なプログラムもなく漫然と過ごしているようです。働いている親としては、預かってもらえるだけでもありがたいのですが、2、3時間もある学童の時間が、これでは少しもったいないなと思います。よいアイデアはありませんか? (40歳・女性)
A:聞くところによると、学童には、公立と私立の違いや、学習プログラムがあったりなかったりと、さまざまな形があるようですね。いずれにしても、学校を終えてから3時間もある学童の時間は、子どもにとって貴重だと思います。
学童は、リラックス&リチャージの時間
そもそも学童の時間とはどんな時間なのでしょうか? 私は、リラックス&リチャージの時間だと思います。大人も、仕事を終えて帰宅したらリラックスしたいでしょう? それと同じで、子どもも学校が終わったら(学校だって、疲れますよね)ひと息つきたい、休みたいのですね。何をするかは、それからのこと。まずは、しっかり休息できることが大切だと思います。
ただその前に、質問を一つ。あなたは、お子さんが通う学童の実態を把握されていますか? 子どもの数に対して、スタッフは何人くらいいるのか? 時間割はあるのか? 本や遊具、学習教材、スポーツ用具や楽器など子どもが過ごす環境は? また、スタッフの方にはどんな声かけをしてもらっているのでしょう?
こういう仔細を確認するのは煩わしいと思われるかもしれません。でも、たとえ学童に一定の仕組みや規律があるとしても、この3時間の過ごし方の責任は、最終的には親にあるのだと思います。
だから、私はこう考えます。親も学童という仕組みにコミットしてよいのだと。換言すると、学童に関わろうとするのは、親の責任だということです。
積極的に関わると発見もいっぱい!
では、具体的に親は学童にどんな関わり方ができるのでしょうか? 私には、残念ながら、学童という体験がありません。ただ、娘が4歳から7歳まで通っていたニューヨークの国連学校では、親がボランティアとして関わる機会がさまざまな場面でありました(アメリカの学校には、親も学校に貢献するという考え方が根付いており、親は自分のできることで学校に関わるのです)。
私は、先生のお手伝いで図書の片付けをしたり遠足の付き添いなどをしていましたし、働いているお母さんの中には休みをとって、仕事で培った経験や特技を使って授業をする方もいました。
例えば、娘が今も大切にしているモザイクタイルの花瓶敷きは、タイルデザイナーをしているお母さんの指導を受けて作ったもの。こういう機会は、子どもにとって、学校では教えてもらえない体験ができるだけでなく、教師以外の大人と関わり、視野を広げるいいチャンスでもあったわけです。
一方、親である私自身もまた、学校に関わることで、子どもの学習環境を知るだけでなく、娘の学校での立ち居振る舞いや、お友達とどんなやり取りをしているのかなど、家では分からない情報を得られる格好の機会でもあったのです。
学童の時間も同じではないでしょうか。親の関わり方一つで、子どもに経験を与え、親が情報を得る場所にしていくことができます。その可能性を大いに秘めていると思います。
もし、あなたが、学童で過ごす時間を不安に思っているなら、まずは学童の担当の方に相談してみてはいかがでしょうか。それは、単に不満を訴えるというのではなく、
あくまでも、学童の運営に協力したいというスタンスです。お仕事をされているなら、それを生かしたプログラムを計画することもまた、子どもたちの育ちにプラスになると思います。
娘さんにとって学童の時間をもっと豊かなものにしたいと願うのなら、ぜひ自ら行動を起こしてみてください。「私に何かできることはありませんか?」と。そのひと言から物事は動き始めると思います。
構成/鵜養葉子
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薄井シンシア Cynthia Usui
17年間の専業主婦生活の後、「給食のおばちゃん」からラグジュアリーホテル勤務を経て、現在は大手外資系企業で働きながら、講演活動や出版活動も行う。著書に『ハーバード、イエール、プリンストン大学に合格した娘は、どう育てられたかママ・シンシアの自力のつく子育て術33』(KADOKAWA)、『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』(KADOKAWA)がある。
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