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【薄井シンシアさんの子育て】コロナ休校で教育格差が心配な方へ

  • 薄井シンシア

2020.05.09

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不安を煽る情報ばかりに接していませんか?

コロナウィルスが猛威を振るっていますが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。お子さんがいるご家庭は特に、毎日大変なのではないかと思います。学校によって学習への対応がまちまちで不安に思う方も多いでしょう。

報道などでよく耳にするのが、「学校が休校になり、これから子どもたちの教育はどうなるのだろうか」という親御さんたちの声です。

親御さんたちはみんな困っているようですね。お子さんの毎日の過ごし方だけでなく、「勉強に取り残される」「教育格差が広がっている」「オンライン授業はどうするのか」などなど・・・。不安を煽るような番組がいっぱいあります。

でも私は、娘が海外の学校しか通ったことがなかったせいか、長期休みに関して違う見方を持っています。

NYの小学校の先生からのメッセージ

夏休みは平均2か月。時期が学年の終わりになるので、宿題はありません。先生からはこう言われていました。「夏休みをエンジョイしてください。It is the time to be a child. 子どもでいられる時期ですよ! 怠けても良し、だらだらでも良し、たくさん遊んで、出来れば本も読んでね」と。

娘が小学校一年生の時の先生とは、今でも交流があります。彼女は今も現役の小学校一年生の先生です。ニューヨークの私立校で、オンライン授業は言うまでもなくやっています。でも、授業の中身を聞いていると、通常とは違うことをやっているようです。非常時に、通常通りのことをやろうとすると無理があるので、とにかく子どもたちをいかに安心させるかに重点をおき、各家庭のツアーや、家の絵の紹介、読んだ本のレビューなど、学習とは言えない授業が実施されているようです。

彼女が共有してくれたメッセージをここに載せますね。いま、あなたにも読んでほしい最高のメッセージです。

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親愛なる親御さんたちへ

今、学校の勉強のことでさぞ不安に思われていることと思いますが、どうか心配しないでください。9月には、教師として必ずお子さんたちを元の軌道にのせますから。でも私がどうすることもできないのは、子どもたちから学ぶ気力を失わせてしまう社会的な不安やストレスです。ですから今こそ、子どもたちにご自身の動じない姿勢や強さを見せ、思う存分一緒に笑ってください。どの子が先に進んでいるわけでも、遅れているわけでもありません。子どもたちはその子が今いるべき場所にいます。

愛を込めて
地球上のすべての教師たちより

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Dear Parents,

Don’t stress about schoolwork. In September, I will get your children back on track. I am a teacher and that’s my superpower. What I can’t fix is social-emotional trauma that prevents the brain from learning. So right now, I just need you to share your calm, share your strength, and share your laughter with your children. No kids are ahead. No kids are behind. Your children are exactly where they need to be.

With love,
All the teachers on planet Earth

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今を「チャンス」と捉える

いかがですか?

自分の子どもが学校の勉強から取り残されてしまうんじゃないかと不安に感じる親御さんは多いと思います。周りの状況が分からない中で、思うように学校からの課題が進まないと心配になりますよね。

でも、考えようによっては、今はいいチャンスだと思うのです。子どものことがよく見えるようになったのではないですか?

ドリルやプリントをしていれば安心?

お手紙を共有してくださった小学校の先生が言うように、むしろ今、親御さんがすべきことは、子どもたちを安心させること。自信を持たせることではないかと思います。

それは机に向かっていれば身につくものではないと思います。むしろ、嫌々ドリルをやらせて勉強が嫌いになったり、自信を失わせてしまったら逆効果。それに、ドリルができたからといってそれで安心してしまうのも、後で大きな落とし穴があるかもしれません。

今は長い夏休みと考える

今は長い夏休み=充電期間と捉えてはいかがでしょうか。最初にも書いたと通り、私の娘は2ヶ月まるまる何も勉強らしいことをせずにひたすら遊んで過ごしました。その時しかできない経験をたくさんしたことが、その後の学びへの意欲につながっていきました。

我が家の場合、小学校低学年の頃は、『Harriet the Spy 』(映画にもなっています)という本を読んだ後、娘に双眼鏡とノートを買ってあげて、マンハッタンのマンションの窓から街の様子を観察し、ノートに書いてもらいました。いわゆる探偵ごっこですね。

高学年になると、大好きな『ジャックと豆の木』を自分流にアレンジした作品を書いていました。それを自分で演じながら私に読んでくれましたね。そうやって、影響を受けた本から自分なりに工夫して遊んでいました。

今だったら、外出できなくて運動不足だと思うので、You Tube でアップされているこんな動画はいかがでしょうか。

体育の先生が英語で体操を教えてくれるのですが、これなら英語も体験しながら体も動かせるので一石二鳥でしょう? 子ども向けなので、英語も聞き取りやすいと思います。

あと、twitterでは、名画を再現するという面白い遊びも流行っています。#covidclassicsで検索するといろいろな画像が出てきますよ。ポイントは、自分の好きな絵をおうちにあるもので真似すること。これなら家にいながらにして、アートに触れ、想像力を育むことができますよ。

ね、ちょっと工夫すれば、自宅にいてもいろんなことができるでしょう。



自分を責めないで

どうか、「3月から休校が始まって、もう2ヶ月もほとんど何もせずに過ごしてしまった・・・」と、ご自身を責めないでくださいね。この2ヶ月間、無事に過ごせたことを誇りに思ってください。

親御さんたちには、今、この時期を不安に思わず、ポジティブに捉えて欲しいと思います。学校が再開したら、先生方がこれまでの遅れを取り戻してくれるでしょう。もし、そうでなければ、先生に相談すれば良いのです。学校の先生たちは教えるプロです。もっと信頼しても良いのではないでしょうか。

子どもとこんなに一緒に過ごせるチャンスは滅多にないと思います。「取り残される」といった不安で右往左往するよりも、
「どうしたらこの時間を充実させられるか」
といった視点で、ぜひ毎日を工夫してみてください。

ドリルなどの分かりやすい「勉強」だけが学力ではありません。あらゆること(特に「遊び」)が学びにつながります。ぜひお子さんに合った方法を見つけてください。そして、子どもに自信をつけさせること。これだけは忘れないで。今ほど時間があるときはないかもしれません。ぜひこの時間を大切に過ごしてくださいね。

【質問募集】
子育てのお悩みについて、シンシアさんへの質問を受け付けています。どんな些細なことでも構いません。ぜひお寄せください。採用された方には、図書カード(500円)をプレゼント致します。

シンシアさんへの質問はこちらから

薄井シンシア Cynthia Usui

17年間の専業主婦生活の後、「給食のおばちゃん」からラグジュアリーホテル勤務を経て、現在は大手外資系企業で働きながら、講演活動や出版活動も行う。著書に『ハーバード、イエール、プリンストン大学に合格した娘は、どう育てられたかママ・シンシアの自力のつく子育て術33』(KADOKAWA)、『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』(KADOKAWA)がある。

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