薄井シンシアさんの「育児書を捨てよ、子どもを見よ!」

英語教室、通ったほうがいい?【薄井シンシアさんの「育児書を捨てよ、子どもを見よ!」第4回】

周囲が英語教室に通い始めた!

今回は、英語への接し方の最終回。第2回、第3回と、いかに楽しく英語を「体験する」かについてお話ししてきました。お子さんに合った方法で楽しむのが一番ですが、とはいえ、周囲が英語教室に行き始めたと聞くと、穏やかではいられないもの。周りの子は英語がどんどんできるようになって、わが子が取り残されてしまうのでは? と不安に思う親御さんも多いことでしょう。でも、楽しんで教室に通えるならいいですが、無理やり通って、苦手意識を持ってしまったら本末転倒です。それに世の中、働くお母さんが増えていて、ただでさえ忙しいのに、英語教室に通わせるのも一苦労では? 教室に通わせる時間を、子どもと向き合う時間に充てられたら、どんなに子どもも嬉しいことかと思います。

そこで、今回は、英語教室に通う必要はあるのかと悩むお母さんからの質問にお答えしたいと思います。

 

 

英語教室、通ったほうがいい?

Q:息子は小2です。英語のことはあまり考えてこなかったのですが、同学年の女の子がインターネットで英語のサイトを検索したり、喋れるようになっていると聞いて愕然としました。聞くと、友人の子どもたちの中には英語教室に通っている子も少なくないようです。息子に「行ってみない?」と誘ってみましたが、嫌だと言います。読書も文章を書くのも好きなのに。遅れをとってしまうのではと焦っています。(37歳・女性)

焦る必要、ありません!

A:私なら、いまのあなたに「リラックスして、お母さん!」と言いたいですね。実はこれ、ニューヨークに住んでいた頃、小学1年だった娘の日本語習得のことで、インド人の校長先生に相談したとき、その校長先生から私が掛けられた言葉です。当時、私は娘の語学問題と格闘していて、頭をキリキリさせていました。学校のカリキュラムに日本語がなかったので、娘は土曜日に日本語の補習校に通っていたのですが、その朝はいつもしょんぼりしていたのです。

でも、娘は真面目なので文句は言わない。そこで、どうしたものかと校長先生に相談して返ってきた第一声が「リラックス!」でした。とっても安心しましたね。そして、続けて言われたのは「言葉というのは、強い言語を一つ作っておけば、そのあとに学ぶ言葉は自然と引き上げられますよ」というアドバイス。嘘でしょ、と思ったけれど、彼女のこの持論は専門書にも書かれていて広く認められていました。そこで、私は決心したんです。補習校は辞めさせよう、そしてまずは英語で彼女の言語の土台を作ろうと。

駅の標識も立派な英語学習ツール

結果的に、この判断は大正解で、その後、娘は4カ国語を使いこなせるようになりました。あなたのお子さんがいま、本が好きで文章を書くのが楽しいというのは、とても素敵で大切なこと。それが、彼の思考や表現を支えるファーストランゲージ(日本語)を育て、いざ英語を本格的に始めようというときの土台となるのですから。

もし、英語を始めたいと思うなら、塾へ行く前に、楽しく英語を体験できる場所やイベントを見つけて、参加するところから始めてはいかがでしょうか。楽しくなってきたら、こっちのもの。教室以外にも、英語を習得するツールはあふれていますから、お子さんが積極的に楽しめるアイテムを選んだらいいのです。街や駅に書かれた英語の標識も立派な英語習得のツールになります。大事なのは工夫する心。教室に行きたくないと言っているお子さんを、あの手この手で、通わせようとしても、親子ともにストレスになり、苦しい思いをすることになるでしょう。

他の子と比べない!

もう一つ、これは私自身が戒めとしていたことです。それは、ほかの子とは決して比べないこと。我が子の成長には関係ないからです。私は、娘だけを見るようにしていました。娘がどんな性分で、何が好きで何が嫌いか。どんなことに興味を持って、どんな能力があるのか。何が苦手か。そういった娘のさまざまな面を意識して観察していました。そうして、娘に合った方法を探し出すんですね。たとえば、補習校を辞めたのも、娘が超真面目で、このまま追い込んだら娘がつぶれてしまうと思ったから。もし、真面目さに欠ける子だったら、はっぱをかけるとか違う方法を考えたでしょう。

こんなこともありました。ウィーンでドイツ語を学び始めたとき、ワルツの教室に行かせました。娘はダンスが好きだったので、ドイツ語×ダンス=ワルツだ! とひらめいたんです。また、日本のインターナショナルスクールでは、半端なく漢字の宿題が出ました。娘は漢字が苦手で覚えられない。私は一計を案じました。覚えるべき漢字をちりばめた短いお話を作り、それを紙に書いて、毎日持っていくお弁当箱に添えておいたのです。たとえば、「電」を覚えてほしいなら、「電」を使った単語である電車、電信柱、電話、電気などを使ってお話を作る。この方法を思いついたのも、娘は物語が大好きだったからです。娘はランチの時間に、私が作ったお話を読みながら、漢字に接していきました。

子どもは何を望んでいるか?

このように、好きなことに英語を掛け合わせるのは、一つの方法です。野球好きなら、親子でメジャーリーグの番組を観るとかね。そして、一つがダメでも次の方法を考える。手を変え品を変え、工夫して策を繰り出すうちに、きっとあなたのお子さんにベストな方法が見つかるはずです。

ちょっと強い言い方かもしれませんが、教室に通わせてしまうのはラクをしているとも言えます。それは子どもが本当に望んでいることでしょうか? お子さんは、ママやパパが通ってほしいという思いを汲み取って、嫌々通っていませんか? 繰り返しになりますが、心から楽しんで通っている場合はまったく問題ありません。でも、心の底では、行きたくないのに……という思いを抱えている場合もあるのではないかと思います。ある意味で、「行きたくない!」とはっきり意思表示できる親子関係は良好な証かもしれません。

子育てに、正解はありません。肝心なのは、それが我が子に合うかどうです。そのためにも、我が子の言っていること、行動や表情などをよくよく観察して、「この子はどんな気持ちでいるんだろう? どんな子なのだろう?」と絶えず問い直してみてください。可能性を引き出す子育ては、そこから始まるのだと思います。

構成/鵜養葉子

 

 

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薄井シンシアさんの「育児書を捨てよ、子どもを見よ!」

シンシアさんには、今、NYで活躍している娘さんがいます。娘さんは、ハーバード大学、イェール大学、プリンストン大学、ウィリアムズ大学と、錚々たる大学に合格した才媛。しかしシンシアさんは、勉強を無理強いしたことは一度もないそう。「じゃぁ、もともと出来がよかったのね……」と思ってしまいそうですが、そこには、シンシアさんなりの工夫がありました。

この連載では、子どもが無理なく楽しんで学べるさまざまなアイデアをお伝えしたいと思います。

キーワードは、連載タイトルの通り、「育児書(今は、スマホかもしれませんね)を捨てよ、子どもを見よ!」。

そう、万人に共通するメソッドなんてないのです。だから、「我が子の『育児書』は、自分にしか書けない!」という意気込みで、この連載をヒントに、我が子に合った方法を試行錯誤しながら見つけていってくださいね。

 

Writer Profile

Cynthia Usui

17年間の専業主婦生活の後、「給食のおばちゃん」からラグジュアリーホテル勤務を経て、現在は大手外資系企業で働きながら、講演活動や出版活動も行う。著書に『ハーバード、イエール、プリンストン大学に合格した娘は、どう育てられたかママ・シンシアの自力のつく子育て術33』(KADOKAWA)、『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』(KADOKAWA)がある。

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