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英語は「学ぶ」のではなく「体験する」【薄井シンシアさんの「育児書を捨てよ、子どもを見よ」第2回】

  • 薄井シンシア

2020.03.15

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「英語、どうしたらいい?」に答えます!

前回は、初めての連載でドキドキしましたが、おかげさまで読者の方からたくさんの反響を頂きました。本当にありがとうございます。

子どもにはのびのびと育ってほしい、だから「○○しなさい!」と命令はしたくないけれど、その一方で、学びはおそろかにしてほしくない・・・親御さんたちの複雑な思いが感じられました。

子どもが楽しめる方法を見つけよう

LEE本誌3月号でもコメントさせて頂いた「子どもが英語を好きになる方法」でも、皆さんが子どもたちの教育について熱心に考えている姿勢に胸を打たれました。そこでこの連載では、英語学習について、本誌でお伝えしきれなかったことを、3回にわたってお話しします。実際に、お寄せいただいたご質問にお答えしながら、どうしたら子どもが英語と楽しく接することができるのかについて考えていきたいと思います。

でも、初回の連載でもお話したように、これはあくまで私の場合ですから、お子さんをよく見て、子どもが楽しく英語に触れられるような方法をご自身で考えてみてくださいね。

では、最初の質問から見ていきましょう。

質問その1
子どもが興味を示さない!

Q:5歳の息子がいます。そろそろ英語に触れさせたいと思い、いくつか子ども向けの英語教室を体験させてみたのですが、興味を示しません。それならばと、他の習い事を勧めてみるのですが、おとなしい子で、何に興味があるのかわからず、困っています。(34歳・女性)

シンシアさんの回答は?

A:お母さんの不安は、よくわかります。確かに、英語は必須の時代。触れるのは早いほどいいというのはその通りでしょう。でも、私はこう思うんです。子どもにとっての英語は、「勉強」ではなく、「体験」なんだと。「勉強」と考えると、気が重くなりませんか? まずは、ささやかでも英語に触れる機会や肌で体験できる環境を生活の中に取り入れてはどうでしょう。

意識的に触れる機会を

私の娘の場合、苦労したのが日本語の習得でした。夫が海外赴任を繰り返す仕事だったので、生活環境は必然的に英語がベース。でも、彼女は日本国籍で、私たちは彼女に日本語をマスターしてほしいと思っていましたから、親である私が意識的に日本語に触れる機会を作らなければならなかった。つまり、あなたの息子さんにとっての英語と同じです。

実際、娘が1歳半のときに赴任したナイジェリアには、日本語に触れる場所も、ツールもないことが事前に分かっていました。だから、赴任前にNHKの番組「おかあさんといっしょ」を3カ月分ビデオに撮って持参し、日本で生活していたときと同じように、朝の9時〜と夕方の4時〜の2回、録画した番組を見せていました。幼児期はそれで、十分だったと思います。

ただ、その後も、ニューヨーク、ウィーン、バンコクと転々と海外を移動する中では「日本語をどうするか」という問題は常について回り、私はその都度、状況に合わせた対策を立てなければなりませんでした。たとえば、娘が10歳で行ったウィーンでは、ドイツ語とフランス語が必修で、日本語は娘にとって負担になっていました。週1回の家庭教師と、寝る前に10分間日本語で読書することを約束はしたものの、この10分の読書ができずに、親子ゲンカの元になってしまったんです。

私は、何より娘とケンカするのが嫌だった(子育てはわずか18年の期間限定。ケンカして過ごすなんてモッタイナイ! 前回の連載参照)ので、彼女にこう言いました。「もうママは、金輪際、日本語のことは何も言わないからね」と。あなたの責任よ、ということです。

ドラマで楽しく!

とはいえ、私だってそうそう引き下がれません。日本語の勉強は捨てても、日本文化は捨ててほしくない。だから、食事は徹底して和食にして、ひな祭りや七夕などの行事を取り入れたりしました。また、日本のドラマのビデオを借りてきて、夕食時にドラマ2本分をいっしょに観ていました。つまり、2時間もです。2時間、語学を学習しようと思うととてもできないと思いますが、ドラマならストーリーが面白いので、食い入るように見ていました。

当時は「ナースのお仕事」や「やまとなでしこ」が流行っていて、途中でCMなども入ってくるので、日本的な感覚や習慣をそこから吸収していきました。たとえば、娘にとって夏と言えば、風鈴なんです。素麺のCMでは必ず風鈴が出てくるから(笑)。それが自然と日本語の勉強になっていたことは間違いありません。

子どもは何に目をキラキラさせている?

英語関連なら、ディズニーやアニメ番組などいくらでも楽しいツールはありますし、今の時代は幸いにも、英語に触れられるスポットや機会があふれています。外国人観光客も増えているし、今年はオリンピックイヤー。試しに、銀座などの観光スポットに子どもを連れて行って、「May I help you?」と声をかけるくらいの冒険をしてみてはいかがでしょう? あるいは、外国人観光客向けのツアーや、大使館イベント、米軍基地イベントなど、英語に触れられる機会は探せばたくさんあります。リラックスして楽しめればこっちのもの。いろんな体験の中で、息子さんがどんなものに目をキラキラさせるのかをよく観察しみて。そこから道が開けてくると思います。

構成/鵜養葉子

【質問募集】
子育てのお悩みについて、シンシアさんへの質問を受け付けています。どんな些細なことでも構いません。ぜひお寄せください。採用された方には、図書カード(500円)をプレゼント致します。

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薄井シンシア Cynthia Usui

17年間の専業主婦生活の後、「給食のおばちゃん」からラグジュアリーホテル勤務を経て、現在は大手外資系企業で働きながら、講演活動や出版活動も行う。著書に『ハーバード、イエール、プリンストン大学に合格した娘は、どう育てられたかママ・シンシアの自力のつく子育て術33』(KADOKAWA)、『専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと』(KADOKAWA)がある。

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