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田中圭さん「人が人に興味を持ったり誰かを想うって、いいよね」

2020.01.16

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昨年末もドラマ『おっさんずラブ-イン・ザ・スカイ-』で再び日本中を沸かせた、まさに数年来の時の人・田中圭さん。接する人みなを魅了してしまう田中さんを、反映したような役を『mellow』で演じた。女子高生から人妻まで、お客さんがみな好きになってしまう、お花屋さんの誠一だ。

田中圭さん「人が人に興味を持ったり誰かを想うって、いいよね」

「監督の意図と違うかもしれませんが、僕の中で誠一は“ちょっと惜しい人”。モテているのではなく、恋する一歩手前の誰かを好きになる練習台として、ちょうどよかったのではないでしょうか。独身で彼女がいないのも、ただフワ~っと生きているから。家に居るのが好きで、ずっと家に居るような人で。僕自身はすぐ外に出たくなるタイプなので、共感できないですが」

踏み込みすぎず、受け入れる優しい誠一のほどよい距離感が、きっとみんな心地よいのだろう。

「みんな恵まれた環境にいるわけでもなく、恋も実らない。でも温かく、みんな前を向いている。恋愛というより、人が人に興味を持ったり、誰かのことを想ったりすることはいいよね、という映画です。だって誰かに興味を持つのは大事なことですし、みんながみんなに興味を持てば、絶対にもっと優しくなれるはず。世界レベルの話ですが(笑)」

“お花屋さん”というのも心くすぐるポイント。誠一が素敵な花束を作っていくシーンも楽しい。

「長回しで撮ったので内心プルプルでした。しかも本物のオシャレなお花屋の店長さんが監修なので、僕からすると“ただの太い枝だ”とか“長い”と思うような花束も出てくるんです。作り方もわからないので手順を暗記という感じで花束を作りました」

そう言いつつ、“花屋”役には少なからず思うところがあったそう。

「一昨年くらいまでは花に興味がありませんでした。でも昨年母を亡くし、家でもお花を飾るようになってから花屋さんに行くようになり、こういう気分になってほしいとか、こういう感じが好きだったとか、誰かをちゃんと思い浮かべて花束を作ってもらうようになりました。ちょうどそんなときこの映画のお話をいただいたので、運命というと大げさですが、ちょっと不思議な感じがしました」

タイトルの『mellow』とは“熟している、円熟した”という意味。円熟味を増す田中さんにピッタリ!

「年齢的には数年前から熟し始めていますが(笑)、10年前とは確実に違います。きっかけはやっぱり『おっさんずラブ』。約20年役者をやってきて、役者人生が終わってもいいから悔いのないようにやろうと、ある種ゴール的な感覚で挑んだら、ここがスタートなのか、と感じたんです。それ以降の現場はすべて、見える景色が違う中でやらせていただいています」

劇中では学校嫌いな姪っ子のよき相談相手だったが、田中さん自身も同年代のお子さんを持つパパ。

「行きたくない理由によりますが、どう子どもに対応するかは、それぞれの親の判断。僕はルールや形をそれほど大事だと思う人間ではないので、本人が家族と過ごしたいと言えば、それを優先します。ただ僕が不定期な仕事なので、基本はすべて奥さんにやってもらっています(笑)。奥さんは子どもにも常に対等な立場で話していますが、それでも響かないときは、別の立場で僕が話すようにしていますね」

 

Profile
たなか・けい●’84年7月10日、東京都生まれ。2000年より芸能活動開始。数々の出演作を経てドラマ『おっさんずラブ』(’16年、’18年~)で大ブレイク。近年の主な出演作に『美人が婚活してみたら』『記憶にございません!』(ともに’19年)など。『ヒノマルソウル』(’20年)が待機中。

『mellow』

©2020「mellow」製作委員会

独身、彼女ナシの夏目誠一(田中圭)は、街で一番オシャレな花屋さん。学校に行きたくない姪っ子を預かるなど、優しい誠一に憧れる女性たちは多く、いろんな恋模様に図らずも誠一は巻き込まれていく。『愛がなんだ』の今泉力哉監督が自身のオリジナルストーリーを映画化。共演に岡崎紗絵、ともさかりえほか。1月17日より新宿バルト9ほかにて公開。


撮影/川上 優 ヘア&メイク/大橋 覚(VANESSA+embrasse) スタイリスト/山本隆司 取材・文/折田千鶴子

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