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【ヘアドネーション体験談】病気と闘う子どもたちを笑顔に!髪の毛を贈るボランティア

  • 佐々木はる菜

2019.06.06

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髪の毛を寄付するボランティア、「ヘアドネーション」

最近では、有名人が寄付を行い、その様子をSNSなどに投稿して話題を集めるなどメディアで取り上げられる機会も増えています。私自身も以前から興味を持っているものの、ずっとショートヘアにしていることもあり役に立てていないまま…そんな中このたび、親しい友人がヘアドネーションをすることに!その体験談を通して、実際の寄付の流れや意義などヘアドネーションという活動自体について改めてご紹介していきたいと思います。

腰近くまで伸ばしていた髪の毛を、ばっさりカット!

今回ヘアドネーションをした友人は、私と同じくふたりの子どもを持つ30代半ばの女性。上の子も下の子も同い年だというご縁もあり、家族ぐるみで仲良くさせていただいています。

友人がヘアドネーションを知ったきっかけは、小学生の男の子が、寄付するために髪の毛を4年間伸ばし続けたというニュースを目にしたことでした。もともと困っている人のために何かできることがあればやりたいという気持ちがあり、実際に行動を起こした少年の姿にとても心を動かされたそうです。同時に、親しいご家族のお子さんのご病気を知ったことでその想いがさらに強くなり、「病気と闘う子どもたちのためになることをしたい。髪の毛の寄付であれば、今の自分にもすぐできる!」と考えるようになったといいます。

どこで切るの?髪の毛はどこに送ればいいの?ルールはあるの?

今回友人が髪の毛を寄付した「Japan Hair Donation & Charity(JHD&C通称ジャーダック)」は、一般の方に髪の寄付を募り、寄付された髪と募金等によりフルオーダーのメディカル・ウィッグ「Onewig」を製作、18歳以下の子どもたちに完全無償で提供している国内唯一のNPO法人です。

公式サイトには可愛いイラストと共に、活動内容や髪の毛の送り方などが丁寧に説明されています。

JHD&Cが提供している「メディカル・ウィッグ」は、経済産業省が定めた厳しい基準をクリアした「JIS規格適合品(JIS S9623)」にのみ許された名称です。その素材に適した髪の毛とは「31cm以上の長さがあること」「完全に乾いていること」「カラー、パーマ、ブリーチヘアでもOK」とされています。

まずは美容室を決め、寄付する髪の長さを決めます。寄付先の活動に賛同している「賛同サロン」、または通い慣れた「行きつけのサロン」どちらでも大丈夫です。
また任意ではありますが事前に、性別や年齢、カラーやパーマの有無など髪の毛のコンディションを確認するための「ドナーシート」を記入し、サロンに持参します。ジャーダックのサイトで内容を確認しましたが、2~3分ですぐに書き終わる簡単な内容のものでした。

基準が厳しく高品質な「Onewig」を作る独自の製法の場合、1つのウィッグを作るのに20人以上の髪の毛が必要!提供を待っている子どもたちの多くが「ロングヘアのウィッグ」を希望するため、髪の毛は長ければ長いほど貴重なのだそう。

髪の毛は小さい束に分けてゴムで強めに結び、結び目の1cm上をカット。ほんの少しの湿り気もカビや雑菌の原因になり使えなくなってしまうため、必ずシャンプーの前にカットすることが重要です。

年齢や国籍、性別、髪色、髪質は問わず、軽く引っ張っただけで切れてしまうほどの極端なダメージがなければカラー、パーマ、ブリーチヘアなどでも大丈夫で、クセ毛やグレイヘア(白髪)でも問題なく使用できるそうです。

そして、寄付先に髪の毛を送ります。
「あなたの髪の毛をジャーダックが確かに受け取りました」という証明として、ポストカードタイプの「受領証」を受け取ることもできるため、欲しい方は返信用封筒を用意し「髪の毛・ドナーシート・返信用封筒(希望者のみ)」を1セットにして送付します。

「私もヘアドネーションしたい!」ママの姿を見た娘の変化

髪の毛を綺麗に長く伸ばしていた友人。ショートにするには、それなりの思い切りが必要だったのではないかと思いきや「実際に切るときにはわくわく感があった!」と、楽しそうに感想を話してくれました。

「自分の髪を使ってもらうことで、ウィッグを必要としている子どもたちが少しでも笑顔になってくれたらという思いがあったので、規定の31cm以上伸ばすことにも苦は全く感じませんでした。また、私自身の子ども達にも、困ってる人がいたら積極的に手助けできるような人になってもらいたいと考えています。“自分は何もできない”ではなく、今回のように髪の毛を寄付するなど考えれば役に立てることはたくさんあると伝えることができました。実際に、小学校1年生の娘もヘアドネーションをやりたいと言っており、娘に私の気持ちをちゃんと受け取ってくれたことがとても嬉しかったです!様子を見ながら髪を伸ばし、娘の髪の毛も寄付をできたらと考えています。」

彼女のお嬢さんは長男の同級生で幼いころから共に成長を見てきたこともあり、「自分もママのように誰かの役に立ちたい!」という言葉にはとても感動しました。
「優しくしなさい」「人のためになることしなさい」という趣旨のことを子どもたちに伝える機会は多いと思いますが、口で言うよりも親が姿勢で見せるのが一番だと思います。私自身は、ヘアドネーションに興味はありつつも実行できていなかったこともあり、「優しさ」をきちんと行動に移した友人を見習いたいと感じました。



子ども用のウィッグが必要な理由とは

公式サイトには、これまでウィッグを贈ってきた数とウィッグを待つ子どもの人数も。

言うまでもなく「病気になる」「髪を失う」ことは、誰のせいでもありません。それにも関わらず髪がないことが子ども自身の生活に支障をきたし、「周りの目が気になり学校へ行けない」など悩んでいる方は多くいるそうです。

一方で現在、一般に販売されているウィッグの多くは大人用。小児用ウィッグも流通してはいるものの、サイズが変化していく子どもの頭に柔軟に対応することは難しく、ヘアスタイルも限られており選択肢が少ないそう。そのため30万~50万円もする高価なセミオーダーやフルオーダーで購入するしかなく、さらには成長や経年劣化による買い換えも必須なため、治療と並行してその費用を捻出することは家計への重い負担となっているそうです。

「ウィッグをつけさえすれば、すべてが解決するわけではありませんが、それでも、髪を失った子どもたちがウィッグをつけることで治療に前向きになったり、同年代の子ども達と同じような普通の何気ない日常を送れるようになったりするなら、それはQOL(生活の質)の向上といえると思います。私たちはぜひ、その力になりたいのです。」

ジャーダックはそんな想いのもと、病気や怪我など何らかの事情で「頭髪に悩みを抱える子どもたち」に、ヘアドネーションによる献髪のみで作ったメディカル・ウィッグを無償提供することで「社会性の回復」をサポートし、子どもたちの未来を守ることを目的として設立されたそうです。

Facebookページには、寄付をした方からのドネーションフォトや、ウィッグを手に喜ぶ子どもたちの姿もたくさん!子どもからの寄付の写真が多いことも印象的です。

【JHD&C提供】髪の毛と一緒に届く、心のこもったたくさんのお手紙。また、ウィッグを受け取った本人やご家族からも「気軽に外出できるようになった」「周囲の目が気にならなくなった」「学校で明るく振る舞えるようになった」などたくさんの感謝の言葉が寄せられているそうです。

ジャーダックが育ててきた「ヘアドネーション」というカルチャー

ジャーダックの活動を通して、この仕組みを美容文化のなかのチャリティとして国内に定着させ、同時に「ドナーの想い・善意」が、髪を通じて子どもたちへとつながっていく、Sustainability(持続可能性)の高い活動としても広く認知されるようになったヘアドネーション。これまでの慈善活動に対するイメージを変え、ボランティア参加へのハードルを引き下げた活動としても、高く評価されているそうです。

「人々の助け合いや、ボランティア精神に基づく成熟した社会とは、私たちが理想とする『必ずしもウィッグを必要としない社会』――病気や事故で髪をなくしても、クラスメイトから奇異な目で見られることなく、これまでどおりつきあえる、そんな仲間や友達がいる学校。ウィッグをつけなくても、ジロジロと見られない社会――なのです。」(公式サイトより)

さまざまな髪形が個性として受け入れられているように、「髪がない」ことも個性として迎えられる、そんな多様性のある社会を目指して活動を続けていきたいというジャーダック。そのような温かな世界を作るために必要なのは、私たちひとりひとりに何ができるか、今一度立ち止まり改めて考えることかもしれません。

ちなみに、ジャーダックに多く髪を寄付しているのは、LEE世代とも重なる30代〜40代の子育て世代の女性だそう。髪を伸ばし切るだけで、子どもたちの笑顔を増やすことのできるヘアドネーション。気になった方は、是非公式サイトを見てみてくださいね!

Japan Hair Donation & Charity(ジャーダック,JHD&C)

※6月に移転し、髪の毛の送付先が変更となったそうです。
【新住所】
〒530-0022
大阪市北区浪花町13−38 千代田ビル北館7A
NPO法人JHD&C事務局

佐々木はる菜 Halna Sasaki

ライター

1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い、ブラジル生活8か月を経て現在は家族でアルゼンチン在住。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。

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