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CULTURE NAVI「CINEMA」

ワインの名産地ブルゴーニュが舞台! 3兄弟の人間ドラマとワイン造りを知る楽しみも満載

2018.11.17

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甘酸っぱい記憶と苦い思い出、人生の選択を描く感動作

『おかえり、ブルゴーニュへ』

©2016 – CE QUI ME MEUT – STUDIOCANAL – FRANCE 2 CINEMA

ワインの名産地ブルゴーニュを舞台に、10年ぶりに再会した3兄妹の人生の選択と家族の絆を、ワイン造りに絡めて描き出した人間ドラマ。

監督は、大ヒットした『猫が行方不明』(’96年)のほか、『スパニッシュ・アパートメント』(’01年)に始まる“青春三部作”が日本でも人気の高いセドリック・クラピッシュ。日常のクスッと笑える瞬間を捉え、等身大で人間臭い人々の愛しさを、軽妙なユーモアを漂わせて活写してきたクラピッシュが、都会から初めて大自然に踏み出して撮り上げた、新境地も見逃せない一作だ。

フランス・ブルゴーニュのドメーヌ(ブドウ畑を所有し、一貫して生産を行うブルゴーニュ地方のワイン生産者)に、父危篤の知らせを受け、長男のジャンが10年ぶりに帰ってくる。父親に反発し、飛び出したままのジャンは、家業を受け継ぐ妹ジュリエットと、別のドメーヌに婿養子に入った弟ジェレミーと再会。ジャンの不在をなじったり喜んだりも束の間、父親が逝去。3人はいきなり、ブドウ畑や自宅その他、相続を巡る問題に直面する。意見がまとまらず心が千々に乱れる中、父の死後、初めてのブドウの収穫期を迎える。3人はとりあえず目の前のワイン造りに協力し合うが。

いつ摘み始めるか、梗(=枝)を何%除去するか、一つ一つの決断がいかに重要か等々、ワイン造りの過程やトリビアにワクワクしつつ、彼らを囲む人々のさまざまなドラマから目が離せない。ジャンと父親の確執の結末、すでにオーストラリアで家庭を持つジャンの事情、婿養子先でのジェレミーのストレス、醸造責任者としてのジュリエットの揺らぎ……。果たして悔いなき幸せな人生を築くとは、まさに美味なるワイン造りのごとし。いかに丹精を込め、目の前の人やブドウを慈しみ、先人の思いを受け継ぎ、信念ある選択をするか。深く納得する気持ちよさと感動に、ふんわり心包まれる。もちろん一面に広がるブドウ畑、自然に抱かれる心地よさも満載!(11月17日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開)

原作ファンも納得の古書が導く絶品ミステリー

『ビブリア古書堂の事件手帖』

©2018「ビブリア古書堂の事件手帖」製作委員会

シリーズ累計680万部突破の大ベストセラー小説を、『幼な子われらに生まれ』の三島有紀子が映画化。北鎌倉のビブリア古書堂の店主・栞子(黒木華)のもとに、大輔(野村周平)が祖母の遺品、夏目漱石の『それから』を持ち込む。そこに記されたサインを見た栞子は、祖母の秘められし恋を見抜く。原作にはない“祖母の恋”がしっとり描かれ、過去と現在が交差する人間ドラマも味わい深い。(全国ロードショー中)

取材・原文/折田千鶴子

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