メガネの心臓部!フクオカ精密(フクオカラシ)の精密部品製造工場を見学!│ 親子で工場見学vol.2─丁番・ネジetc.編─
-

TB はな
2025.11.07
- PR
- 0

このたび、眼鏡市場((株)メガネトップ)さん×LEE編集部の企画で、メガネの街・福井県鯖江市の、眼鏡市場の中枢工場「キングスター」にてメガネフレーム製造工程を親子で見学する機会に恵まれました。(眼鏡市場「キングスター」工場見学記事は以下の通りです↓)
今回はその続きで、眼鏡市場さんの協力工場の一つ、メガネの心臓部とも言えるネジや丁番、ワッシャーなどの金属精密部品を製造するフクオカ精密(株)(フクオカラシ)の工場見学ツアーについて紹介させてください。
- Index
-
- メガネの心臓部 ネジや丁番にも高い精度が必要
- 精密な金属部品加工で名高い、フクオカ精密(株)さん!
- 【工場見学】切削・加工マシンあれこれ
- 【工場見学│7工場】テンプル・粗研磨・仕上研磨・転造ネジ
- 【工場見学│3工場】チタン材料の切削加工
- 【工場見学│5工場】昭和20年代のマシンと時計のパーツ製造
- 【工場見学│6工場】眼鏡市場専用機、スポーツネックレスの飾り製造マシン
- 【工場見学│8工場】精密ネジ加工
- 【工場見学】レーザーカット&工場からのお土産
- 【ワークショップ】ワッシャーを組み込んで蝶番の形にする
- メガネの掛け心地は、ネジの緩みにくさ次第…!
- 親子で工場見学ブログ Vol.1&3はこちら!
- あわせて読みたい
掛け心地の良い「高品質なメガネ」を作るには
メガネの心臓部 ネジや丁番にも高い精度が必要
メガネの聖地・鯖江市は、人口7万人のコンパクトな街。メガネ1本を作るのに、実に200~250の工程が存在し、鯖江の街では各工程ごとに熟練の職人さん達がそれぞれに技術を磨いて来た経緯があり、厳密に分業体制が敷かれていて、眼鏡市場の協力工場が近い距離で隣接しており、部品製造会社、中間加工会社等を合せて450以上の事業者が集まっているそうで、街全体が大きな一つの工場のようだと表現されます。

業界ナンバーワンたる眼鏡市場の絶対品質を支えているのは、メガネの心臓部とも言える、「緩みにくい」高品質なネジや丁番、ナットです。原価が多少高くなっても、できるだけ長く同じ工場や職人さんとお付き合いをして、ノウハウを蓄積して行くのが「眼鏡市場のポリシー」とのこと…、そんな眼鏡市場さんが「ネジや丁番ならココ!」と全幅の信頼を置かれているのが、同じ鯖江市にある、精密金属部品全般の製造を担うフクオカ精密(株)(フクオカラシ)さんです。


フクオカ精密(株)の工場見学ツアーは、社長様御自らアテンドして下さいました…!
【Part.1】
フクオカ精密(株)の競争力・強みとは?
精密な金属部品加工で名高い、フクオカ精密(株)さん!
「メガネは精密でなければなりません」──こう話されるのは、フクオカ精密(株)の社長、福岡さん。メガネという部材はとても繊細で細かくて特殊であるため、フクオカ精密(株)は、部品を加工する機械そのものから新たに作り、その精度にはこだわりを持っている、と。そう、機械そのものから自社で開発・設計・製作されているのです!!自社オリジナルマシンは、部品加工の社内スタッフさん達の知恵を絞って毎年バージョンアップしており、自動化・専用機の導入、工程改善、歩留まりの改善、検査システムの強化などで、小ロット・微細加工でもコストを抑えられる仕組みになっており、生産システムを独自に開発して効率化が図れているため、コスト競争力・納期対応力が向上していると考えられます。
精密部品の品質は、それらを作る工作機械次第──メガネの聖地でメガネ作りを熟知しているからこそ、痒いところにも手が届くような機械が作れるんですね。先代の社長さんが機械作りが大好きで、社内に自社オリジナルマシンの設計製作チームを作ったそうで「うちの大きな宝です」と話されています。
メガネ部品や光学部品などの微小部品分野においても、非常に細かい寸法精度や加工精度が求められる製品を多数手がけており、それに耐える技術力を有しているのが同業他社と差別化できているポイントであると推測されます。たとえばクロスグリップナットのような、締結機能・振動対策機能など付加価値のある製品の開発力にも定評があるようです。また、鯖江で培われた長年のノウハウ蓄積により、チタンやステンレスなど、切削・加工が難しいとされる素材の加工経験もあり、難削材も取り扱うことができる点も強みと言えます。
【Part.2】
マシニングセンタ群
【工場見学】切削・加工マシンあれこれ
フクオカ精密(株)の売上げの8割は、ネジや丁番、ナットなど、メガネに関連する精密部品だそうです。丁番(蝶番・ヒンジ)の加工前と加工後の写真で説明してくださいました。蝶番は、身近なものだとドアの開閉部に使われています。同じ材料でも色々な蝶番加工があり、メガネフレームの種類やデザインに合わせて設計・加工しているそうです。


↓こちらはブラザー工業のマシニングセンタSPEEDIOシリーズ、高速2面パレットチェンジャー搭載の工作機械。2台の機械で工程分割されているものを2面パレットを活用してこの1台に工程を集約させることが出来るのだとか。

他にも産業機器が工場内にズラリと並びます。

↓こちらはTSUGAMIのNC複合自動旋盤。ナットはステンレスの棒をカットしてこの自動旋盤の機械で切削加工して作られます。


あらかじめ決められた加工交差(設計図と実際の製品の寸法の間の、許容できる範囲の誤差)の範囲内で、1本目から1,000本目までいかに均一に安定した寸法で仕上げられるかがナットのクオリティが決まります。


金属切削や水溶性切削の機械、チタンのブロックを加工した医療用パーツを作る機械、チタンを切るだけの専用機、切り口が楕円のパイプを30cmごとに切って直線にする自動車部品や、腕蝶番、8段階に分けて穴を空ける見金市場専用機や、スポーツネックレスの部品を作るマシン、金属の大きなベースを削る5,400万円という高額なマシンなどがありました。


【Part.3】
研磨コーナー
【工場見学│7工場】テンプル・粗研磨・仕上研磨・転造ネジ
【7工場】エリアへ。ここは研磨コーナー。粗研磨と仕上げ研磨、転造ネジのマシンがあります。「治工具の乱れは戻すときに発生する。治工具はあった場所にカタヅケル事。」という文字が目立ちます。

セラミックのチップ。洗濯の原理を使って、回転と摩擦で研磨するそうです。


回す時間の長さがそれぞれに違って、長いと何日間も回り続けていることもあるのだとか。


【Part.4】
難削材料の加工もお手のもの!
【工場見学│3工場】チタン材料の切削加工
黒っぽい金属の棒が巻かれていますが、すべてチタン材だそうです。マイクロメーターで測定して、最終検査をするエリアだそうです。品質を一定に保つための大事な作業。「眼鏡市場さんは品質基準がとても厳しい」と社長さんが話されていました。

チタン材料の加工工程と図面の説明がありました。チタンのメガネ部品の切削加工も多く取り扱っていて、難削材料のチタンを長年培われた独自技術によってヨロイ加工やテンプル加工などが可能だそうです。


「省エネの出来る企業が明日残る」という文字が胸に迫ります。

【Part.5】
古い機械が並ぶ
【工場見学│5工場】昭和20年代のマシンと時計のパーツ製造
こちらは昭和20年代の機械が今も現役で働いているエリア。時計のパーツを製造しているそうです。


削りやすい材質をこのマシンで削っているそうです。NC旋盤マシンよりもちろん古いのですが、製造効率はこちらのほうが高いのだとか…。切削済のゴールドのネジをマイクロスコープで凝視。ミクロな世界に繊細な技術がギュッと詰まっていて感動します…!


NC旋盤マシンでは多品種対応できるようプログラムを入れているとのこと。また、マシニング加工・旋盤加工との複合加工による特殊形状の精密切削にも対応しているそうです。


ここから建物が変わりまして…、
【Part.6】
「メガネは精密でなければならない。」
【工場見学│6工場】眼鏡市場専用機、スポーツネックレスの飾り製造マシン
この【6工場】では、眼鏡市場専用機や、スポーツネックレスの飾り製造マシンが置いてあります。NC旋盤で型抜きをしたものを切削しているのだとか。

「駒穴面取り」の加工ビフォーアフターを見せてもらいました。社長さん曰く、「こういう一手間がとても大事。ワッシャーを組み込むための重要な工程なんです」と。


【Part.7】
転造機でネジに螺旋加工を施す
【工場見学│8工場】精密ネジ加工
【8工場】では、プラスマイナスの精密ネジを製造しています。粘土細工のように削りカスの出ない画期的な製造マシンだそうです!!

材料を潰してこの形に。「切っていない・削っていない」のがポイント。


ネジを製造するマシンが並びます。


転造機でネジに螺旋加工を施します。加工ビフォーアフターと図面を見せながら説明してくださいました。実物のネジの小ささに驚きます…!!

【Part.8】
レーザー加工機
【工場見学】レーザーカット&工場からのお土産
ここでは、レーザー加工機による切断や穴あけ加工などを行うそうです。


レーザーがピカッと光る瞬間を目撃。

ここで、金属切削加工メーカーであるフクオカ精密(株)さんからお土産を頂きました…!まずは、娘と私のイニシャルのキーホルダー!

そしてなんと…、娘達にサングラスも頂いてしまいました…!(ありがとうございます…!)


これにて、工場見学のツアーは終了です!次はワークショップに参加しました。
【Part.9】
【ワークショップ】ワッシャーを組み込んで蝶番の形にする
工場見学ツアーの後は、とっても小さいワッシャーを組み込んで蝶番の形にしよう!というワークショップに親子で参加しました。

組み込み、全部で10セットぐらい出来ました!


【In Conclusion…】
改めて…、ネジや丁番は「メガネの心臓部」。
メガネの掛け心地は、ネジの緩みにくさ次第…!
メガネに使われるネジ、ワッシャー、丁番など…、メガネに留まらず様々な金属部品加工を得意とされるフクオカ精密(株)さん。メガネのフロントとテンプル(つる)を繋ぐ金属の小さな部品、丁番・ネジの精度を説明する時、メガネ業界では「あがきの良さ」と表現するようです。あがきはテンプル(つる)の開閉時に感じるストレス(抵抗感)のことでメガネは開閉を繰り返すほどにネジが緩み、「あがき」が弱くなる傾向にあります。適度な「あがき」をどれだけ長く維持できるかは、ネジの緩みにくさ次第。
たとえば樹脂フレームから始まった眼鏡市場の大ヒット商品「FREE FiT」シリーズは樹脂の特性に合った緩みにくいネジが必要でした。金属部品加工にあたり、専用工作機械を自社開発する体制作りが先代社長さんの頃から確立しており、メガネの構造を熟知した職人さん達が設計・製作した自社オリジナルマシンから生み出される精密部品の数々は、フクオカ精密(株)さんの強みであり、唯一無二の魅力はないでしょうか。
メガネだけでなく、普段は気付かない、職人さん達が小さな小さなネジに込められた工夫一つひとつが、暮らしの中では直接見えるものではありませんが、時計・医療機器・日用品などに必ず活かされているんですよね。けっして目立たないけれど、なくてはならない存在が、壊れない・緩まない仕組みに繋がっていて、私達の暮らしを支えてくれているのだと実感できる見学体験でした。

このたびは貴重な見学の機会を頂きありがとうございました。
メガネの聖地・鯖江には、眼鏡市場の協力工場がたくさんあります。フクオカ精密(株)もその一つでした。もう1社、メッキ加工や電着塗装など表面処理加工を施す主要関連工場、アイテック(株)の工場も見学することが出来ました。また別記事にて紹介させてください。
親子で工場見学ブログ Vol.1&3はこちら!
メガネの聖地・福井県鯖江市へ!眼鏡市場の自社工場「キングスター」潜入レポ│ 親子で工場見学vol.1─メガネフレーム編─

メガネの色を生み出す工場、アイテックへ!│ 親子で工場見学vol.3─メガネ枠カラーリング編─

TB - はな
会社員 / 神奈川県 / LEE100人隊トップブロガー
42歳/夫・息子(14歳・12歳)・娘(9歳)/手づくり部・料理部・美容部/大雑把な山羊座のO型。好きなものは器、アメリカンヴィンテージ、宝塚歌劇、マンガ、ミナ ペルホネン、オールドマンズテーラー、GU、ユニクロ、無印良品など。ファッション・インテリア・お料理などLEEで勉強中。両実家とも遠方で3人の子育てに日々奮闘。17年間専業主婦→パートを経てフルタイムで働き始めました。ドタバタと過ぎて行く日々の中でも「今」を大切に、小さな幸せを拾い集めながら成長して行きたいです。
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。
















