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地下230mを探検!?城山揚水水力発電所の見学ツアーへ!親子で社会科見学/神奈川

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2025.09.05

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日本初の本格的な大規模純揚水式発電所

城山発電所の見学ツアーに参加して来ました!

夏休みの或る日、神奈川県相模原市にある、日本初の大規模純揚水式発電所である城山発電所の見学ツアーに参加しました。(※2025年9月現在、見学ツアーは当面の間休止されているようです。再開に関しては公式HPをご確認ください。)

神奈川県営発電所総合制御室のある建物の外観。
場所は、相模原市内。敷地内に駐車場があります、と電話で案内して頂けたので私達は車で向かいましたが、結構な山奥でビックリしました…笑。

見学無料、所要時間は約2時間対象年齢は小学生以上(6歳就学児以上、小学生は保護者の同伴が必要)。原則5名以上30名以下の団体に限り申込みが出来ます(他の申込グループと同日にしてもらうと「5名以上」をクリアできます)。ツアー催行日は平日のみ(土日祝および年末はお休み)。見学日時は10:00~/13:30~。

城山発電所を上空から撮影した全景写真
見学ツアーの受付および玄関口は、発電総合制御室のある建物です。(城山発電所 全景。パンフレット写真より。)

揚水発電所とは?

城山発電所は揚水発電所です。揚水発電所とは、電力消費の少ない時間(夜)に余った電気を使って下部貯水池(津久井湖)から上部貯水池(城山湖)へ水を汲み上げ、必要な時(昼)には貯えておいた水を流下させて電気を作るシステムです。電気は貯めることができないため、水の“位置エネルギー”を電気エネルギーの形で蓄える、大きな蓄電池のような役割を果たしているとも言えそうです。

城山発電所の昼のシステム図解
城山発電所の夜のシステム図解

揚水発電は、素早く発電することが可能で(東京電力から要請があっても6分で送電できるそうです!)、きめ細やかな発電量の調整を行えるため、電力の需要と供給のバランスを保つ役割も果たしています!!

城山発電所は、城山湖と津久井湖の水面の有効落差153mを利用した水力発電所です。発電能力は最大出力で250,000kW。横浜スタジアム455個分のナイター照明を一気に点けられる電力量です。地下230mの場所に発電施設があります。

城山発電所透視図
上部調整池と下部調整池があるのが分かります。

模型でも説明してもらいました。

城山発電所の模型を使って説明を受ける場面

Let’s watch VTR

まずは映像学習

日本のエネルギー問題について理解を深める

まずはVTRを視聴して日本のエネルギー問題全体について学びます。太陽・風・水・地熱など自然の中にある「再生可能エネルギー」の「今」を体験できる施設が全国に66施設あるそうです。それらは「次世代エネルギーパーク」と呼ばれ、“再生可能エネルギーなどに対する国民の理解増進を図るため太陽光等の再生可能エネルギー設備や体験施設等を整備したものについて、経済産業省資源エネルギー庁長官が認定したもの”を指します。

城山発電所の見学ツアー、VTRルームにて。

神奈川県内の「次世代エネルギーパーク」認定施設は、愛川太陽光発電所、津久井発電所、相模発電所、愛川第1発電所、宮ヶ瀬ダムとエネルギー館、城山ソーラーガーデン、そしてここ城山発電所などがあります。城山ダムは昭和40(1965)年に運転をスタートした重力式コンクリートダムで、ダム天端を国道413号が走っています。津久井湖は、神奈川県の相模原市にある、城山ダムによって生まれた人造湖で、県民にとって重要な水源であるとともに、桜や紅葉が楽しめる県内有数の景勝地だそうです。

VTR視聴後は、いよいよフルアテンドでの、地下230mの発電施設や送電施設の見学ツアーの始まりです!

【Part.1】

地下で作った電気の電圧を上げて送電する施設

屋外開閉所

まずVTRルームと同じフロア(2階)から屋外開閉所を一望。地上設備の変圧器や送電線です。18,000Vを154,000Vに変圧して送電されます。地下で発電した電気はエレベーターと同じ立坑内の配線ケーブルを通って地上へ。

鉄塔好きには堪らない光景ではないでしょうか…!?

城山発電所の鉄塔

変圧器は全部で4台。手前の、スイッチが真っ直ぐに上に伸びているのが東芝製、奥側の、スイッチが斜めにバンザイしているような形のものが日立製作所のものだそうです。



【Part.2】

13カ所の発電所を制御・管理

発電総合制御所

次に、発電総合制御所を見学させてもらいました。神奈川県営の13カ所の発電所の運転および監視業務を行っている施設です。

城山発電所内、発電総合制御室のパネル
運転中か休止中か。ダムへの流入量や水位などが一目瞭然のパネル。リアルタイムの情報が表示されます。

監視業務は交代制で24時間365日休みなく行われているそうです。地下にある城山発電所の運転・制御もここで行っているとのこと。

発電総合制御所を出た後は、いよいよエレベーター塔へ移り地下230mの発電施設へ出発!

城山発電所内のエレベーター塔

約230m…東京都庁と同じ高さなのだとか!!エレベーターで2分ほどで到着です。

【Part.3】

地下230m!!

発電電動機室

地下230mに到着すると、4台のオレンジ色の発電電動機が並びます。オレンジ色の円筒形のものは励磁機(電磁石の役割をする装置)のカバーです。励磁機は発電機の一部を構成する機械。この床の下には発電機の一部を構成する固定子・回転子があるそうです(後段で説明します)。こちらの空間、奥行きにしてなんと120m!!とっても広いです。

手前から1号機、2号機、3号機、4号機。発電電動機のうち2台は東芝製、あと2台は日立製作所製でした。

オレンジ色のカバーの中身はこんな感じになっています!コイルに流す電流を調節することにより発電電圧を一定に保っているのだとか。

発電電動機の中身
カバーの中には、励磁電流を回転子に取り込むためのスリップリングなどが搭載されているようです…!

中にはスリップリングとカーボンブラシが搭載されていること、水車が水の力で回転することにより電気が発生する仕組み、立坑ケーブルを通って地上の変圧器に送られること…などを説明してもらえました。

スリップリングとカーボンブラシについての説明
小学生2人だけじゃなく私にとっても、ちと難しい内容でした…。

【Part.4】

発電電動機室の奥

クレーン

発電電動機室の奥へ奥へと進むと、右奥の天井に2台のクレーンが見えるでしょうか…!?12年ごとに発電機の分解点検を行っているそうで、その時に高さ7m以上もある回転機の回転部分(回転子)をクレーンで吊り出すため、天井が高くなっているのだとか。

↓こちらは、過去の回転子の分解点検時の写真。210tもある回転子を、クレーン2台使って吊り込む様子です。

回転子の分解点検時の写真

クレーンや、「ようこそ地下230mの城山発電所へ」の文字と共に記念撮影!

クレーンと共に記念撮影
見学者向けにウェルカムモードなのがこういう場所一つひとつに感じられてとても嬉しくなりますね。

【Part.5】

長さ約500m!!ドラマ撮影にも使われる映えスポット

インクラインと、地上まで続く長い階段

クレーンの見える発電電動機室から階段を降りまして…、

行った先には、地下発電所に物を運び込むためのインクラインが!!長さ約500m、角度は18度。台車はワイヤーロープと繋がれていて、ワイヤーロープを巻き上げるなどしてレールの上を移動する仕組みになっているとのこと。

階段は1217段あるそうですよ!地下発電所から地上へ出るための避難通路でもあります。トンネルからの湧き水が流れて来ています。

地下のインクラインで記念撮影
地上が遠くて見えません…!

【Part.6】

さらに下の階へ

発電電動機の本体を見学

4号水車制御装置前を通って…、

風洞と呼ばれる場所。ずーっと奥までアーチ状に通り抜ける道が続いています…!
風洞
扉の向こうには、発電機の本体が!

発電電動機室の下、発電機の本体を見せてもらいました。

写真の中に収まりきりませんが、この中に固定子と回転子が入っているそうです。上の階で見た、オレンジ色のカバーが付けられた励磁装置からこの回転子に電流が流れて強力な電磁石となります。

回転子は主軸で水車に繋がっており、固定子の中で回転子が回ることによって発電する仕組みです。

【Part.7】

発電した18,000Vの電気を地上へ送る

送電ケーブルを見学

次に、発電した18,000Vの電気を地上へ送る高圧ケーブルを見学します。

城山発電所内の圧油タンク
傍には圧油タンクが。後述しますが、入口弁を開閉するための大きな力が必要なので、油圧の力を利用しています。

いよいよ送電のための高圧ケーブルを見学!扉の向こうへ…

高圧ケーブル見学

送電ケーブルは全部で6本ありました。発電機1基につき6本。ケーブルはエレベーターの立坑内を通っています。発電機は4基あるので、発電所全体で送電ケーブルは24本あるそうです。

1本あたり5tの重さがあるのだそうです!ケーブル24本全部で120tもの重さがある計算になります!!

【Part.8】

さらに下へ…

ポンプ水車を見学

送電ケーブルを見学した後は、またさらに下の階へ降りて行きます…!

ポンプ水車見学へ続く階段
階段の幅が結構狭い。
この階も遙か向こうまで続いているように見えます…
入口弁と水圧鉄管の一部です。

いよいよ「ポンプ水車」の部屋に入ります。

部品ごとに色別された模型で説明してもらえます。

↓こちらが、ポンプ水車の部屋です。現在は発電を止めているので回転していません。稼働時は毎分273回転するようです!

下には水車本体が。

水車ピットの銀色の太い軸は「主軸」と呼ばれ、ステンレス製。直径72cmあるそうです。水車と発電機を繋いでいます。

水車ピットと共に記念撮影!

水車の直径は4m。

【Part.9】

また、さらに下へ…!!

入口弁を見学

ポンプ水車の部屋を出た後は、階段でさらに下へ降りて行きます…!!

「また潜るの!?」の連続で、「こんなところまで見せてもらえるなんて…!!」と、いちいち感動してしまいました。

城山発電所、入口弁と水圧鉄管を見学するための階段
やっぱり狭い階段。

こちらが入口弁サーボ。入口弁を開閉するための装置です。水圧鉄管入り口からの落差は165m。弁の開閉のために城山発電所では油圧を利用しているそうです。

右側のグレーの筒みたいなものが水圧鉄管です。
アテンドスタッフさんが入口弁の模型を使って説明してくださいます。
水圧鉄管と入口弁の前で記念撮影
入口弁と水圧鉄管の前で記念撮影!

【Part.10】

水圧鉄管を見学

入口弁を見た後、水圧鉄管が見えやすい場所に移動します。

城山発電所の断面図を使って説明をしてもらっている場面
水車ケーシングは、水をランナの周辺に満たして流し込むためのケースです。高い水圧に耐えられる構造になっているのだとか。
ちなみに水車ケーシングは完全に埋設されていて、見ることが出来ません。

入口弁、閉じています。

左側のグレーの太い円筒形のものが水圧鉄管です。閉じている時は、城山湖からの水を堰き止めています。発電・揚水の時には入口弁が開きます。発電時、1秒間あたり48,000Lの水が流れて水車を回す仕組みです。揚水の時は水が発電時とは反対方向に流れて、城山湖(上部調整池)へ汲み上げられるそうです。

水圧鉄管は、直径が約3mあるそうです。とっても大きいです…!!

【Part.11】

排水・給水ポンプ

入口弁と水圧鉄管を見学した後は、いよいよ終盤です!水圧鉄管の下を通って…、

水圧鉄管の下をくぐり抜ける様子

アーチをくぐり…、

↓こちらは、発電機関連のクーラー排水用のパイプ。

↓水圧鉄管路の管理設備の取替工事など、定期的にメンテナンスを行っていることの説明がありました。

エレベーター塔に向かう途中、共通補機受電盤や内線用の黒電話(!)も見かけました。

共通補機受電盤。
城山発電所の構内にある、内線用の黒電話。

エレベーター塔から地上へ戻ります。

【Part.12】

埋設されて見えなかった部分の解説

入口弁・ランナ・ガイドベーン

地上に出た後は、埋設されて見えなかった部分を、敷地内のモニュメントを使って説明してくださいます。

城山発電所および総合制御所の敷地内には、長年の役目を終えてモニュメントとして青く塗装された入口弁が鎮座しています。

入口弁のモニュメント
水車の入口側に設置されていて、開閉することで圧力のかかった水を流したり堰き止める役割を果たします。
入口弁のモニュメントを使って解説を聞く場面
模型を使って説明してくださいます。

↑こちらのポンプ水車の入口弁は、城山発電所が昭和40(1965)年10月に運転開始以来34年余りにわたって神奈川県内の電力供給に多いに貢献し、平成12(2000)年2月にその役目を終えたものだそうです。製作社は日立製作所。

↓こちらはランナとガイドベーンのモニュメントです。赤く塗装されています。

ランナのモニュメント。赤く塗装されている。
こちらは水車の心臓部であるランナ。水の圧力を受けて回転する部分です。上部のボルトが突き出している部分に、銀色の主軸が繋がるという訳です…!
ガイドベーンのモニュメント。赤く塗装されている。
こちらがガイドベーン。案内羽根とも呼ばれています。ケーシングからランナに流す水の量を調節する役割を持ち、ランナの周りに20枚設置されていて、開度によって水量を調整しているそうです。

ランナを下から見るとこんな感じです。

ランナを下から覗いた写真。
モニュメントだからこそ見られる光景ですね…!このポンプ水車ランナは、ここ城山発電所で昭和40(1965)年10月に運転開始する時に設置され、30年余りにわたって県内電力の安定供給に大きく貢献し、その役目を終えたものだそうです。「お疲れさまでした」と言いたいですね…!製作社は東芝。

これにて、見学ツアーは終了です!!お土産も頂けたので、後段にて紹介させてください。

入口弁のモニュメント前で記念撮影
日立製作所製のポンプ水車の入口弁モニュメント前でパシャッと。
東芝製のポンプ水車ランナのモニュメント前でパシャッと。

見学ツアー解散後、地上にある変圧&送電設備を違う角度から見学してみました。

次は、見学ツアーとは関係ないのですが、せっかくなので上部調整池である城山湖を見に行きました!

【Part.13】

上部調整池

城山湖

城山発電所から車ですぐの場所に、城山湖があります。城山湖は相模川総合開発事業の一環で、純揚水式の発電をするために誕生した人工の湖。下部調整池である津久井湖の水を汲み上げたもので、この湖はロックフィルタイプの本沢ダムによって堰き止められているそうです。ややこしいのですが、城山発電所は本沢ダム(城山湖)を上ダムとし、城山ダム(津久井湖)を下ダムとする純揚水発電所です。

城山湖にようこその表示

人工湖ですが、とても綺麗な景色で癒やされました…!

城山湖をパノラマ撮影してみました

城山湖と一緒に記念撮影!

本当は下ダムの津久井湖と、津久井湖にある放水塔(この塔の下に城山発電所の地下の発電室と津久井湖を繋ぐトンネルがあるそうです)も見学したかったのですが、この後にもまだまだ観たい見学施設があったためタイムオーバー。次段では頂いたお土産について紹介させてください。

【Part.14】

頂いたお土産は

無料の見学ツアーですが、お土産が頂けるのです…!!ダムエレキ君の刺繍入りのタオルハンカチと、同じくダムエレキ君の刺繍入りトートバッグ、そしてダムカード(+発電所カード)が一気に5種類、ダムエレキ君の工作ができるキット、丸型うちわを1人1セット頂けました!

Conclusion…

社会科見学、はな的視点

おわりに

地下深く深くへ潜って行くワクワク感から始まり、アテンドスタッフさんによる模型を使いながらの丁寧な解説…、「こんなところまで見せてもらえるの!?」と驚きっぱなし&感動しっぱなしの城山発電所見学。純揚水式水力発電という、人類の叡智を結集したシステムを目の当たりにして、電力の需給を支える姿に感銘を受けました。

一方で、昭和40(1965)年に運転を開始したこの施設が、これから日本全国各地で迎えるであろう、インフラの老朽化という現実を思い起こさせ、過去に経験した大規模停電の記憶とともに、電気に依存する暮らしの脆弱性や危うさを改めて実感する時間にもなりました。

子ども達は「冒険みたいだったーー!!」と楽しみながらも、大人は社会の仕組みや未来への課題を考えさせられるという…、そんな貴重な社会科見学でした。現在見学ツアーは休止中ですが、再開の折には公式HPで告知されるそうです。公式HP内にはWEB見学ツアーなどのコンテンツもあるので、気になる方はぜひチェックしてみてください◎

⋆⸜ᵀᴴᴬᴺᴷ ᵞᴼᵁ⸝⋆ LEE100人隊 / はな

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TB - はな

会社員 / 神奈川県 / LEE100人隊トップブロガー

42歳/夫・息子(14歳・12歳)・娘(9歳)/手づくり部・料理部・美容部/大雑把な山羊座のO型。好きなものは器、アメリカンヴィンテージ、宝塚歌劇、マンガ、ミナ ペルホネン、オールドマンズテーラー、GU、ユニクロ、無印良品など。ファッション・インテリア・お料理などLEEで勉強中。両実家とも遠方で3人の子育てに日々奮闘。17年間専業主婦→パートを経てフルタイムで働き始めました。ドタバタと過ぎて行く日々の中でも「今」を大切に、小さな幸せを拾い集めながら成長して行きたいです。

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