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おでかけ部

【東京・上野】東京藝術大学大学美術館で開催中「大吉原展」に行きました

  • 053 ブルー

2024.05.14

  • 10

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こんにちは!
053 ブルーです。

もう夏の気配すら感じる5月半ばですが、今回は桜満開の時期に伺ったこの展覧会についてお話しします。

大吉原展

上野の東京藝術大学大学美術館にて開催中の「大吉原展」です。

吉原といえば、江戸時代に幕府公認のもと作られた遊郭街のこと。
その吉原の歴史や、そこで生まれた文化、吉原で過ごした人たちの日常風景を名だたる絵師や職人たちの作品を通して知ることのできるのが、この「大吉原展」です。

覚悟を感じた「あいさつ文」

会場に入るや否や、「大吉原展」を開催するにあたってのご挨拶のパネルが目に入ります。
そこでかなり強調されているのが、日本に政府公認遊郭街が存在したという歴史への断罪と、今後同じことを繰り返してはならないという主催側の決意です。そういった背景から着目されていなかった吉原の文化や芸術を知って欲しい、といった意志が感じられる力強いあいさつ文で、私含め会場に入った人は皆じっくりと時間をかけて読んでいました。

日本史で習った名だたる絵師たちが描く「吉原の日常」

「大吉原展」の展示品の数は、約230点!遊女の華やかな美しい姿、またその着飾られた以外の時間の日常をうつした絵や作品、町人にまで広がりを見せた遊女たちのヘアスタイルの雛形、実在した「玉菊」という有名な遊女が使っていたとされる三味線など、吉原に関する多彩な作品が並びます。作品以外に吉原が生まれ、幾度の火事による移転を繰り返した歴史の説明なども大きな見どころ。
豪華絢爛な花魁の姿だけでなく、「彼女たちはこうやって合間の時間過ごしていたんだな」と普段の姿が垣間見えるような内容になっています。

喜多川歌麿、葛飾北斎、菱川師宣…この絵師たちのお名前、皆さんご存知ではないでしょうか?
日本史の授業で学んだ江戸時代の名だたる絵師たちの吉原に関する絵が「え?全部本物だよね?」と確認したくなるくらい、ずらっと展示されています。
美人画のタッチのしなやかさや、細部にこだわった緻密な筆さばきに、絵の前に止まってじーっと見ていたくなるくらい惹きこまれました。

日本の絵には疎い私ですが、有名絵師たちの名前を見て「あ!知ってる!この人も!」とピンとくる度に、更に好奇心が湧いてきます。また日本の歴史上のこととなると時代感覚が掴みやすいので、想像以上に親近感を持って観賞できたのは大きな発見でした。

大吉原展
ショップで購入したポストカード。どちらも喜多川歌麿の作品です。

解説文を読めば更に作品にひきこまれる!

江戸時代に描かれた日本の絵をこんなに一度にたくさん見たのは初めてだったので、とても新鮮でした。
一見同じようなタッチの美人画を飽きずに興味深く観賞できたのは、間違いなく「解説文」のおかげ!
作品数が多いので「同じような作品が並ぶなぁ」とお腹いっぱいになってしまいそうなところを、全ての作品に付けられたプレートの情報量満載の解説に引き込まれ、絵の細部まで凝視したくなります。
最後まで解説文とともに、「これはどんな絵なんだろう」と関心を持って観賞することができました。



「吉原」の街を再現した展示室

3階に上がると、そこは吉原の街を再現したような展示室になっています。

「大吉原展」は基本撮影不可ですが、3階展示室の一番奥にある、遊郭の廓を再現したような『江戸風俗人形』(辻村寿三郎・三浦宏・服部一郎)のみ撮影可能です。

大吉原展

着物や髪飾り、調度品の職人たちによる細やかな手仕事に感服しながら、遊女たちの当時のリアルな生活を垣間見ることが出来ます。

大吉原展
大吉原展

色んな感情を抱えて後にした「大吉原展」

花魁道中など華やかな部分のみを強調しているわけではなく、遊女たちの普段の生活など当時の風俗と、絵師や職人による繊細なタッチや技で作成された作品の美術面にスポットを当て、また作品には描かれていない陰の部分も知ることのできる、大変興味深い展覧会でした。

吉原を襲った火事の半数以上は、遊女による放火によるもので、中には遊女16名が劣悪な環境を訴えるために計画的に放火したこともあったという説明パネルを見て、息をのみました。放火という重い罪を背負う覚悟をしなければ、訴えることさえできなかった切実な声の重みは計り知れません。展示されていた作品の中にあった、男性が楽しそうに飲食している横で、どこか遠くを見たような冷めた表情の遊女たちを描いた絵も、実に印象に残りました。
そういった環境の中で、彼女たちや吉原にまつわる人が作り出した髪型や服装など当時の流行、それにまつわる美術品が、江戸時代の一つの「文化」として、「生きた証」として残っている。

彼女たちの生きた証をしっかりと目に焼き付けたい。
日本の美人画や浮世絵も、今後積極的に観に行きたい!
他にも色々と…そんな思いを抱いた、「大吉原展」でした。

退館後、満開の桜が咲き誇る上野公園を歩きました。

上野公園

年齢層・性別問わず様々な方がいらしていましたが、お母さんと中高生くらいの娘さんが数組いらしていたのも印象的でした。
色んな角度から観賞できる「大吉原展」。一人で観て思いを張り巡らせても、誰かと観た後に感想を話し合うのも、どちらも興味深い経験になると思います。(私は一人で観賞しました。)
会期は5/19まで。ご興味ある方は、賑やかな上野公園から少しだけ歩いて、美術館がある東京藝術大学のアカデミックで開放的な雰囲気も一緒に堪能してきてくださいね。

東京藝術大学

053 - ブルー

主婦 / 神奈川県 / LEE100人隊

37歳/夫・息子(8歳)・娘(4歳)/料理部・美容部/岡山県出身。パン屋さんめぐりや旅行先でお土産を買うこと、美術鑑賞が趣味。LEEと元気な子どもたちのおかげで、昔は苦手だったカジュアルなテイストの服装にも挑戦中。ファッションやおいしいもの、子どもたちとのお出かけ、身近なちょっとしたもの。丁寧な生活とはほど遠いバタバタな毎日の中で見つけた「あ、これよいな」と感じられるものを、みなさんと共有していけたらと思います。身長156cm。

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