長い専業主婦時代を経て人気料理家の道へ
【料理家・有元葉子さんインタビュー】仕事も暮らしも、好きなこと、惹かれることに忠実に!
2024.05.29
\実は料理家デビューはLEEでした!/
気づいたときが始めどき
有元葉子さんの
「10年後の自分を豊かにするコツ」
多くの女性たちの料理と暮らしのお手本として、長年活躍している有元葉子さん。実は、料理家としてのキャリアをスタートしたのは40代半ば、そしてLEEの取材がきっかけだったとご存じですか? そんなLEEとご縁のある有元さんに、多忙だった子育て時代のことから、今、年を重ねてもしなやかに輝き続ける秘訣まで、じっくり伺ってきました。
ワードローブは常に“働きやすさ”第一だという有元さん。シックな黒のシャツは20年以上前に購入したというジル・サンダーのもので、有元さんの体にジャストフィット。
お話を伺ったのは
有元葉子さん
YOKO ARIMOTO
料理家
3人の娘を育てた専業主婦時代に、家族のために作る料理が評判となり、料理家の道へ。素材を生かしたおいしい料理だけでなく、洗練されたライフスタイルも人気を集め続けている。東京・田園調布で料理教室「COOKING CLASS」を主宰。『レシピを見ないで作れるようになりましょう。』(SBクリエイティブ)など著書多数。
有元葉子さん’s ヒストリー
人気料理家として名高い有元さんですが、実は異業界で仕事を始め、40代後半までは専業主婦だったのです!
20代
アパレルから雑誌編集者へ
大学でインテリアの勉強をしたのち、直談判でアパレル「ヴァンヂャケット」に入社。会社とつながりが深かった『メンズクラブ』との縁から、雑誌編集の仕事を始めることに。
30代~40歳頃
専業主婦として3人の娘の子育てに専念
結婚・出産し専業主婦時代へ。来客が多く、料理をふるまうことの多い日々だったそう。
40代~
LEEの取材がきっかけで料理家として活躍するように
“料理好きの主婦”としてLEEの誌面にたびたび登場。料理のおいしさとセンスのよさが話題となり、他社からも仕事依頼が続き、料理家の道へ。その後、料理教室もスタート。
“暮らしの達人”としての
エッセイ本も多数上梓
著書はなんと100冊以上、今もコンスタントに年に数冊新著を発表。多様な切り口のレシピ本のみならず、美意識に裏付けられたライフスタイルを紹介する本も話題に。世代を超え、多くの人に影響を与えている。
台所道具「ラバーゼ」のプロデュースや
ショップの立ち上げも
オリジナルの「ラバーゼ」をはじめ、使い勝手と美しさを兼ね備えた台所道具を多数開発。ショップ「SPACE A&CO」も運営する。
Now
最近はインスタライブやYouTubeでの発信も
軽やかに新しい挑戦を続ける有元さん。50代で持ったイタリアの家に、今も年に2回は訪れているほか、最近は動画配信も精力的に。
仕事も暮らしも、好きなこと、惹かれることに忠実に。自分の持つ力を出し切ることが、成長につながります
YOKO ARIMOTO
長い専業主婦時代を経て、人気料理家の道へ
「いまだに私は自分を料理研究家なんて思っていないんですよ。何か肩書がないと、戸惑う方がいらっしゃるから便宜上つけているだけで。研究なんてしていないし、暮らしで普通にしてきたことを紹介しているだけなんです」
そう話してにっこり笑う有元さん。書店に行けばずらりと著書が並び、料理家としての目覚ましい活躍ぶりを見ていると信じられない言葉ですが、料理の仕事を始めたのは3人の娘さんの子育てが一段落した40代後半になってから。それ以前は長く専業主婦だったというから驚きです。
「あるときうちの近所の方の家に雑誌取材が入って、わが家にある器をお貸し出しすることがありました。それが縁でLEEから、今度は私の手持ちの大皿や大鉢を紹介させてほしいと依頼がきたのです。そんなふうに、最初は料理好きの主婦として誌面に登場させてもらっていましたが、料理ページのお話を次々いただくようになって。お仕事を依頼されたら、できる限りお受けして、とにかく全力でこたえ続けました。LEEでは中綴じの“料理カード”のお仕事をさせていただいたのも、印象深い思い出です」
結婚前はアパレルや雑誌編集の仕事をしていたという有元さん。ふと「あのブランドで働いてみたい」と、当時全盛だったアイビーファッションの「VAN」の会社へ電話してみたところ、知り合いもなし、求人広告が出ていたわけではないのに見事採用されたというから、その行動力に感服です。その後「VAN」と強いつながりがあった男性ファッション誌『メンズクラブ』が実験的に女性向けページを作ることになり、その担当者として白羽の矢が立ちました。
「編集経験などまったくなかったけれど、『あなたが着ているような服を紹介すればいいんだよ』と言われ、『それならできそうだし、おもしろそう』と頑張りましたね。そのページが好評で、次は1冊まるごと女の子のための雑誌を作ろうということになり、『エムシーシスター』という雑誌が創刊されました。社内編集の方の助けを借りながら、準備号から5~6冊目までを、ほぼ一人で作ったんです」
アパレルや雑誌編集も、料理の道も、何もかも未知な領域でした。けれど有元さんは今やるべき仕事に懸命に取り組み、常に楽しみながら挑戦し続けてきました。
「そのときの自分が持てる力を、惜しまず出し切るんです。それは仕事だけでなく、例えば家のインテリアとか、子どものPTAの役員の仕事なども同じ。お金がないならないなりに、条件が悪いなら悪いなりに。そのときどき与えられた環境で、知恵と力をフルに使い続ければ、人は成長できると思うのです。不思議ですが、そうして出し切ると、自然と次のステージが用意されていくんですね」
私物の大皿を紹介するページが
\ 料理の仕事を始めるきっかけに /
’84~’85年の本誌記事。当時は空前の“器ブーム”。私物の大皿を紹介するページ(上・’84年LEE12月号)で、普段作っている料理を盛りつけました。
Staff Credit
撮影/竹内章雄 取材・原文/田中のり子
こちらは2024年LEE6月号(5/7発売)「有元葉子さんの「10年後の自分を豊かにするコツ」」に掲載の記事です。
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