【理由のはっきりしない不登校】バウンダリーの傾向3タイプ。特徴ときっかけ・親ができる声かけの方法とは?
2026.09.11
令和の不登校は原因が複雑に?
“理由がはっきりしない”行き渋り・不登校が増えています

不登校児童・生徒数はどんどん増え続け、過去最多に。親はわが子が「なぜ学校に行けないのか」を知りたくなりますが、最近は理由がはっきりしないケースも増えているそう。専門家の分析と、できる対策を探ります。
わが子のバウンダリーのタイプ別
行き渋り・不登校のきっかけ&対策とは?
バウンダリーの傾向には3つのタイプが。「特徴」が、より多くわが子に当てはまるタイプをチェック。陥りやすい不登校のケースや、親ができる声かけの方法がわかります。

教えてくれたのは…
植木希恵さん
Kie Ueki
きらぼし学舎代表・公認心理師
個別指導塾を主宰。不登校の子どもとその家族に20年以上かかわる。著書に『不登校・行き渋り…タイプ別でわかる 「学校に行きたくない」と言われたときの親のかかわり方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。
バウンダリーとは?

バウンダリー内側の「じぶんゾーン」にあるのは体、秘密、所有物、感情・欲求・思考、人権など。まずはここを他人と分ける意識を。「なじませゾーン」では、自分のバウンダリーから、挨拶や感情、確認事項などを取り出してやりとりを行う。
A
バウンダリーの外に出て、人とかかわりすぎる
あいまいタイプ(でるでるモード)

このタイプの特徴
じぶんゾーンから外にはみ出ている
自分の要求は汲んでもらえるものだと期待している
自分のやり方を通そうとする
ぐいぐいかかわる
相手を守ろうとしてお節介に
思いどおりにならないと爆発する
自分と他人とのバウンダリーがあいまいなタイプの中でも、じぶんゾーンの外にオーバーして、他人を侵害するのが「あいまいタイプ:でるでるモード」。自分だけでなく、相手のバウンダリーを侵さない意識も薄く、目の前で起きたことに対して、相手も自分と同じ気持ちだと勘違いしてしまうことが。相手に意思確認せずに、何でも進めようとします。
このタイプが陥りやすい
行き渋り・不登校のきっかけ例
行事の練習で頑張りすぎて、周りに嫌がられる

人の役に立ちたい気持ちが強く、合唱祭や運動会などの行事の練習も張り切るタイプ。盛り上げようとせっかく大きな声で歌っていたのに、周りから「うるさい」「やりすぎ」などと否定されるとショックでふさぎ込むことも。
学級委員になり騒がしい友達を注意したら、無視され落ち込む

他人にどんどんかかわりたいので、学級委員や生徒会などの活動も面倒くさがらずに引き受けるといういい面が。ただ、友達に注意をしても受け入れられなかったりすると、思いどおりにいかないストレスで落ち込んでしまう。
親の声かけのポイントは?
なぜその言動をしたのか、理由を聞いてみる
自己中心的な行動に見えても、本人なりの考えがあることが多いので「何か理由があったの?」と聞いてみて。そのうえで「自分勝手だと思われるかも」などと、周りの同意を得て、互いの気持ちをなじませる大切さを伝えましょう。
頭ごなしに怒って、否定をするのはNG
時には行きすぎた言動で先生から連絡があったり、友達からのクレームが入ったりするので、親も頭ごなしに怒ってしまいがち。勢いで「みんなイヤだって言ってるよ」などと、本人の行動を全否定してしまうことは絶対に避けて。
B
引っ込み思案で、自分を出すのが苦手
あいまいタイプ(ないないモード)

このタイプの特徴
自分の気持ちを言葉にできない
人に合わせすぎている
我慢している
断れずに引き受けてしまう
バウンダリーがあいまいな中でも、自分ゾーンが小さく、他人に合わせすぎたり、相手の意見や考えを取り入れすぎたりしてしまいがちなのが「あいまいタイプ:ないないモード」。相手の気持ちを尊重するあまり、人のバウンダリーに支配され、つらくなることも。自分に矢印を向けることが難しく、意思がないように見えることもあります。
このタイプが陥りやすい
行き渋り・不登校のきっかけ例
先生がクラスの数人に怒っている様子を見て、心を痛めてしまう

他人とのバウンダリーがあいまいなので、人の経験も自分事としてとらえてしまう特徴が。例えば、先生が同じクラスの友達に厳しく怒っていると、自分が怒られたかのように心を痛め、学校に行きたくなくなるケースも。
キャラの強い友達に巻き込まれ、拒否できない

平和主義なので、押しの強い友達につい合わせてしまい、振り回されることが。本当は仲よくしたくないという自分の本音を押し殺して我慢しているので、だんだんと苦しくなり、行き渋りや不登校につながってしまう。
親の声かけのポイントは?
自分の意思で、選ぶ練習をさせてみる
このタイプは自分軸で考えることが苦手なので、周りのことは気にせず、何でも自分の意思で選び、それをアピールする練習をするのがおすすめ。まずは自分のケアが大事で、自己主張するのは悪いことではないと意識改革を。
ネガティブな感情は悪いことじゃないと伝える
他人のバウンダリーがじぶんゾーンへ侵入しているので、相手を悪く思ったり、悪口を言ったりすることを避ける傾向が。人には合う合わないがあり、友達のことを苦手だと思うネガティブな気持ちを、否定しなくていいと伝えましょう。
C
バウンダリーが強固な、自己完結型
かちこちタイプ

このタイプの特徴
自分に必要かどうかで判断する
人に頼らず自分で完結する
観察、分類が好き
自分の場所に人を入れたがらない
一人で作業したり、過ごしたりすることを好む
人との間にバウンダリーをしっかり引いていて、自分を確立しているのが「かちこちタイプ」。自分だけで集中できることや一人の時間が好きで、相手のやりたいことや時間も尊重できるやさしさがある一方、なじませゾーンでのやりとりは苦手。自分だけで完結して周りを困惑させたりと、コミュニケーションの必要をあまり感じていない人が多い。
このタイプが陥りやすい
行き渋り・不登校のきっかけ例
ある日突然、自己判断で学校に見切りをつける

ある日突然「あんなにうるさい学校には、もう行かなくていい」などと思い立ち、不登校になることが。本人にはそう思うに至るまでの積み重ねがあっても、何の前触れもないので、周囲はついていけず驚くばかり。
殻を破ろうと委員に立候補したけれど、ほかの子に決まってしまう

たまにはかちこちな自分の殻を破ろうと、係や委員などに立候補したものの、ほかの子に決まってしまい玉砕……なんてことがあると「せっかく勇気を出したのに」とポキッと心が折れて、突然行き渋りや不登校に。
親の声かけのポイントは?
子どもの好きなことに、親も興味を持つ
自分の世界があるので、そもそもコミュニケーションをとるのが難しく、親の言うことも聞く耳を持たないことが。好きなことを介してなら会話できるので、親も興味を持って話しかけて、感情のやりとりをする練習を。
同じ趣味の人が集まるコミュニティでトレーニング
親以外の他人と交流を持つことも必要なので、子どもに友達を増やしたいと思ったら、同じ趣味の人が集まるコミュニティなどに連れていくと。意外にいい人間関係を築くことができて、かちこちな心がやわらぐことも。
Staff Credit
イラストレーション/オリハラケイコ 取材・文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2026年LEE10月号(9/7発売)「“理由がはっきりしない”行き渋り・不登校が増えています」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
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