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映画『黄金泥棒』は全国公開中。

【田中麗奈さん】映画『黄金泥棒』では「日常に退屈していた専業主婦が輝いていく変化を表現したかった」

2026.04.15

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カルチャーナビ : 今月の人・今月の情報

日常に退屈していた専業主婦が輝いていく変化を表現したかった

田中麗奈さん

田中麗奈さん
ネックレス¥9900/パール フォー ライフ ピアス¥17600・パールリング¥36300/ロードス(Sa.Ya.) キャミソール¥8800/ワコールお客様センター(アワワコール) トップス¥52800・パンツ¥52800/オンワード樫山 お客様相談室(ベイジ,) ジャケット¥68200/オットデザイン(ルームエイト ブラック)

近年、さらに目覚ましい活躍を見せる田中麗奈さん。例えば映画『ナイトフラワー』では娘を心配する母の静かな狂気を、『星と月は天の穴』では主人公のなじみの娼婦の秘めた情を見事に醸して目をくぎづけにしました。この主演作『黄金泥棒』では、クライム・コメディに挑戦。また新たな顔を覗かせています。

「確かにコメディというジャンルは、あまりやってきませんでしたが、本作はコメディというよりヒューマンドラマのようだと私はとらえていて。そこに萱野(孝幸)監督節のブラックジョークが入り込み、クスッと笑わせる独特の作品です」

デパートで“金(きん)”が盗まれ主婦が逮捕されるという、 ’13 年に起きた実話に着想を得た本作。まるで突拍子がないようで、身近な事件ということに驚き、ますます興味津々に!

「小さな頃から“特別な人になりたい”という思いを抱き、専業主婦の現状に飽き足らない美香子は、一つ間違えば自分自身だと思いながら演じました。私も5歳から“女優になりたい”と思いつつ、叶わない時期はとても苦しく、なぜ田舎の久留米に生まれたのか故郷を恨めしく思うほどでしたから。そんな自分とも重なり、分身のように感じました」

適当な部屋着姿でしどけなく脚を投げ出し、ゴロゴロする美香子を演じる姿は、「あの田中さんが……」とある意味、衝撃的。そんな美香子がどこか上の空のまま、ふっと“金(きん)のおりん”をバッグに忍ばせる瞬間が、また絶妙で、うまさが光ります。

「冒頭シーンの着圧ソックスは、私から提案させて頂きました。ダラダラとだらしなく、油断している感じを出したくて。変なTシャツも含め、監督やスタイリストさんと時間をかけて衣装を決めていきました。最初、美香子は頭の中がぐちゃぐちゃ状態のままフッと魔が差して“金(きん)のおりん”を盗んでしまいますが、そこで求めていた刺激と出会ってしまう(笑)。そこから動き出す彼女が、少しずついきいきときれいになっていく変化を出せればいいな、と」

そうして“金(きん)”を売る会社のやり手の社員(森崎ウィン)に促され、訪れた場所で100億円相当の“秀吉の金(きん)茶碗”の存在を知った美香子は……。

「ウィンくんと一緒に水炊きを食べるシーンは、とても楽しかったですね。無邪気に思いきり食べる彼の笑顔に、美香子は心を開いていく。カッコいいし、家で夫といるときとはまったく違う表情を引き出されるわけですが、果たして彼は、いい人なのか? それとも……と展開が広がっていきます」

無気力な風情から一転、嫌がる夫を従わせ、美香子は精力的に強奪計画を進めていきます。その顛末は観てのお楽しみとして、輝き始める美香子の姿に、世の女性たちへのエールも込めたのではないでしょうか。

「美香子のような専業主婦の方も、あるいは母になり子育て中心の生活の方も、どこか生活や自分の立場に閉塞感を抱えているという人は少なくないのではと。特にまじめな人ほど自分に、妻としてや母親としての理想像を課してしまいがち。でも、やっぱり好きなこと、やりたいことは自分の個性だし、我慢ばかりして抑えつけると苦しくなると思います。自分を解放することは特に大事。私もお芝居をすること、映画を観ることなど、自分らしくいられる時間を大切にしています」

PROFILE

たなか・れな●1980年5月22日生まれ、福岡県久留米市出身。’98年『がんばっていきまっしょい』で映画初主演。近年の代表作に『雪風 YUKIKAZE』『ストロベリームーン 余命半年の恋』『ナイトフラワー』『星と月は天の穴』『禍禍女』など。4月28日からNHKドラマ10『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』が開始。
Instagram:renatanaka07
X:rena_tanaka0707
公式サイト:https://tencarat.co.jp/tanakarena/

『黄金泥棒』

『黄金泥棒』
©2025『黄金泥棒』FILM PARTNERS.

平凡な日常生活に退屈していた主婦・美香子(田中麗奈)は、ふと立ち寄った百貨店で、つい“金(きん)のおりん”を盗んでしまう。発覚するも、どうにか「ゴールドカンパニー」社員の金城(森崎ウィン)に返却し、事件は騒ぎにならずに収まる。しかし金に魅せられた美香子は、次に“100億円の秀吉の金(きん)茶碗”を盗み出そうとし、浮気をしていた夫とその浮気相手も巻き込んでいく。全国公開中。
「黄金泥棒」公式サイト


Staff Credit

撮影/名和真紀子 ヘア&メイク/RYO スタイリスト/岩田麻希 取材・文/折田千鶴子
こちらは2026年LEE5月号(4/7発売)「カルチャーナビ」に掲載の記事です。

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